新型コロナウイルスの不安に付け込む詐欺。身に覚えのないマスクが宅配便で届いたら
配信日: 2020.05.30
そのような中で、身に覚えのないマスクが宅配便で届いた、という相談が消費生活センターに寄せられています。身に覚えのない商品が届いたときの対処法と注意点をお伝えします。
執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)
CFP(R)認定者
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。
身に覚えのないマスクの宅配便を受け取ってしまったら
消費者庁が次のような相談例をあげて注意を呼びかけています。
—–封筒に入った使い捨てマスク30枚が宅配便で届いた。家族もまったく心当たりがない。請求書は入っていないが、今後どうすればいいか—–
政府が全世帯に布マスクを配布することになっているので、勘違いして受け取ってしまったのかもしれません。でも政府配布のマスクは布製で、全世帯に2枚ずつ透明な袋に入った状態で送られますから、この事例で届いたマスクは明らかにそれとは違います。
買った覚えのない商品を送りつけて代金を請求する、「送りつけ商法」と呼ばれる詐欺である可能性が高いと思われます。
このようなとき、慌てて事業者に連絡してはいけません。大事なのは売買契約をしたかどうかです。まずは落ち着いて、事前に事業者から電話連絡がなかったか、確認してください。
連絡がなかったなら、連絡があったとしても商品の購入申し込みをしていないのなら、売買契約は成立していません。売買契約が成立していなければ、開封してしまっても、お金を払う必要はありません。事業者に連絡する必要もありません。届いたマスクはそのまま手を付けず、14日間が経過するのを待ちましょう。
商品が届いてから14日間が経過しても事業者からの引き取りがなければ、商品を自由に処分して構いません。その後に事業者が商品を返せと言ってきても、応じる必要もありません。
14日間は長いので、事業者に連絡して引き取りを請求すれば、請求から7日間に短縮できます。ただし連絡をしたら、電話番号などの個人情報を知られ、悪用される危険があります。ですから、14日間待つのが賢明です。
売買契約をしてしまっていたら
もし売買契約をして商品が届いたのだとしても、契約書面を受け取って8日以内であれば「クーリング・オフ」で契約を解除できます。契約書面を受け取ってから8日以内ですから、契約書面を受け取っていないのであれば、いつでも解除できます。
クーリング・オフができるか不安なとき、どのようにすればよいのか分からないときは、消費生活センターに相談をしましょう。消費者ホットライン「188」に電話すれば、最寄りの消費生活センターを案内してくれるということです。
マスク以外に、こんなものが送られてくるケースも
消費生活センターに寄せられたコロナウイルス関連の相談には、次のような事例もあります。
——大手製薬会社名で新型コロナウイルス治療薬に関する書類が届き、後日、電話で社債の購入代金の支払いを求められた—–
本当に新型コロナウイルスの治療薬を開発している大手製薬会社の社債であれば、購入を検討する価値があるでしょう。でも、社債は証券会社を通じて購入するもので、製薬会社が一般の人に社債購入の勧誘をするとは考えられません。
このような不審な投資の勧誘があった場合も、消費生活センターに相談しましょう。しつこい勧誘があっても、消費生活センターや警察などに相談していることを伝えると、ほとんどの場合は何も言ってこなくなるようです。
ただ、実際に被害がなくても、不審な荷物が届いたり、電話がかかってきたりすると嫌な気持ちが残ります。宅配便が届いたときは、受け取る前に差出人と中身を確認して、不審な場合は受け取り拒否をするよう心がけましょう。
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者