病気で入院したら、いくらかかる?傷病別の入院医療費を男女別に調べてみた
配信日: 2019.06.06 更新日: 2019.06.13
そこで、健康保険(公的な医療保険制度)の給付実績を調べた統計から、傷病別の入院医療費を男女別に調べてみました。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
男性の入院医療費は糖尿病42万、胃がん62万、関節症82万円
厚生労働省の医療給付実態調査では、健康保険に加入している人の受診状況を診療報酬明細書等から詳細に調査しています。その結果から、1件(1回)あたりの入院医療費を傷病別・男女別にまとめ、まずは男性からグラフにしてみました。
健康保険は全国健康保険協会管掌健康保険や組合管掌健康保険、後期高齢者医療制度等に分かれていますが、ここでは各制度の合計値を載せています。また、グラフには入院件数の多い傷病や医療費の高い傷病等を中心に、主要な傷病のみ載せています。
男性1件あたりの入院医療費を傷病別に見てみると、「白血病(147.1万円)」と「心臓の先天奇形(152.9万円)」が飛びぬけて高額で目立ちます。
がんはグラフに3部位載せていますが、どれも60万円台で、入院件数が比較的多い「統合失調症,統合失調症型障害及び妄想性障害」は37.4万円、「脳梗塞」は63.6万円等となっています。
「妊娠及び胎児発育に関連する障害」は胎児の性別で判断して男性にも載っていますが、99.6万円もかかります。
グラフを見て感じるのは、同じ入院でも傷病によって1件あたりの入院医療費にかなり差があることです。最も高い「心臓の先天奇形(152.9万円)」と最も低い「前立腺肥大(症)(31.5万円)」では5倍程の差があります。
なお、グラフの1件あたりの医療費は費用全体(10割)の額なので、健康保険加入で自己負担割合が3割であれば、グラフの額を0.3倍した額が自己負担額となります。
例えば、糖尿病の416,789円なら416,789×0.3で、自己負担額は約12.5万円になります。高額療養費制度によって負担額をさらに軽減させることができます。
1件あたりの入院医療費は男性の方が5千円以上高い
次に女性の1件(1回)あたりの入院医療費を傷病別にグラフにしてみました。女性特有の疾病も含まれるため、男性のグラフとは一部傷病の種類が異なっています。
女性の入院医療費でも「白血病(149.2万円)」と「心臓の先天奇形(132.4万円)」が飛びぬけて高額で目立ちます。最近はほとんど聞きませんが「重症急性呼吸器症候群[SARS](105.8万円)」もかなり高いので載せておきました。
女性特有の「子宮がん」は60.5万円、「乳がん(男性もゼロではない)」は55.4万円となっています。「悪性リンパ腫」や「くも膜下出血」等のように100万円近くかかる傷病もあれば、「高血圧性疾患」や「アルツハイマー病」等のように40万円程度の傷病もあります。
男性と女性で同じ傷病の1件あたりの入院医療費を比べると、どちらが高いかは傷病ごとに分かれており、性別での際立った傾向は特にありません。例えば「虚血性心疾患」は男性の方が12万円高いですが、「関節症」は女性の方が6万円高くなっています。
入院した時にかかる医療費は傷病によってかなり異なりますが、主だった傷病の医療費は何となくイメージできたのではないでしょうか。
病気やケガで入院した時への備えとして多くの人が医療保険等に加入していますが、治療に必要な給付金を受け取れそうなのか、保障内容を改めて確認してみると良いです。もし保障に過不足があれば内容を見直して、安心できる備えを確保しておきましょう。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者