更新日: 2021.01.14 子育て
高校生の子どもがいる中、コロナ禍で収入が激減。教育費を支援する制度はある?
令和2年度から新たに、家計急変により収入が激変した世帯も対象となりました。コロナ禍で収入が減り家計が苦しくなった人は「高校生等奨学給付金」をもらえないか調べてみましょう。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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授業料以外にも結構かかる教育費
文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」によると、学習費総額(学校教育費と学校外活動費の合計・年額)は、公立高等学校では45万7000円、私立高等学校では97万円となっています。
このうち学校教育費は、公立高等学校では28万円、私立高等学校では97万9000円となっています。
内訳は、公立高等学校の場合、授業料2万5378円、修学旅行・遠足・見学費3万5579円、学校納付金等5万5360円、図書・学用品・実習材料費等4万1258円、教科外活動費4万427円、通学関係費7万9432円などとなっています。
このように高校での教育費は授業料以外にも教科書や教材費など結構なお金がかかります。これら授業料以外の教育費を支援するのが「高校生等奨学給付金」です。
令和2年度に限り、オンライン学習(パソコンやスマートフォン等のICT機器を活用して家庭で行う学習)に関わる通信費の特例的な支援として、一定の要件を満たす場合に加算支給が実施されます。また、令和2年度から高校などの専攻科も新たに対象となりました。
高校生等奨学給付金
対象となるのは、生活保護世帯と年収約270万円未満(住民税所得割が非課税)の世帯です(他にも条件があります)。
給付額は家庭の状況や通う高校等が公立か私立かによって違ってきます。また、都道府県によっても違う場合があります。
国の基準によると、給付額は以下のようになっています。
- ○生活保護受給世帯【全日制等・通信制】
- ○非課税世帯【全日制等】(第一子)
- ○非課税世帯【全日制等】(第二子以降)
- ○非課税世帯【通信制・専攻科】
国立・公立高等学校等に在学する者:年額3万2300円
私立高等学校等に在学する者:年額5万2600円
国立・公立高等学校等に在学する者:年額8万4000円
私立高等学校等に在学する者:年額10万3500円
国立・公立高等学校等に在学する者:年額12万9700円
私立高等学校等に在学する者:年額13万8000円
国立・公立高等学校等に在学する者:年額3万6500円
私立高等学校等に在学する者:年額3万8100円
給付額は家計急変が発生した日によって異なります。6月30日以前に家計急変が発生した場合には上記の年額が支給されますが、7月1日以降に家計急変した場合は月割りになります。
申請日が月の初日の場合は、申請の月から算定した金額が支給されます。初日以外の場合は、申請月の翌月から算定した額が支給されます。
例えば、第2子の高校生等で12月18日に申請した場合、
12万9700円(年額)÷12カ月×3カ月(1月~3月)=3万2424円が1月から支給されます。
まとめ
授業料を支援する「高等学校等就学支援金」は多くの方が利用していると思いますが、「高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)」はあまり知られていません。
コロナ禍で収入が激減し、教育費の捻出が厳しくなったら、「高校生等奨学給付金(奨学のための給付金)」が利用できないか調べてみましょう。
問い合わせ先は、子どもの通う学校かお住まいの都道府県の担当窓口です。文部科学省のホームページに「高校生等奨学給付金のお問い合わせ一覧」というページがありますので参考にしてください。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。