更新日: 2020.07.11 子育て

日本学生支援機構の奨学金の賢い返還方法とは?

日本学生支援機構の奨学金の賢い返還方法とは?
日本学生支援機構の貸与型奨学金の返還期間は、他のローンと異なり任意に設定できません。本機構の奨学金は、貸与総額によって返還期間(回数)が決まります。
 
一方、他のローンと同じように本奨学金も全部または一部を繰り上げて返還できます。繰上返還をうまく活用しましょう。
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

繰上返還の申込方法

繰上返還の申込方法は3通りあります。「スカラネット・パーソナル(インターネット)」「郵送・FAX」「電話」の3つです。

1.スカラネット・パーソナルによる申し込み(インターネットを利用した申し込み)

スカラネット・パーソナルは、奨学金を貸与・給付中の方や奨学金を返還中の方が、ご自身の奨学金に関する情報をインターネット上で閲覧できる情報システムです。申込期間内の土曜・日曜・祝日も手続きできます。奨学金情報の閲覧、返還口座などの確認が24時間可能です。
 
繰上返還の申込以外では、以下のことができます。
・転居・改姓・勤務先変更等の届出ができます
・在学猶予願・在学猶予期間短縮願の提出ができます
・各種証明書の発行依頼ができます
・あなたの奨学金情報の閲覧・確認ができます
・奨学金減額返還願・奨学金返還期限猶予願の作成・印刷ができます

2.その他の方法による申し込み(スカラネット・パーソナルが利用できない場合に限る)

(1)郵送・FAX
繰上返還の申込書は、日本学生支援機構のホームページからダウンロードできます。繰上返還を希望する月の1カ月前が締め切りです(締め切り前3カ月間が申込期間)。一部繰上返還を希望する場合、希望する振替回数(当月分+○○回分)または、繰上金額(上限)を記入します。
 
繰上返還希望月や繰上返還希望金額の、未記入が多いので注意しましょう。記入漏れがあると、振替希望月に繰上返還できなくなることがあります。
 
■宛先:〒162-8412 東京都新宿区市谷本村町10-7 日本学生支援機構 奨学事務センター
FAX:03-6743-6683
 
(2)電話
奨学金返還相談センターが申込先です。繰上返還を希望する月の前月が締め切りです。
TEL:0570-666-301(ナビダイヤル)

繰上返還の効果

繰上返還した場合、その繰り上げた回数分は期間短縮となります。また、第二種奨学金を繰上返還すると、その繰り上げに当たる期間の利息はかかりません。 ただし、据置期間の利息はかかりますので留意してください。
 
ところで、据置期間の利息ってなに、と思われた方も多いのではないでしょうか。
 
奨学金の返還は貸与終了後7カ月目から開始します。例えば3月に卒業した人はその年の10月から返還が始まります。したがって、4月から9月までの6カ月間が据置期間となります。据置期間の利息は、据置期間に発生する利息をすべての返済が完了するまでの期間をもとに、均等に分割されます。
 
日本学生支援機構のホームページに第二種奨学金を一部繰上返還した場合の返還例が載っていますので紹介します。
 
・借用金額 120万円
・年利率 1.9333333%
・月賦返還
・返還回数144回
 
〈通常返還した場合〉
34~43回目(毎月支払い)=9万4230円
返還金額 9万4230円
 
〈繰上返還した場合〉
1回目から33回目まですでに返還済みで、2015年9月27日に繰上返還(当月分+繰上9回分=計10回分)する場合
 
34回分(当月分)=9424円
35~43回目(繰上分)=7万1620円
返還金額 8万1043円
 
〈繰上返還の効果〉
35~43回目までの、通常返還した場合にかかる、1万3187円(=9万4230円−8万1043円)の利息がかかりません。

まとめ

有利子の第二種奨学金を繰上返還すると、返還期間が短縮され、利息も軽減されます。無利子の第一種奨学金は、返還期間が短縮されます。
 
繰上返還の手数料は無料です。奨学金は、将来、住宅ローンを組む時に影響しますので早めに返還するようにしましょう。女子の場合は、結婚・出産を機に退職し、収入がなくなる可能性がありますので、早めに返還すると良いでしょう。
 
一方、繰上返還すると手元の現金が確実に減るので、繰上返還は余裕資金で行うのが基本です。家計の収支のバランスを考えることも大切です。
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー


 

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