更新日: 2024.11.29 その他暮らし

入院した祖母が「病院食」の値上げを嘆いていました。病院食は「全額自己負担」なのでしょうか?

入院した祖母が「病院食」の値上げを嘆いていました。病院食は「全額自己負担」なのでしょうか?
入院すると、治療費だけでなく、ベッド代や病院食費用などさまざまな費用がかかります。入院の日数が長ければ長いほど、かかる費用は大きくなるでしょう。また、近年の物価高騰に伴って病院食の値上げも実施されており、今後さらに負担が大きくなると考えられます。
 
今回の記事では、病院食の値段について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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現在の病院食の負担額

病院食の費用を全国健康保険協会「入院時食事療養費」を基に、表1にてご紹介します。
 
表1

 

区分 1食の標準負担額
令和6年5月31日まで 令和6年6月1日以降
一般の方 460円 490円
難病患者、小児慢性特定疾病の方
(住民税非課税世帯を除く)
260円 280円
住民税非課税世帯の方 210円 230円
住民税非課税世帯の方で過去1年間の入院が90日を超えている場合 160円 180円
住民税非課税世帯に属しかつ所得が一定に満たない70才以上の高齢受給者 100円 110円

出典:全国健康保険協会「入院時食事療養費」を基に筆者作成
 
令和6年6月より、病院食費用の制度が変更になりました。厚生労働省は、食材費の高騰に伴い、食事の提供に関するものの費用を30円値上げすることを発表しました。ただし、所得の状態などに応じて10円~20円値上げの場合もあるようです。
 

1ヶ月入院すると病院食費用はどのくらい?

1ヶ月(30日)入院した場合病院食にかかる費用はどのくらいなのでしょうか。表1を基に計算したものが、表2です。
 
表2

区分 1日あたりの
病院食費用(1日3食)
1ヶ月あたりの
病院食費用(1日3食)
一般の方 1470円 4万4100円
難病患者、小児慢性特定疾病の方
(住民税非課税世帯を除く)
840円 2万5200円
住民税非課税世帯の方 690円 2万700円
住民税非課税世帯の方で過去1年間の入院が90日を超えている場合 540円 1万6200円
住民税非課税世帯に属しかつ所得が一定に満たない70才以上の高齢受給者 330円 9900円

出典:表1を基に筆者作成
 
一般の入院患者の場合、1ヶ月にかかる病院食は4万4100円とかなり高額です。これまでの制度よりも、負担額が大きくなるため医療費の出費も大きくなるでしょう。
 

病院食の費用は全額自己負担?

病院食は表1に記載した費用を最高額とし、超過した場合には健康保険組合が負担しています。したがって、最低でも病院食は表1に記載した金額を支払わなければならないでしょう。
 
また、入院期間が長くなった場合でも、標準負担額の金額が変更になることはないようです。注意するべき点として、病院食での特別メニューを選択した場合や出前を頼んだ場合は、自己負担になるという点です。病院食の費用を少しでも抑えたいのであれば、特別メニューや出前はとらないほうがいいでしょう。
 

病院食以外で入院費を安くする方法

病院食は必ず費用を支払わなければならないため、節約するのは難しいでしょう。しかし、病院食以外で公的制度を利用すれば医療費を抑えられる可能性があります。具体的な内容を紹介します。
 

高額療養費制度の利用

高額療養費制度とは、医療費の支払いが自己負担額を超えた場合に支払ったお金があとから返金される制度です。したがって、医療費が高額になったとしても、高額療養費制度を使えば医療費を抑えることが可能です。自己負担上限額は所得や年齢によって異なるため、利用する場合は自分がどの区分になるのかを確認しましょう。
 

限度額適用認定証の利用

医療費が高額になりそうなときに、事前に限度額適用認定証を提示すれば自己負担限度額以上の支払いを抑えることができます。高額療養費制度はあとでお金が返ってきますが、かかった医療費を一時的に支払わなければなりません。
 
しかし、限度額認定証を提示すれば、一時的な自己負担も抑えることができるのです。限度額適用認定証は、保険証に記載されている全国健康保険協会に申請することができます。事前に入院することが分かっていれば、申請しておいた方がいいでしょう。
 

傷病手当金制度

病気やけがなどで3日間以上会社を休んだ場合、事業主から十分な報酬が得られなかったときに、国民健康保険と社会保険に加入している人が利用できます。傷病手当金制度のお金を入院費に充てれば、医療費にかかる負担を減らすことが可能です。
 
ただし、傷病手当金を利用するには条件があります。利用する場合は、条件を満たしているか否かをしっかりと確認しておきましょう。
 

病院食以外の公的制度を利用しよう

病院食の支払いは必須となるため、無駄な出費を減らすこと以外で節約するのは困難です。医療費を少しでも抑えるのであれば、上記で紹介した公的制度を利用することをおすすめします。自分がどんな制度が使えるかを事前に確認し、利用できるものは積極的に活用しましょう。
 

出典

全国健康保険協会 入院時食事療養費
厚生労働省 厚生労働省関係の主な制度変更(令和6年4月)について 入院時の食費の負担額の見直し
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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