更新日: 2021.01.08 子育て
高校から大学までの教育費、どう捻出する?
これから進学を迎えるお子さまがいらっしゃるご家庭では、気になることでしょう。進学したいとお子さまが希望したときに備えて考えてみましょう。
執筆者:杉浦詔子(すぎうらのりこ)
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。
2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。
子ども1人当たりにかける教育費
日本政策金融公庫が調査した令和2年度「教育費負担の実態調査結果」より、高校入学から大学卒業まで、子ども1人当たりに965.1万円の入在学費用をかけていることが分かります。
子どもが選択する進路により必要な金額は異なりますが、高校から大学までの7年間で単純に割っても毎年130万円以上の支出となります。世帯年収に占める在学費用の割合は平均15.9%となり、家計の支出の中でも大きな割合になっています。
入在学費用のみでも教育費を負担に感じますが、自宅からの通学が困難でアパートなどを借りる場合は、入在学費用に加え、年間平均90万円程度の仕送りが行われているようです。自宅外通学の子どもが1人いると、入在学費用と仕送りを合わせて年間220万円以上の教育費支出となると考えられるのです。
教育費の捻出方法
高校卒業後の子どもの進路の選択には、教育費を負担する保護者が歩んできた進路が少なからず影響しています。保護者が大学などを卒業し、安定した生活が見込めている場合には、子どもにも同じように大学などに進学し、安定した生活をして欲しいという考えで、家計から教育費を捻出していることが多いと思います。
教育費を捻出するため、何らかの対応が必要となりますが、29.5%の世帯は「教育費以外の支出を削っている(節約)」と回答しています。外食を減らしたり、旅行やレジャーを抑えたり、衣類を安く購入したりして、節約をしているようです。
その他には、「子供(在学者本人)がアルバイトをしている」(21.5%)、「預貯金や保険などを取り崩している」(20.4%)、「奨学金を受けている」(18.6%)などとなっています。
支出を減らし、アルバイトをし、預貯金を崩し、奨学金を受けて、教育費を捻出しても、それでも資金が不足するときはどうすれば良いのでしょうか。
「国の教育ローン」の利用
教育費を貯金や貯蓄では賄いきれない場合、収入が増やせない場合、子どもにかかる教育費が予想以上だった場合などに、利用されるのが国の教育ローンです。国の教育ローンは例外もありますが、子ども1人につき350万円以内の借入ができ、15年以内で返済します。
教育費のみが不足するので教育ローンを利用するケースもありますが、教育費がかかる時期と住宅ローンの返済時期が重なり支出が増え、教育ローンを選択するケースも見受けられます。
子どもが「進学したい」と言ったとき、「学びたい気持ちは分かるけどお金がないから諦めなさい」と言わなくてすむように、子どもが生まれたときから教育費の準備をスタートすることが望ましいといえます。
出典
日本政策金融公庫 子ども1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は増加 ~令和2年度「教育費負担の実態調査結果」~
執筆者:杉浦詔子
ファイナンシャルプランナー/産業カウンセラー/キャリアコンサルタント