更新日: 2019.01.08 その他暮らし

身近な電気の話  台風に悲鳴を上げたエアコン

執筆者 : 藤森禮一郎

身近な電気の話  台風に悲鳴を上げたエアコン
大型の台風が日本列島に上陸することも多くなり、各地に浸水や土砂崩れの被害をもたらすこともしばしばです。私が住む東京の多摩地域も当日は、大型台風の時に、暴風雨が吹き荒れ、激しい雨が叩きつけました。大きな被害はありませんでしたが、わが家では「エアコン」に関する小さなトラブルがありましたので紹介します。

まず皆さんは、以下のようなエアコン室内機の異音を聞いたことがありますか。もしよかったらいろいろな場面を想像してみてください。(ダイキンHPより)
藤森禮一郎

Text:藤森禮一郎(ふじもり れいいちろう)

フリージャーナリスト

中央大学法学部卒。電気新聞入社、電力・原子力・電力自由化など、主としてエネルギー行政を担当。編集局長、論説主幹、特別編集委員を経て2010年より現職。電力問題のコメンテーターとしてテレビ、雑誌などでも活躍中。主な著書に『電力系統をやさしく科学する』、『知ってナットク原子力』、『データ通信をやさしく科学する』、『身近な電気のクエスション』、『火力発電、温暖化を防ぐカギのカギ』、『電気の未来、スマートグリッド』(いずれも電気新聞刊)など多数。

 

様々な場面

 

A 手入れや使い方で改善できる音
①「ポコポコ・ポンポン」(木魚を叩くような音)
②「カタカタ・カタカタ」
③「ゴー」
   
B  エアコンの動作による音(故障ではない)
①「シュー・パチッ」
②「シャー・シュルシュル」(水が流れるような音)
③「プシュー」
④「カチッ・ジー・ウィーン」
⑤「ピシッ・パキッ」(きしむような音)

C 故障の可能性のある音
①「ピーピー」(警報のような音)
②「ザー・サー」(吹き出し口から出る風の、波打つような音)
台風18号に襲われた夜にわが家が体験したのはA-①のポコ・ポコ音でした。事の顛末を紹介しましょう。
 

ベランダの室外機

 

13階の南向きベランダにはエアコン室外機が2台並んで設置されています。ドレン排水用ホース(市販のもの)は延長して、ベランダ排水溝に向けてあります。騒音防止のために窓は2重サッシになっていて、暴風雨の叩きつけるような音は室内には響きません。

夜半、暴風雨が次第に強くなると突然、1台のエアコンが「ポコポコ・ポンポン」と異音を発し始めました。エアコンの悲鳴に聞こえました。悲鳴は音量を増してきましたので窓を開けてベランダの様子みようかと思いましたが、とても窓を開けられる状況ではありませんでした。

エアコンの悲鳴に寝ていられません。無事を祈りながら台風が過ぎ去るのを待つことにしました。時間の経過とともに悲鳴は治まってきました。

しかし、完全には消えませんでした。メーカーに問い合わせる前に、PCで調べようと、「エアコンの異音」について検索したのです。2台ともダイキン製なので、ダイキンのHPで調べると上記のような「異音」情報が紹介されていました。
 

原因はドレン排水ホース

 

明るくなって恐る恐るエアコンを作動させると次第に音は消え、ドレン排水ホースからいつものように排水がちょろちょろと出てきました。メーカーのコールセンターも3連休だろうからと、さらにA-①現象について詳細情報を求めると、原因と対策が詳細に示されていました。

原因はドレン排水ホース(直径8ミリほど)から、暴風雨が室内機に逆送されたため、室内機で発生した結露水が暴れたのだそうです。
高気密・高断熱の家ではままあるそうですが、不思議なことに、わが家では、並んで設置しいるもう一台は異常がありませんでした。ホースの向きがずれていたのでしょうか。詳細は分かりません。

ポコ・ポコ異音事故について、6月に経験済みでした。知り合いの家のエアコンがポコ・ポコ異音に加えて室内機からの「水漏れ」が発生するトラブル見舞われ、専門家に修理してもらいました。たまたま、工事に立ち会う機会があり、専門家にお話を課せてもらっていたので、トラブルの予備知識を持っていたので慌てることはありませんでした。
 

ポコ・ポコ異音の対策

 

ポコ・ポコ異音の使い方対策としては、「換気口を開ける」「少し窓を開ける」「換気扇を止める」「ドレンホースの先端の向きを変える」ことなどです。室内の気圧が下がると外気が室内に流れ込むのだそうで、高気密の住宅では室内外の気圧差による逆流現象があるので、その場合は恒久対策が必要だとのことです。

恒久対策は簡単なことです。別売品の「ドレンホース用逆止弁」を取り付けるだけですが、素人には取り付けはできません。部品は手のひらサイズの小さなものですが、取り付けに手間がかかります。と言うのも、室内機と室外機をつなぐパイプ類は束ねられて外壁面を這っていて、それをプラスチックカバーで覆っていますが、カバー内側の途中に逆止弁を設置する場所があるのですね。通常は目視できません。工事には専門の工具も必要ですし工事したあとの専門家による安全確認も必要です。

一度取り付ければポコ・ポコ音も防げますし室内機からの水漏れも防げ快適な生活ができます。

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