更新日: 2020.12.16 子育て

子どもの受験はいつにする? 中学受験編

執筆者 : 當舎緑

子どもの受験はいつにする? 中学受験編
今年も残りわずかとなってきましたが、今年はコロナ禍の中、通学させるだけでも保護者にとっては心配な日々だったでしょう。習い事をやめたり、新たにオンラインの習い事を始めたり、お金の支出も計画どおりにいかなかったかもしれません。
 
ところが子どもの教育費は、支出の中でも一番計画性が必要な支出です。受験をいつの時期にするかによっても、家計の影響がまったく違ってきます。
 
今回と次回の2回にわたって、子どもの受験の時期と家計の影響を考えてみます。
當舎緑

執筆者:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

子どもが生まれた時に、教育スケジュールを考えるのは早すぎ!?

「子どもが生まれたばかりで、どう育つかわからないし、受験をいつにするのかなんてわかるはずがない」普通はそう思うでしょう。ところが、もし、中学受験を考えているのであれば、教育費を準備する時間が短くなります。
 
通常であれば、子育て世帯にとって、小学生までは最も貯蓄ができる時期です。その時期が短くなるのですから、「できるだけ早く」準備を始めることはとても大事なことだといえます。
 
中学受験をするかどうか決定するのは子どもに任せるといっても、実際決定できるのは、小学生の低学年の時に、子どもに「受験したい」と言われても、1〜2年しかなければ準備もほとんどできず、もし希望どおり中学受験に合格できても、その後の家計が自転車操業になる可能性があります。
 
生まれた時に、ちゃんと教育スケジュールを立てること、これは早すぎるということはまったくないのです。
 

教育費の準備をする時の心得とは

令和元年12月18日に発表された、文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査の結果」からは、いろいろなことがわかります。調査結果の概要から抜粋した結果を見てみましょう。

高等学校には、就学援助制度ができましたので、平成30年度の結果よりも、今年の教育費は減っているでしょうが、全体的に教育費は上がっていることがわかります。
 
教育費は上がることはあっても、減ることがなかなかない費用です。特に私立の場合の増加が大きいことは予想どおりですが、中学校から私立に進学するには、かなり覚悟を必要とされることがわかるでしょう。
 
私立の中学校を受験するために理想的なスケジュールは、小学生の低学年までに、大学の費用を準備し、小学生高学年以降の教育費は毎月の給与から支出するというスケジュールがいいでしょう。小学校4年生くらいから中学校2年生くらいまで貯蓄できるところ、5年も早まるというのは大変なことです。
 
教育費は時間を味方につけることで、さらに有利に準備できますが、その方法が使えないのです。


 

年収から教育費を考える

中学受験をすることは悪いことばかりではありません。私立ではなくても公立の中高一貫校もありますから、必ずしも家計に負担が重いという悪い側面ばかりを見る必要はありませんが、塾に行かないという選択肢はあり得ません。ちなみに、世帯別の年間収入別の学校外活動費支出状況を見てみましょう。


 

 
この表からわかることは、やはり私立学校に進学している方は、小学校での塾など学校以外の費用が非常に多いということ、世帯の年間収入が増加するにつれて、支出が増加する傾向があるという当たり前のことです。
 
ここからさらに考えていただきたいのは、自分の家計にとって、教育費の比重が重すぎないかということをしっかりと確認しておくべきということです。あくまでも、教育費を考えるのは最終学歴までです。
 
中学受験で、準備してきた教育費を使い切ってしまわないように、しっかりとした計画が必要なのです。サンプル数が少ないため、誤差の幅が大きいデータもありますから、あくまでも参考程度ですが、教育費は準備しても準備しても、予想外に多くなる費用であることをしっかりと覚えておいてください。
 
今、教育費を準備するために、従来の学資保険や、終身保険(の途中解約)、ジュニアNISAなど、さまざまな方法が考えられます。どの方法を採ったとしても、楽な道はありません。
 
特に、中学受験を考える場合には、さらに大変な道となるでしょう。子どもが生まれた時、「ひょっとして」中学受験をさせる、もしくは「許してあげる」という可能性があるのであれば、その時に慌てないよう、早め早めの計画を心がけたいものです。
 
(参考)文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。
 

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