更新日: 2021.01.06 子育て

新米パパのために、幼児教育無償化について解説

執筆者 : 酒井 乙

新米パパのために、幼児教育無償化について解説
2019年10月から始まった幼児教育無償化制度。この制度によって、すべての3~5歳児の保育園や幼稚園などの利用料が原則無償となりました。しかし、無償化制度の利用手続きや内容は結構複雑で、多くの親御さんが理解に苦労しているようです。
 
一方、筆者を含むパパは、つい幼児教育のことをママに任せがちです。しかし何でも任せるのではなく、苦労するママをそっとアドバイスできる程度の知識は、やはり持っておきたいものです。本記事ではそんな新米パパのために、知識の1つとして無償化の内容を広く浅く解説します。
 
これを読んでおけば、ママはパパのことを少しは見直す…かも?!
酒井 乙

執筆者:酒井 乙(さかい きのと)

CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。  
 
長期に渡り離婚問題に苦しんだ経験から、財産に関する問題は、感情に惑わされず冷静な判断が必要なことを実感。  
 
人生の転機にある方へのサービス開発、提供を行うため、Z FinancialandAssociatesを設立。 
 

まずは「幼稚園」「保育所」「認定こども園」の違いをおさらい

無償化の内容をよく理解するために、まずは「幼稚園」「保育所」「認定こども園」それぞれの違いを簡単におさらいしておきましょう(図1)。
 

 
「幼稚園」は満3歳になると誰でも入ることができる教育施設です。しかしひと口に幼稚園といっても、内容はさまざまです。子どもが3歳から通う「3年保育」や4歳からの「2年保育」が一般的ですが、満3歳になった時点で入園できる「満3歳児クラス」や、2歳児でも通える「プレスクール」がある幼稚園もあります。 
 
一方、「保育所」は0歳から通うことができる保育施設です。ただし、例えば幼稚園と違い保護者が働いている、または保護者が病気で家庭での保育ができないことが利用の要件です。 
 
そして、この「幼稚園」と「保育所」の機能を併せ持った施設が「認定子ども園」です。保育所のように0歳児から受け入れ可能でありながら、親が働いていても、働いていなくても子どもを受け入れてくれるのが特長です。 
 
これら3つの施設の利用は無償化の対象です。それ以外にも、定員が6人以上19人以下の少人数で、きめ細かな保育が可能な小規模保育所や居宅訪問型保育(いわゆる地域型保育)や、企業が福利厚生の一環として運営する保育所なども、同じく無償化の対象になっています。
 

すべての費用が無償化の対象ではない

「なるほど、そうした施設の費用は3歳からぜんぶ無料になったんでしょ?」 
 
もしそう思われているのであれば、それは誤解です。実際に無償化になったのは毎月の利用料です。それ以外の費用、例えば入園料や給食代(※1)、園が独自に教育の質を高めるために行うための「特定負担金」(例えば英語の授業に対す必要)、教材などの実費は、原則自己負担です(図2)。 
 

 
それでは、無償化にならない費用はどのくらいかかるのでしょうか? それは施設の運営方針や各自治体独自の補助があるかどうか、などによって大きく変わります。
 
参考までに、統計上の数値(※2)を基に算出すると、無償化によって公立幼稚園の授業料が毎月5517円、私立幼稚園で毎月1万7590円浮きますが、それ以外の費用(学校給食費を含む)は、無償化後もそれぞれ6129円/月、1万2599円/月かかります(図3)。
 

 

利用料のすべてが無償化になるわけではない

「それでは、どこの幼稚園に行っても利用料は無料になるの? 例えば、都内の有名校に行っても?」 
 
いえ、そうではありません。無償化される利用料には上限金額があります。 
 
例えば、「子ども・子育て支援新制度」に移行していない幼稚園では、無償化となる利用料は月2.75万円までです。それを超えた場合は、原則自己負担です(図4)。
 

 
ここでは「子ども・子育て支援新制度」の詳細な説明は省きますが、この制度に移行していない園は、独自の教育方針に従って運営している所が多く、その中には利用料が高額な「有名幼稚園」なども含まれます。ここでは幼稚園の利用料全額が、必ずしも無償化になるわけではないということを覚えておいてください。
 

無償化を受けるためには、市区町村からの「認定」が必要

無償化を受けるに当たっては、どんな手続きが必要なのでしょうか?
 
これも、どの園を受けるかによって書類内容が変わりますが、大前提として無償化を受けるためには、利用者として市区町村からの「認定」が必要になります。
 
この認定の区分は、1号、2号、3号の3つに分かれていて、子どもの年齢や、親が日中働いているなどの「保育を必要とする事由」があるかどうかによって変わります。この認定を受けることで、保護者ははじめて希望する施設を利用することができるようになります。   
 
この「認定区分」は、園から渡される市区町村への提出資料などに出てくるので、知らないと戸惑うことがしばしばあります。新米パパとして、このような認定の仕組みや区分があることは、覚えておくとよいでしょう。
 

でも、幼稚園選びはお金だけじゃない

ここまで、幼児教育無償化について説明してきました。
 
しかし、幼稚園や保育園選びは、何もお金の話だけではありません。園の教育方針、人気の度合い、申し込みのタイミング、給食またはお弁当か、自宅がバスの送迎範囲に入っているか、保護者参加はどの程度あるのか、など調べることはたくさんあります。
 
ママが1人ですべてを調べるのは大変です。お金のことが苦手なママもいることでしょう。どの分野でママを助けるか、夫婦で話し合えるとよいですね。
 
(出典および注釈)
(※1)給食代の内、副食(おかず・おやつ)代は、年収360万円未満相当世帯の子供たちとすべての世帯の第3子以降の子供たちについては、費用が免除されます。
内閣府「幼児教育・保育の無償化概要」
(※2)文科省「平成30年度子どもの学習費調査」より、「1学校種別の学習費」
 
執筆者:酒井 乙
CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。
 

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