サブリースをはじめる前に、デメリットも理解しよう!
配信日: 2020.03.20
貸主には家賃保証などのメリットがありますが、注意しなければならない点もあります。サブリースの特徴を理解した上で、サブリースを選択するか否かを決めましょう。
執筆者:岡田文徳(おかだふみのり)
認知症大家対策アドバイザー
人生100年時代を生き抜くために大家さんの認知症対策と不動産賃貸経営のサポートを行なっている。
祖父が認知症になり、お金が下ろせない、賃貸業はストップ、収益の出ない物件を買わされそうになる。
祖父の死後、両親と認知症対策を行い、自ら賃貸経営ノウハウや人脈を構築し、日々改善している。
現在は、大家さん向けにセミナーやコンサルティングを行なっています。
賃貸不動産の管理方法を理解しよう!
賃貸不動産を所有し貸し出す場合、管理業務が発生します。管理方法には主に3つがあります。
(1)自主管理
(2)管理委託
(3)サブリース(一括借り上げ)
自主管理、管理委託とサブリースでは、管理の方法が大きく異なることを理解する必要があります。
(1)自主管理
自主管理では、入居者の管理や業者の手配などをすべて大家自身が対応することになります。
例えば、内装関連業者、水道関連業者、電気関連業者、ガス関連業者、賃貸仲介会社、修繕関連業者などへの連絡と手配が発生します。
また、入居者からの連絡も大家が行うことになります。物件の近くに住んでいれば、すぐに対応できるかもしれません。しかし、物件から遠いところに住んでいても、すぐに対応できるようにしておかなければなりません。入居者からクレームをいわれても大丈夫な人でなければ、自主管理は難しいかもしれません。
(2)管理委託
管理委託は、入居者の管理や業者の手配などを管理会社に任せる方法です。物件から遠いところに住んでいる場合には、良い方法といえるでしょう。一方で、自主管理とは異なり、管理委託費がかかります。管理委託費に見合う仕事を管理会社に行ってもらえるかを確認する必要があるでしょう。
自主管理と管理委託では、賃貸借契約が入居者と大家の間で結ばれる点で共通しています。賃貸借契約を結ぶために不動産会社が関わったとしても、それは賃貸仲介という形です。
サブリースを理解しよう!
(3)サブリース(一括借り上げ)
サブリースが自主管理や管理委託と大きく異なる点、それはサブリースの場合、サブリース会社と大家との間で賃貸借契約が結ばれることです。この契約がいわゆるサブリース契約というものです。
サブリース会社は入居者を見つけ、入居者との間で賃貸借契約を結びます。つまり、サブリース会社が大家との間では借主という立場であり、入居者との間では、貸主という立場になります。
サブリースでは、管理業務を一括でサブリース会社に委託できるというメリットがあります。大家は入居者や関連業者とのやりとりをする手間が省けます。また、空室であってもサブリース会社から賃料が支払われる家賃保証があることもあり、収入の安定につながります。
しかし、自主管理や委託管理とは異なり、サブリース会社との契約解除が難しいことや、家賃の減額の可能性といったデメリットもあります。ここで理解しておきたいのが、借地借家法です。
借地借家法について、理解しておこう!
サブリース契約をする前に、借地借家法という法律を理解しておかなければなりません。サブリース契約において、特に借地借家法に関する問題がおこるのは、第二十八条、第三十二条になります。
第二十八条 建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件
第三十二条 借賃増減請求権
第二十八条においては、契約を解除するために、正当事由が必要となるということです。大家が契約を解除するためには、正当事由の要件が厳しいということです。
第三十二条においては、家賃を増減額できるということです。サブリースの場合には、サブリース会社に家賃の減額を提言されることがあります。
家賃の減額を提案された場合には、サブリース会社の提案をうのみにすることはやめましょう。まずは、相場の家賃を大家自ら調べてみましょう。
相場の家賃とサブリース会社から提案された家賃との間に大きく差がある場合には、大家からサブリース会社に相場の家賃を提案しても良いかもしれません。つまり、大家自身が不動産賃貸業と考え、積極的に経営していくことが重要です。
まとめると、
・管理方法の違いを理解する
・契約関係の違いを理解する
・サブリース契約を行う前に注意するべきことを理解する
[出典] (※)e-Gov「借地借家法(平成三年法律第九十号)」
執筆者:岡田文徳
認知症大家対策アドバイザー