更新日: 2020.05.30 子育て
コロナで金銭教育。利息や投資のしくみを教えてみよう
住民基本台帳上の世帯主が世帯分をまとめて請求する形式になりそうですが、子どもも対象のひとりとして1人あたり10万円が給付されます。
この10万円を実際に使うか貯金するかはそれぞれだと思いますが、子どもが10万円というお金を手にすることをきっかけに、金銭教育・投資教育について考えてみてください。
執筆者:西村和敏(にしむらかずとし)
ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者
宅地建物取引士
くらしとお金のFP相談センター代表
https://fplifewv.com/
国家公務員や東京でのFP関連業の実務経験を積み2005年に出身地の宮城県仙台市で起業。
2010年から現在まで東北放送ラジオにてお金やライフプランについてのレギュラーコーナー出演中。
全国経済誌「週刊ダイヤモンド」の保険特集に毎年協力。独立起業後に住宅ローンを借りて、土地を購入しマイホームを建てた経験から、相談者にリアルなマイホーム購入・住宅ローンについてのアドバイスも行える。本当に安心して購入できるマイホーム予算についてアドバイス多数。
東日本大震災以前から防災・減災の観点からのマイホーム購入アドバイスを行い、相談者の減災につなげる。
自治体や企業等からのライフプラン研修の講師を務める際にはクイズ・ゲームを取り入れ受講者に楽しんでいただくことが得意。
2児の父であり、仙台で毎年「子育てママの家計塾」を開催して子育て中の家庭に実体験から育児の悩みに答える。
学習塾にほとんど通わせずに自身の子どもの進学校合格へ導いた経験から「お金をかけない子育て」についてもアドバイスを行っている。
子どもに10万円の資金
最近は、子どもへの金銭教育が浸透してきましたが、まだまだ子どもにお金儲けを教えること、特に汗水流して働かないでお金儲けするイメージがもたれる金銭投資を教えることに、抵抗がある方は多くいらっしゃることでしょう。
しかし、社会や金融の仕組みを子どもの頃から学ぶことは、将来社会に出たときに役に立ちます。怪しい投資話にだまされないように自衛できるようになるかもしれません。
今回給付される10万円を資金と考えて、子どもに金銭教育・投資教育ができる方法をご紹介いたします。
預金利息をお小遣いにする
国民的アニメ番組に登場する未来の世界のひみつ道具に、預けたお金に高金利をつける銀行(ATM)があります。普通預金なら1時間10%、1ヶ月定期預金なら1時間20%という夢のようなひみつ道具です。
これを参考に、子どものお小遣い制度を次のように変えてみると金銭教育になります。例えば、子どもの1ヶ月のお小遣いが3000円だとします。
このお小遣い制度を中止して、親が銀行の役割になって今回の10万円を預かります。
預かったお金に対して1ヶ月3%の利息を約束します。
10万円の1ヶ月3%の利息は3000円となりますので、これまでのお小遣いの金額と変わりません。
しかし、利息の3000円を使わずに親に預けたままにすると、次の月の利息は預金残高10万3000円の3%で3090円となります。
1年間1円もお小遣いを使わずに預けておけば、1年後には約14万2600円の預金残高になるため、1ヶ月あたりのお小遣いがその3%の4278円となります。最初の3000円から大幅なお小遣いアップです。
お小遣いを使うことを我慢して貯金しておくと、将来のお小遣いが増えることにより、本当に必要なものをしか買わないようになったり、今すぐ欲しいものがあっても、1ヶ月先まで我慢できるようになったりするかもしれません。
金融の世界で有名な「72の法則」を使えば、金利月3%だと24ヶ月後に元本は約2倍になることが分かり、複利の効果を学ぶことができます。
72の法則を使わずに、実際に子どもに計算させると、算数の勉強にもなります。
なお、この条件で10年間利息を全額預けておくと、預金残高は約347万1100円になり、金利月3%の支払利息は月10万円を超えます。
これでは親の財政破綻を招きかねませんので、金利の調整、預け入れ金額の上限、預け入れ期間の上限を設けるなど対応してください。
仮想で株式投資をする
意外と思われるかもしれませんが、子どもが今回の10万円を元手にして、株式投資デビューすることも可能です。未成年者の場合、取引主体は原則保護者となりますが、実際の株式を購入することは制度としてできます。
証券会社では、未成年口座が作れます。ジュニアNISAという非課税枠制度(※1)を利用することもできます。
しかし、子どもに本物の株式投資をさせるのは親として抵抗があるかもしれません。
そのときは、インターネット上の株式投資のシミュレーションソフトを利用しましょう。
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業の株価が下がっておりますので、10万円の資金でも単元株を購入できる銘柄はいくつもあります。
複数の株式を購入することで、ポートフォリオを組むこともできます。
あくまでも株式投資はシミュレーションソフトのなかだけで、給付された10万円は親が預かったり、生活費として使ったりして構いません。
しかし、子どもが具体的な10万円という資金を手にしたことをきっかけに、シミュレーションとはいえ、株式投資をどのように勉強していくのか見守ることができます。
親自身もシミュレーションに参加して、親子で勉強してもいいでしょう。
子どもに金融投資でのお金儲けに執着させたくなければ、子どもが好きなおもちゃやゲームを販売している会社の株式がどのようになっているかを見ることだけでも構いません。
今回の10万円給付をきっかけに、子どもの年齢や関心にあった金銭教育・投資教育の機会を設けてみてください。
※ご注意
今回ご紹介した方法は、家族内でのお小遣い制度を工夫することによって、子どもに金銭教育・投資教育の機会を提供するためのものです。
金融庁等の許可等を得ずに、利益・配当等金銭の支払いの約束などをして、他人のお金を預かる等の行為や株価を予想する賭け事等は、違法行為となり罰せられることがあります。
執筆者:西村和敏
ファイナンシャルプランナー CFP(R)認定者,宅地建物取引士