更新日: 2021.01.21 その他暮らし
大学と専門学校ってどう違う? それぞれのメリット・デメリット
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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大学と専門学校の違い
大学は、学術的な研究を行う高等教育機関で、幅広い教養を身につけることができます。一方、専門学校は職業に直結する知識や技術を習得するための高等教育機関といえます。
そのため、4年制大学では1・2年で教養教育を、3・4年で専門教育を主に受けます。専門学校は総授業数の8割程度が専門教育です。
ざっくり表現すると、大学は「幅広い教養と専門知識を身につけ、考える力を養うところ」、専門学校は「専門的な知識・技能を身につけ即戦力を養うところ」といえます。
大学では原則として自由に科目を選択して履修できます。専門学校では、あらかじめ用意された科目を受けます。また、大学は単位制ですが、専門学校は主に時間制を採用しています(平成24年より単位制の学科の設置も可能です)。
大学設置基準によれば、大学を卒業するには、4年以上大学に在学し、124単位(1単位=45時間の学修)以上を修得することが必要です。専門学校では、年間800単位時間以上の授業時数が必要です。
大学は医学部・薬学部は6年制ですが、それ以外は4年制です。専門学校は1年制から4年制まであります。医療系の学科は3年以上です。
大学では卒業者に「学士」の学位が与えられます。一定の条件を満たした場合、2年制以上の専門学校では「専門士」、4年制では「高度専門士」の称号が与えられます。「専門士」は大学2・3年への編入学資格、「高度専門士」は大学院の入学資格となります。
専門学校の一般入試は、医療系や3・4年制の学科では学科試験を課すことがありますが、基本的には、学科試験はなく書類選考と面接の場合が多いです。大学に比べ、入試の時期も早く、一般入試の出願は11月1日からです(都道府県により異なる)。
給付奨学金と授業料等の減免がセットになった高等教育の修学支援新制度は、大学であればほぼ対象校となっていますが、専門学校では6割程度です(令和元年9月)。
東京労働局職業安定部職業安定課(令和2年2月)の資料によると、大学の求人初任給は21万円です。一方、専修学校の求人初任給は19万5000円です。大学の求人初任給を100とすると、短大で92.9、専修で92.9、高校では84.8となっています。
それぞれのメリット・デメリットは?
次に大学と専門学校それぞれの主なメリット・デメリットをまとめてみました。
大学では、カリキュラムを自分で組めるため、在学中に違った学科の分野を学ぶことができ、幅広く学ぶことができます。また、自由な時間が多くありますので、世界中を見て回るといったことに使うことができます。司法試験や公認会計士などの難関資格にチャレンジするのも良いでしょう。大卒は各種国家試験の受験資格を満たすのに有利です。
一方、自由な時間があることは無駄に浪費しがちというデメリットがあります。
新卒採用、中途採用ともに大卒を条件にしている企業が多いため、「就職の際の企業の選択肢が多い」というのは魅力です。ただし、目的意識が希薄なまま大学に進学して4年間無為に過ごした場合、大卒の肩書だけでは就職は難しいでしょう。
人脈が広がる点も魅力です。大学にもよりますが、アジアだけではなく欧米からもの留学生も多くいます。
学費に関しては、専門学校も大学も同じような分野・学科であれば年間にかかる学費はそれほど異なりませんが(異なる学科もある。例:看護)、大学のほうが修業年数が長いので、その分学費が高い点はデメリットといえます。
続いて専門学校のメリット・デメリットです。
専門知識や技術が身につきます。専門分野では大学をしのぐ教育カリキュラムを持つ学校もあります。調理師なら料理学校、パティシエなら製菓学校、美容師なら美容学校など、将来就きたい職業が明確であれば、特定の職業への就職がスムーズです。
一方、明確な目的意識を持たずに進学してしまい、授業に興味を持てない場合、学校内で方向転換が難しいため中退のリスクがあります。
短期間で知識と技術を学ぶので、集中的・効率的に技術等を修得できる反面、カリキュラムに余裕がないので、休んでしまうと、授業についていけない場合もあります。また、アルバイトをする時間の確保も難しいです。
学費に関しては、専門学校の場合、実習に使う材料費やユニフォーム代等、けっこうかかる場合がありますのでよく調べましょう。
まとめ
専門学校か大学かで迷っている方は、なぜ迷っているのか、紙に書き出してみましょう。進路指導の先生やオープンキャンパスなどに参加して、疑問や不安に思っていることを担当者に聞いてみると良いでしょう。
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。