更新日: 2020.06.01 その他暮らし

大阪府への転入・転出者ってどれくらい?転入超過は近隣県、転出超過は東京

執筆者 : 松浦建二

大阪府への転入・転出者ってどれくらい?転入超過は近隣県、転出超過は東京
日本は人口が減少し始め、過疎化に悩んでいる地域もある一方で、人が増え続けている魅力ある地域もあります。日本のどこが魅力あるのかを知るには、人の動きを確認するとわかりやすいです。
 
そこで、統計データをもとに都道府県ごとの人の転入出状況を確認してみました。地域によって暮らしに必要な資金の計算も違ってきます。転出入の計画のある方は、事前に確認してみてください。今回は大阪府に着目してみました。
松浦建二

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

大阪府の社会増は1年間で8064人

人口は出生や死亡による自然増減と、人の移動による社会増減によって変化します。今回取り上げるのは社会増減のみですが、人の移動は人の意思によってすることから、地域ごとの人気の有無が良くわかります。
 
魅力のある(住みたい)地域は転入者が増えやすく、魅力のない(住みたくない)地域は流出者が増えやすくなります。
 
まずは総務省の住民基本台帳人口移動報告から、2019年の大阪府内での移動者数、大阪府への転入者数、大阪府からの転出者数、転入超過数を確認してみました。
 
府内移動者……府内で市区町村の境界を越えて住所を移した人
他都道府県からの転入者……他の都道府県から大阪府内へ住所を移した人
他都道府県への転出者……大阪府から他の都道府県へ住所を移した人
転入超過数……転入者数から転出者数を引いた数で転入超過数がマイナスは転出超過を示す
 


 
2019年の1年間に、大阪府は他の都道府県から17万5702人が転入しており、大阪府内では23万7561人が府内の市区町村から他の市区町村へ移動しています。大阪市と堺市の場合、それぞれの市内で違う区へ移動した場合も含みます。
 
そして、他の都道府県へは16万7638人が転出していることで、大阪府の1年間の転入超過数は8064人となっています。性別では男性1245人に対し女性が6819人で、特に女性の転入超過数が多くなっています。
 
人口減少している時代なので、転入が超過している都道府県のほうが少ないですが、東京都の転入超過数(8万2982人)とは10倍以上の大きな差があります。

大阪の転入は近隣県から、そして転出は東京へ!

では大阪府の転入超過はどこが要因となっているのでしょうか? 大阪府への転出超過数が特に多い都道府県と、特に少ない都道府県を探してみました。
 
大阪府への転出超過数が多い都道府県・少ない都道府県


 
大阪府は近隣の府県から多くの転入者がいて、転入超過状態になっています。表以外でも奈良県817人、滋賀県404人などいずれも大阪府への転入が超過しています。他には岡山県(1003人)や広島県(1573人)、愛媛県(903人)等、中国・四国地方からも転入が超過しています。
 
一方で転入超過数がマイナス(転出超過)の都道府県も6つあり、特に東京都へは8231人ものマイナスになっています。大阪府は約8000人の転入超過なのに東京都に対して約8000人の転出超過ということは、東京都以外に対しては倍の1万6000人の転入超過ということになります。
 
他に転入超過数がマイナスなのは、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、沖縄県しかありません。群馬県が入っているのはなぜなのでしょうか。

大阪府は3月・4月以外は人が転入してこない?

最後に、大阪府の転出入状況を月ごとに15年間(180ヶ月)調べてグラフにしてみました。1つ目のグラフが直近の2015年4月からの5年間(60ヶ月)、2つ目はその前の2010年4月からの5年間、3つ目はさらに前の2005年4月からの5年間です。
 


資料:総務省「住民基本台帳人口移動報告(各月の月報)」
 
2019年度は11月を除いて毎月転入超過となっていて、2020年3月の5621人は15年間で最多です。ただ、2018年度まではマイナス(転出超過)がかなり目立ちます。
 

資料:総務省「住民基本台帳人口移動報告(各月の月報)」
 
2010年代前半は転入超過数がマイナスの月のほうが多くなっています。2011年4月の転入超過数3284人は、4月としては15年間で最多です。前月の東北地方太平洋沖地震による影響が何かあったのかもしれません。
 

資料:総務省「住民基本台帳人口移動報告(各月の月報)」
 
2005年から2008年までは3月と4月しか転入超過になっていなく、他の10ヶ月はすべて転出超過となっています。
 
15年間(180ヶ月)を月ごとに見ると、転入超過が多い月は3月(15回すべて)、4月(14回)、2月と5月(7回)です。逆に転入超過が少ない月は11月(1回もない)、1月と10月と12月(1回)、9月(2回)です。
 
大阪府は15年間で転入超過がわずか61回しかありません。そのうちのほぼ半数の29回が3月と4月に集中していて、その他の月は150ヶ月のうち118ヶ月も転入超過数がマイナスになっています。
 
つまり、大阪府は年度替わりの3月と4月に大きく人を増やしていますが、その他の季節(特に冬場)は慢性的に人を減らしています。転勤で半ば強制的に転出する人もいれば、府外に住居を確保して転出している人もいるでしょう。
 
ただ、東京都は15年間でわずか8回しか転入超過数がマイナスになっていないことと比べると、大都市の大阪としてはかなり心配になる状況です。
 
また、東京都と同じく、大阪府は周辺の他県に比べて物価や家賃が割高な傾向にあります。収入に見合った暮らし方や住む場所(家賃)についてもしっかり調べることをおすすめします。2019年に入ってからは転入超過が大きくなっているので、この状況が続くよう魅力度を上げていきましょう。
 
執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者


 

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