更新日: 2020.10.22 その他暮らし
マイナンバーカードは確定申告にも役立つ? 2021年3月からは健康保険証としての機能も
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
マイナンバーカードとは
行政を効率化し、国民の利便性や公平性を高める社会基盤として2015年10月からマイナンバー(個人番号)制度が導入され、住民票を有する全ての人に12桁のマイナンバーが付与・通知されるようになりました(※1)。2016年1月からは、マイナンバーが記載されたマイナンバーカードの交付も開始されています(※2)。
マイナンバーカードはICチップ付きのプラスチック製カードで、カードの表面には氏名、住所、生年月日、顔写真および有効期限などが、裏面にはマイナンバーが記載されています(※3)。
マイナンバーカードには、大きく分けて3つの役割や利用シーンがあります。
- ★(1)カードの記載事項を利用
- ★(2)ICチップによる電子証明書として利用
- ★(3)ICチップの空き領域の利用
表面は、本人確認が必要な場合の公的な身分証明書として利用できます。裏面は、マイナンバーの提示を求められたときに使用します。
ICチップには本人であることを証明する「利用者証明用電子証明書」の機能と、氏名、住所、生年月日、性別の4つの情報が記載された「署名用電子証明書」機能があります。
ICチップの空き領域は、国、都道府県および市区町村が各種証明書や独自のサービスなどに利用することができます。
マイナンバーカードでできることは
それでは、マイナンバーカードを持っていると何ができるのでしょうか(※3)。
1.マイナンバーを証明する書類として利用
例えば銀行や証券会社で新しく口座を開設する場合や、生命保険の保険金を受け取る場合などで、マイナンバーを証明する書類としてマイナンバーカードを利用できます。
2.各種行政手続きのオンライン申請などに利用
ICチップの署名用電子証明書を使用してマイナンバーカードのポータルサイト(※4)へのログイン、国税電子申告・納税システム(e-Tax)で確定申告書を作成・送信するなど、各種行政手続きのオンライン申請に利用できます。
3.本人確認の際の身分証明書として利用
金融機関における口座開設やパスポートの新規発給など、マイナンバーの提示と本人確認が同時に必要な場合にカードの提示またはICチップの署名用電子証明書を使用することで、マイナンバーと本人確認を同時に行えます。
4.コンビニなどで各種証明書の取得に利用
ICチップの利用者証明用電子証明書、または専用アプリを使用して、コンビニなどで住民票や印鑑登録証明書といった公的な証明書を取得することができます。なお、コンビニ交付情報サイト(※5)を利用して、サービスを提供している市区町村と利用できるコンビニなどをチェックできます。
5.市区町村などが提供するさまざまなサービスの利用
ICチップの空き領域を使用して、一部の市区町村では図書館カード、公共施設の予約、検診・健康診断などさまざまなサービスを提供しています。地域により提供しているサービスの内容は異なりますので、詳細はお住まいの市区町村に確認してください。
今後マイナンバーカードでできるようになることは
国はマイナンバーカードの活用促進を図っており、今後はさまざまな公共サービスや民間利用が推進される予定です。
1.健康保険証として利用できるようになります
2021年3月からはマイナンバーカードに健康保険証の機能が追加される予定で(※6)、マイナポータルでは利用の申し込みが始まっています(※4)。マイナンバーカードを健康保険証として利用することで、次のようなメリットがあります。
(1)通院などが便利になる
・顔認証付きカードリーダーで医療機関での受付が自動化されます。
・被保険者が同意すれば特定健康診断や過去に処方された薬の情報を自動で連携し、医師などと共有できるようになるため、情報に基づいた診療や薬の処方がスムーズに受けられます。
・マイナンバーカードによる情報連携により、高額療養費制度に基づく限度額を超える医療費の窓口での一時支払いが不要となります。
(2)手続きなどが簡単・便利になる
・転職や引っ越しなどの直後で健康保険証が未発行の場合でも、手続きが済んでいればマイナンバーカードを健康保険証として使えます。
・マイナポータルからe-Taxに連携できるようになり、確定申告における医療費控除の手続きが簡略化されます。
(3)さらにこんなこともできるように
健康保険証として利用するマイナンバーカードは、2022年夏をめどに以下の機能が追加される予定です。
・医師などと共有できる情報が、手術、移植、透析、医療機関名などに拡大されます。
・電子処方箋の仕組みが構築されます。
2.民間のオンライン取引などに利用できるようになります
オンラインバンキングなど各種の民間のオンライン取引に利用できるようになる見込みです。
マイナンバーカードを取得するには
このように便利なマイナンバーカードですが、その取得方法について説明します。
1.必要な書類を確認しよう
申請に必要な「個人番号通知書」または「通知カード」が手元にある場合とない場合では、申請手続きが異なります。また、必要書類が手元になく、自分自身のマイナンバーも忘れた方は、お住まいの市区町村役場で手続きしなければなりません。
2.4つの申請方法から選択しよう
必要書類が手元にある場合は、スマホ、パソコン、郵送または申請に対応している「まちなかの証明写真機」のいずれかの方法を選んで申請してください。「交付申請書」は、「個人番号通知書」および「通知カード」に同封されています。
3.「交付通知書」が届いたら市区町村役場でマイナンバーカードを受け取ろう
申請から約1ヶ月で市区町村から「交付通知書」が届きますので、交付通知書に記載された必要書類を持参し、市区町村の窓口でマイナンバーカードを受け取ります。
まとめ
マイナンバーカードには、身分証明書や電子証明書など便利な機能があります。さらに今後、健康保険証の機能などが付加されてますます便利になりますので、申請手続きをされていない方はこの機会に申請することをお勧めします。
出典
(※1)総務省 マイナンバー制度
(※2)総務省 マイナンバーカード
(※3)地方公共団体情報システム機構 マイナンバーカード総合サイト
(※4)内閣府 マイナポータル
(※5)地方公共団体情報システム機構 コンビニ交付
(※6)厚生労働省 マイナンバーカードの健康保険証利用が始まります
(※7)地方公共団体情報システム機構 個人番号カード交付申請
(※8)地方公共団体情報システム機構 個人番号カード交付申請書 兼 電子証明書発行/更新申請書
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士