新型コロナで売り上げ激減! 小規模店舗や個人事業主が使える給付金・助成金・貸付制度は?(2)
配信日: 2020.06.12
今回は、各自治体の休業支援施策と貸付制度について説明します。
※本コラムは2020年5月2日時点の情報で執筆しています。
執筆者:伊藤秀雄(いとう ひでお)
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員
大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち会うなかで、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後はそれらの経験を仕事に活かすとともに、日本FP協会の無料相談室相談員、セミナー講師、執筆活動等を続けている。
自治体独自の中小企業・個人事業主向け休業支援施策
各都道府県は、国の給付金・助成金制度を補う形で独自に支援施策を導入しつつあり、主に休業要請先の施設が対象です。自治体によって実施主体も名称も異なりますが、条件に合致する中小事業者、個人事業者はぜひ活用したいところです。以下に、主な事例を挙げます。
表1
ご覧のとおり、支給条件が少しずつ異なり、支給額の区分や金額にも幅があります。ご自分の自治体のホームページで、細かい支給条件をご確認ください。現時点で県レベルでの取り組みを明らかにしていない自治体もありますが、市・区レベルで設置しているケースもあります。
なお、東京都では公認会計士や税理士等の専門家に事前確認を依頼してから、提出を強く推奨しています。専門家に依頼した費用については、一定の基準により東京都が別に措置するとなっていますので、円滑な給付に向けてご検討ください。
飲食店のテイクアウトやデリバリーへの業態転換支援
外出自粛や夜間の営業時間短縮の要請で、多くの飲食店の経営に深刻な影響が及んでいます。少しでも営業を続けようと、新たにテイクアウトやデリバリー(配達)サービス、移動販売に乗り出すお店が増えていますが、そのような取り組みに支援はあるのでしょうか。
商店街や地元コミュニティが、街の飲食店を「食べて支えよう!」とSNSで発信する動きがあちこちで起きていますが、残念ながら自治体レベルでの給付や助成の話はあまり聞こえてきません。その中で、東京都は新型コロナ対策として独自の支援事業を表明していますので、以下に紹介したいと思います。
表2 【飲食事業者の業態転換支援事業(東京都)】
東京都内で飲食業を営む中小事業者、個人事業主が対象です。テイクアウトの場合、今までランチ営業していなかった飲食店は、弁当のために炊飯器を増やしたり、プラ容器を調達するなど新たな出費がかかります。
パブやバルなら、例えばビールの量り売りのためにレンタルの持ち帰り専用ボトルをそろえるなど、店の「外」で消費してもらうための細かい準備を積み重ねると、それなりの金額になっていきます。
どうせなら、できるだけ必要経費をかけたあとに申請したいところですが、予算終了の場合は受付途中でも終わりになるので、タイミングを逸しないよう窓口に問い合わせながら申請準備をしましょう。
第1回申し込みは2020年4月23日開始で、交付決定予定日は6月1日、支給予定はさらに4ヶ月後となっています。すぐ助成金が振り込まれなければ事業が厳しい場合は、つなぎ融資の併用も検討が必要になります。
この支援事業についてのQ&Aを抜粋してご紹介します。都内ですでに業態転換している方は、公社のホームページで詳しくご確認ください。
表3
その他の資金調達方法:貸付制度
最後に、中小事業者や個人事業主への公的貸付制度について2つ取り上げます。返済が必要なので給付金や助成金に比べ負担が重くなりますが、目前の資金を調達するためには賢い使い分けが役に立つかもしれません。
表4
緊急小口資金は主に休業した人向け、総合支援資金は主に失業した人向けです。総合支援資金の貸付期間3ヶ月以内というのは、3ヶ月分借りられるということです。2人以上の世帯なら60万円になります。あくまで借金ですが、一時的にしのぐ選択肢にはなるでしょう。
ただ、これら貸付制度の受付も相当混雑しているようなので、早め早めに動くことが肝要です。
以上、2回にわたってご紹介してきた他にも、商工中金の「無利子・無担保危機対応融資」などがありますが、休業中の数ヶ月の固定費を賄うに足る、国の給付金制度あるいは制度拡充の話は、5月初め現在ありません。
限られた選択肢を組み合わせ、支給のタイミングが前後しないよう、早めの申請を行っていくことに留意しながら、もっと身近な市区町村の支援情報さえも見落とさないよう、目を配って備えましょう。
(出典)
経済産業省「ミラサポplus」中小企業向け補助金・支援サイト
東京都「新型コロナウイルス感染症に関する東京都の支援策(事業者向け)」
日本政策金融公庫「国民生活事業相談窓口」
執筆者:伊藤秀雄
CFP(R)認定者、ファイナンシャルプランナー技能士1級、第1種証券外務員、終活アドバイザー協会会員、相続アドバイザー