更新日: 2020.10.17 その他暮らし
奨学金も繰り上げ返済できるの? どんなメリットがある?
今回は、奨学金の繰り上げ返還の仕組みやメリット、デメリットについて紹介します。
執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員
会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。
親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp
奨学金の概要
独立行政法人日本学生支援機構の奨学金を例に、まずは奨学金の種類について概要を紹介します。
奨学金には「給付型」と「貸与型」の2種類があります。
「給付型」は、住民税非課税世帯またはそれに準じる世帯で、成績についても一定の基準を満たした学生が対象です。給付されるタイプですので、奨学金を返す必要はありません。
「貸与型」は、世帯収入と成績について一定の基準を満たした学生が対象です。こちらは借りるタイプですので、奨学金については返す必要があります。借り入れが終わった約半年後から返還が始まります。
また、貸与型には無利子の「第一種」と利子が付く「第二種」があります。「第二種」は利子が付くため、利子の分だけ借りた金額よりも多く返す必要があります。また、採用基準は第一種の方が厳しく設定されています。
繰り上げ返還の仕組み
奨学金の返還は、毎月決められた日に口座振替で行われますが、まだ返還期日が来ていない分についても先に返還することができます。これを繰り上げ返還といいます。
独立行政法人日本学生支援機構の奨学金の場合、繰り上げ返還は「全額」と「一部」から選ぶことができ、一部を繰り上げ返還する場合は回数を指定します。
繰り上げ返還をすると返還終了の時期はその回数分だけ早くなり、例えば12回分繰り上げると完済の時期が1年間早くなります。また利子が付く「第二種」の場合は、繰り上げ返還した回の利息を払う必要がありません。
繰り上げ返還の申し込み方法は、奨学金を貸与・給付中もしくは返還中の方向けのサイトである「スカラネット・パーソナル」にウェブ上で登録をして申し込む方法と、郵送やFAX、電話による方法があります。
繰り上げ返還をするメリットとデメリット
繰り上げ返還をする大きなメリットは、利息の支払いを減らせることです。
奨学金の利率は比較的低めに設定されていますが、利息の負担はそれなりにあります。繰り上げ返還によって返済総額を減らすことができるのは、大きなメリットといえるでしょう。ただし、このメリットは利子が付くタイプの奨学金に限られるため、無利子の第一種奨学金では繰り上げ返還による金銭的メリットはありません。
また、返還時期が早くなることで、住宅購入や教育資金など、将来のライフプランを立てやすくなるメリットがあります。それまで奨学金の返還に充てていたお金を、今後の人生のための貯蓄や投資にまわすことができます。
一方で、繰り上げ返還のデメリットは手元の現預金が減ることです。
日常の生活のため、病気やケガなど万が一の出費に備えるために一定の預貯金を持っておく必要があります。また、自動車の購入など必要な支出が予定されている場合も無理をしない方がよいでしょう。繰り上げ返還をして手元のお金が減ってしまったために、他のローンを借りることになっては元も子もありません。
いったん繰り上げ返還したお金は戻すことができません。繰り上げ返還は、当面大きな出費がなく資金的に余裕がある場合にしましょう。手元に残しておくお金も考慮して、慎重に検討してください。
出典
独立行政法人日本学生支援機構「繰上返還」
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員