先行きが不安な時だからこそ、「毎月の支払い」は先に済ませておくべき?
配信日: 2020.09.08
このような状況下で、特にフリーランスの皆さんが気になるのは、家賃や人件費等の「ランニングコスト」ではないでしょうか?
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。
目次
フリーランスの「毎月の支払い」
フリーランスのランニングコスト(固定費)は、お店や事務所の家賃、スタッフの人件費に損害保険、それに各種の会費などが代表的なものではないでしょうか?
ランニングコストではありませんが、毎月コンスタントに必要な支払いとして、代表的なものに社会保険料なども考えられますね。フリーランスの方でしたら、国民年金保険料や国民健康保険料です。
先行きに一抹の不安がある現在、ランニングコストやコンスタントに必要な支払いは、毎月早めに済ませておきたいもの。あるいは、現金に余裕がある時は、まとめて先に払っておきたいものですよね。
国民年金を簡単におさらい
2020年度の国民年金保険料は月額1万6540円です。国民年金は、将来の老後の暮らしを支える年金としての役割だけではなく、万が一の時の遺族基礎年金や大きな障害を負ってしまった時の障害基礎年金があります。
国民年金は、さまざまなリスクに備える大切な保障です。
国民年金保険料の支払いが負担になったら
もし、国民年金保険料の支払いが負担になってきた場合、保険料の免除という選択肢もあります。支払い免除の申請をして受理されると、保険料の全額もしくは一部の支払いが不要となり、障害基礎年金や遺族基礎年金の受給要件を満たすこともできます。
ですが、期間以内に追納しない限り、将来の老齢基礎年金は免除の割合や期間に応じて受給額が減ってしまうという課題もあります
余裕があるのなら「前納」を
もし、現金残高に余裕があるのであれば、前納という方法もあります。
例えば、今年の9月分から来年(2021年)の3月分までの国民年金保険料で、以下、シミュレーションしてみます。
(1) 毎月、コンスタントに納めた場合の合計 11万5780円
(2) 前納を行った場合 11万4650円
(3) 前納した場合の差額(=(2)-(1)) 1130円
前納すると、一度に多額の支払いをしなければならないというデメリットもありますが、(1)に比べて(2)の前納のほうが1130円安くなっているのが分かります。
(3)の前納した場合の差額は、率にして0.975%(=(3)÷(1)×100 小数点第3位以下、切り捨て)です。どうせ納めなくてはならない国民年金保険料を、少しでも安くできるのはうれしいですよね。
さらに、先にまとめて納める“先行逃げ切り”ができれば、月々の支払いに不安がある方、今後の生活に不安を感じているフリーランスの方などは、少しホッとできるのではないでしょうか。
国民年金保険料の前納は、低金利の時代になかなかのパフォーマンス?
現在、2020年9月から再来年(2022年)3月分までの国民年金保険料を前納できます。先ほどと同じようにシミュレーションしてみましょう。
(4) 毎月、コンスタントに納めた場合の合計 31万5100円
(5) 前納を行った場合 30万6010円
(6) 前納した場合の差額(=(5)-(4)) 9090円
(6)の前納した場合の差額は、率にして2.88%(=(6)÷(4)×100 小数点第3位以下、切り捨て)です。
繰り返しになりますが、必ず納めなくてはならない国民年金保険料の支払いで、これほどのパフォーマンス(?)を得ることができるのは、なかなかではないでしょうか。
まとめに代えて
前述のとおり、毎月支払わなくてはならない「ランニングコスト」や社会保険料などの支払いを、資金に余裕がある時に済ませることができると、昨今のような先行きに一抹の不安がある時期の特にフリーランスの皆さんは、少しホッとできるのではないでしょうか。しかも、国民年金保険料の前納に関しては割引もされます。
国民年金保険料を前納することで、ランニングコスト等の毎月の支払いにゆとりが生まれるのでしたら、しっかりと今後の予算を組んだ上で、前納を検討してみるのはいかがでしょうか。
(引用)日本年金機構「前納金額一覧」
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役