入院することになり「大部屋が空いていない」という理由で個室に案内されました。差額ベッド代が1日あたり「7000円」もかかるのですが、拒否できないのでしょうか…?
配信日: 2024.12.25 更新日: 2024.12.26
本記事では、入院時の差額ベッド代に関する疑問を分かりやすく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
入院時に「差額ベッド代」が発生する場合とは
差額ベッド代とは、実際に入院をする病室によってかかる費用です。個室や少人数部屋などは大部屋よりも高額になる傾向にあります。差額ベッド代は健康保険が適用されないため、全額を自分で負担する必要があります。
1日だけ個室に入るのであれば数千円程度で済むケースもあるかもしれませんが、数日間入室することになれば、すぐに数万円に達するため経済的な負担は大きなものになるでしょう。
個室への入院を希望した場合や、病院が個室への入院を提示し同意書にサインをした場合は差額ベッド代の支払いが必要になります。
個室に入院しても差額ベッド代が不要な場合もある
個室に入院すれば必ず差額ベッド代が発生するものではありません。実は、個室に入院しても差額ベッド代を支払わなくてもよい場合があります。
●同意書にサインをしていない場合
●治療上の必要から個室を利用した場合
●病院側の事情で個室に入院することになった場合
上記3つの場合には、差額ベッド代支払いの義務はないとされています。
平均的な1日あたりの差額ベッド代
個室利用による1日あたりの差額ベッド代は、厚生労働省の「中央社会保険医療協議会 総会(第591回)議事次第」の資料に基づくと、令和5年7月1日時点では、表1のような相場が示されています。
表1
1日あたり平均徴収額(推計) | |
---|---|
1人部屋 | 8437円 |
2人部屋 | 3137円 |
3人部屋 | 2808円 |
4人部屋 | 2724円 |
合計 | 6714円 |
出典:厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第591回)議事次第 主な選定療養に係る報告状況」を基に筆者作成
全体の平均額は6714円で、1日7000円の負担額は、平均的な1人部屋の差額ベッド代より低いものの、希望していない個室に対して支払うのは負担に感じる方も多いでしょう。
例えば、7日間個室に入院する場合、7000円×7日間で4万9000円の追加負担が発生します。入院費用とは別に5万円近い費用がかかることは大きな負担になるでしょう。特別な理由がない限り、差額ベッド代がかからない通常病室を選んだ方が、経済的な負担を軽減できるといえるでしょう。
差額ベッド代は医療費控除の対象外
差額ベッド代は、医療費控除の対象にもなりません。国税庁によれば、医療費控除が適用されるのは「医師等の診療等を受けるため直接必要なもので、かつ、通常必要なもの」に限られるためです。
例えば、医師が必要と判断しないものの、患者の希望で個室などの特別室を利用する場合にかかる差額ベッド代は、治療のために直接必要な支出とはみなされず、控除対象外とされます。
ただし、通院や入院のための交通費、入院中に病院で提供される食事代などは原則として医療費控除の対象に含まれます。
個室の差額ベッド代が支払えない場合
個室など特別室の利用料金は日数が増えるほど大きな負担になります。どうしても一括での支払いが難しい場合は、病院に相談して分割払いなどができないかどうか確認してみるとよいでしょう。
患者側が希望していないのであれば、原則として差額ベッド代を支払う義務はないと考えられる
個室の利用は患者が希望すれば差額ベッド代が発生します。また患者が病院側の説明を受け同意書にサインをした場合も同様です。患者側が希望していないのに個室に入院した場合、差額ベッド代を支払う義務はないと考えられます。
1日あたりの平均的な差額ベッド代は約6714円で、仮に7日間の入院では5万円近い出費と大きな負担となることもあります。数日個室に入院すればすぐに数万円、1ヶ月も入院すれば数十万円もの負担になるケースもあり、経済的な負担は大きいでしょう。
また、差額ベッド代は健康保険適用外で、医療費控除の対象にもなりません。費用負担が厳しい場合には病院に相談し、分割払いなどの対応が可能かどうか、確認することをおすすめします。
出典
厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第591回)議事次第 主な選定療養に係る報告状況(3ページ)
国税庁 質疑応答事例 所得税 差額ベッド料
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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