いざという時にしっておきたい、犬や猫の治療費はいくらが相場?
配信日: 2019.11.13
そのため、治療を終えて料金を請求されたとき、果たしてその金額は妥当なのかと気になることもあるのではないでしょうか。そこで、今回は動物病院の治療費の相場を調べる方法について解説します。
執筆者:横山琢哉(よこやま たくや)
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター
保険を得意ジャンルとするFP・フリーライター。
代理店時代、医療保険不要論に悩まされた結果、1本も保険を売らずに1年で辞めた経験を持つ。
FPとして、中立公正な立場から保険選びをサポートしています。
あなたの動物病院は相場と比べて高いのか
公益社団法人 日本獣医師会は平成26年に「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査」という調査を行っています。
この調査では全国1365名の小動物臨床獣医師に対してアンケートを行い、検査や治療の種類ごとの料金を尋ねています。また、同時に3096名の一般飼育者に対してもアンケートを行っています。
この調査の特徴は質問の数がとても多く、かつ、分かりやすく結果を集計・公表しているため、一般飼育者でも参考になるデータが多いという点です。犬や猫を飼っているならぜひ参考にすべき資料と言えます。
一例として、初診料・去勢・避妊の料金を引用してグラフを作成してみました(以下、猫の例で解説しますのでご了承ください)。
・初診料
初診料についてはほとんどの動物病院で500~2000円の間に収まっています(90.9%)。なお中央値は1386円です。
・猫去勢
猫の去勢手術は1万~1万5000円がボリュームゾーンです。保護団体などに対して安価な料金で手術を行う動物病院もありますので、その点も念頭に置いて参考にしてください。
・猫避妊(卵巣子宮切除)
猫の避妊手術は去勢よりもやや高めの料金となっています。中央値は2万986円で、卵巣切除の場合も1万9833円なのでほぼ変わりません。卵巣子宮切除を実施している動物病院が多いようです。
このようなデータを活用すると、その動物病院の料金相場が全体的に高めなのか安めなのかということが、おおまかに把握できるのではないでしょうか?
治療の種類によっては大きな幅があることも
同アンケートの結果をみていると、治療の種類によっては動物病院ごとの料金の違いが大きいものがあることが分かります。例えば大腿骨骨折の場合、5000円未満(1件)のところもあれば30万円以上(20件)のところもあります。
この例はやや極端ですが、治療内容によってはこのように大きく幅があることも覚えておく必要があるでしょう。
飼い主に対するアンケート結果も参考に
飼い主に対するアンケートの結果で、筆者が知っておくべきと感じた点を列挙すると以下のとおりです。
・猫の飼育にかける概算費用(1ヶ月)は平均1万280円。「1万円未満」と回答した人が65.7%で最も多い。
・そのうち動物病院にかける費用(1ヶ月)は平均6991円。
・これまでにかけた治療費の最大額は5万4197円。年齢別でみると、0歳~6歳が4万7251円、7歳~12歳が5万2821円、13歳以上が6万5208円。
実際に飼ってみると分かりますが、猫は病気さえしなければ飼育にそれほどお金はかかりません。ただし、治療費の最大額については注意しておく必要があります。平均では5万4197円なので、動物病院が自由診療であることをきちんと理解している人ならそれほど驚く金額ではないでしょう。
ただし、中には30~40万円程度と回答している人も一定数いることが分かります。以下のデータも参考にしてください。
備えを考えるときは平均値をみるのではなく、多額のお金がかかったときのことを想定する必要があります。実際にかかる生涯の治療費には個体差がありますので、いざというときのために別枠でコツコツと貯蓄をしておくことをおすすめします。
料金の単純比較に注意
普段、利用している動物病院の料金が一般的な相場と比べて高かったとしても、それをもって、その動物病院が不適切な料金を請求しているとは言えません。
高額な費用のかかる設備を導入している動物病院や珍しい病気にも対応できる動物病院の場合、その検査・治療機器にかかる費用を初診料や入院料などの費用などに少しずつ上乗せし、他の患者にも広く負担してもらっている可能性もあります。
最終的にその動物病院が請求する料金が妥当なのかどうかは設備の充実度や営業時間の長さ、獣医師やスタッフの対応などを総合的に考慮し、自身で判断するべきでしょう。
出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査結果及び飼育者意識調査(平成27年6月)」
執筆者:横山琢哉
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会 AFP認定者)
フリーランスライター