受験シーズンの費用はどれくらい? 交通費や宿泊代はもちろん、入学金の支払い期限にも注意!
配信日: 2019.09.24
しかしながら、大学進学を考える場合、入学してからだけでなく、その前の受験においてもかかるお金が多くなりがちであることに注意が必要です。
執筆者:柴田千青(しばた ちはる)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
2級DCプランナー/精神保健福祉士/キッズ・マネー・ステーション認定講師/終活アドバイザー
小美玉市教育委員
出産を機にメーカーの技術職から転身。自身の資産管理や相続対策からお金の知識の重要性を知り、保険などの商品を売らないFPとして独立。次世代に伝えるための金銭教育活動とともに、セミナー講師・WEB記事を中心とした執筆・個別相談などを行う。
受験料はどれくらい?
受験料は必ずかかってくる費用であり、大まかに次のようになっています。
(1)センター試験 3教科以上1万8000円、2教科以下1万2000円
(成績通知を希望する場合、手数料800円)
(2)国公立大学 1校につき1万7000円(前後期とも受験する場合は3万4000円)
(3)私立大 1校につき約3万5000円(医学部歯学部は4~6万円)
同じ大学でも複数の学部・学科の併願や、センター試験利用等で複数の方式での受験をする場合には、その分の受験料がかかってきます。
同一校で複数受験する場合は、割引が設けられている場合もありますので、一概に受ける数に比例してかかる額が増えるわけではありませんが、数万円単位で変わってきますので、チャンスは増えるもののいくつ受験するかはよく考えましょう。
交通費や宿泊代の費用も考えよう
大学になると、遠方でも下宿やアパート等で一人暮らしをしながら通いたいという人も多いでしょう。そういった大学を受験する際には、交通費や、日帰りで行けない場合の宿泊費等もかさんでくる場合があります。
例えば東京~大阪だと、交通手段にもよりますが、電車利用で往復の交通費だけで3万円程度かかります。また宿泊費も、ビジネスホテル等の利用でも8000円程度は少なくともかかるので、1回受験するために交通費と宿泊費をあわせて4万円弱かかってくるのです。
複数回受験するとその都度、交通費や宿泊費もかかることになります。私立大学のように近い日程で試験を受けられるときには、ウィークリーマンション等を利用して往復の回数を減らした方が、費用面だけでなく体力面からも良い場合もあるでしょう。
また、センター試験の結果のみを利用したり、地方会場での試験を受けられたりといった受験方法を用意している学校もあるので、志望する大学の要項を確認し、どのような受験方法を選択するかしっかり考えていきましょう。
入学金の支払い期限にも注意しよう
複数の大学を併願する人も多いと思いますが、併願校に合格したら期日までに入学金の支払いなどの入学手続きをしておかないと、入学資格を失ってしまいます。大抵、上位の志望校の合格発表の方が遅いことが多いので、併願校の入学手続きの期限がその前に到来する場合、浪人を避けたければ、志望校の合否を待たずに併願校へも入学金を支払う必要が出てきます。
入学しなかった場合でも、入学金に関しては返金されることはまずありません。各大学や学部学科で異なりますが、私立の入学金は文系でも20万円以上(※1)かかり、複数校へ支払うと大きな負担となります。
同じ大学内であれば後から合格した学部学科への振替ができるようにしている大学もありますが、複数校受験するときにはそれぞれの入学手続きの期限と合格発表のタイミングも確認し、できる限り入学しなかった学校への支払いが少なくなるようにしましょう。
日本政策金融公庫の平成30年度教育費負担の実態調査結果(※2)によると、大学の受験料と、受験にかかった交通費や宿泊費等の受験費用の合計は、子供一人あたり37.2万円、入学しなかった大学への納付金が10.4万円です。
あわせて47.6万円は、大学の入学時納付金(授業料を除いた入学金や施設設備費などの入学時に学校へ支払った費用)40.9万円を超えてきます。
受験時には入学費用と同じくらいの受験費用がかかり、やみくもに併願を増やすと受験費用が高額になって、その後の学費へも響いてきます。
大学入試改革で試験内容が変わるため、浪人を避けようと今期は受験機会を増やしがちでしょうが、受験方法も複数選べるようになってきているので、志望する大学についてよく調べ、費用面からもどのようにスケジュールを組むかよく考えるようにしましょう。
出典
(※1)文部科学省 平成29年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
(※2)日本政策金融公庫 平成30年度教育費負担の実態調査結果
執筆者:柴田千青
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者