春から子どもが大学生に。実家を出てひとり暮らしする場合、いくらかかる?
配信日: 2021.01.29
コロナ禍で子どもを送り出す両親の心配はいかばかりかと思いますが、お金の心配もまた尽きないと思います。平均額を確認しながら、どのくらいお金を準備しておけばよいのか、目安を探ります。
執筆者:蟹山淳子(かにやま・じゅんこ)
CFP(R)認定者
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。
大学生の生活費はいくらくらいかかる?
大学が東京、大阪などの大都市にあるのか、地方にあるかによって生活費には差があると思いますが、日本学生支援機構の『学生生活調査結果』から平均額を見てみましょう。
自宅通学に比べ、自宅外通学は年間70万円くらい生活費が多くかかっています。アパートやマンションより学生寮のほうが安くすみますが、学生寮は入居できる学生の数が限られていますし、学生本人の希望もあるので、家計の事情だけで決められないのが悩ましいところです。
アパートを借りて私立大学に通う学生の支出は平均で約256万円です。平均的な家庭にとって頭の痛い金額ですが、これはあくまで平均。
例えば授業料など大学に納付する金額は128万円ですが、私立大学は学部によって学費が大きく異なります。東京にある主な私立大学の学費を調べてみたところ、文系の学部はこれより20万円程度少なく、理系の学部はこれより30万円程度多くかかるようです。もちろん、医療系の学部などはさらに多くの金額が必要です。
住居・光熱費も家賃によっては大きく上回ることがあります。平均で年額約46万円ならば、月額は約3.8万円。光熱費を差し引くと、家賃は月3万円程度ということでしょう。
しかし、家賃は地域によって大きく異なります。例えば、東京23区内であれば家賃は月額6~8万円といわれます。従って、家賃6万円のアパートを借りて東京の理系大学へ進学するのであれば、その他の支出額が平均だったとしても、年間で約322万円が必要ということになります。
表のデータを基に、わが子が進学する大学の授業料や周辺のアパート事情などを参考にして計算してみましょう。
新生活の準備費用はどのくらい?
入学が決まってから新生活を始めるまでにも費用が必要です。「国の教育ローン」を扱っている日本政策金融公庫の調査によれば、アパートを借りるための費用や家具・生活用品の購入等で平均約39万円かかっているということです。
平均は39万円ですが、グラフを見るとかなりばらつきがあることが分かります。費用の総額を左右する要素として、アパートを借りる際に不動産屋さんで払う敷金、礼金、仲介手数料、前払家賃等が挙げられます。
これは、一般に月家賃の5~6カ月分といわれます。つまり、3万円の6カ月分なら18万円ですが、6万円のアパートを借りるとすると、6カ月分で36万円ですから、39万円を大きく上回る費用が必要です。
親の負担はどのくらいだと考えればいい?
日本学生支援機構の表に戻り、学生の収入の内訳を見てみましょう。アパートを借りて私立大学に通う学生の親は、学費を含めて平均で年間約170万円を負担しています。その他に奨学金を約43万円借り、アルバイトや定職収入で約42万円を得ているということです。
アルバイトをしていては成績に影響があるのではないか、と心配するご両親もいらっしゃると思いますが、日本学生支援機構の調査では約86%の学生がアルバイトをしているということです。
ただ、コロナ禍でアルバイトを探すのが難しい状況もあると思います。その場合、アルバイトで収入を得られない分を家計から捻出できればよいのですが、厳しいようなら奨学金を増やすなどの対応を考えましょう。
奨学金は大学に入学してからも申請ができます。増額(貸与上限額あり)もできるので、必要に応じて申請を検討しましょう。ただし、卒業後に返済しなければならないので、必要以上に借りてしまうことのないよう気を付けてください。
まとめ
アパートを借りて私立大学に通う学生の入学準備費用は平均で39万円、授業料等を含めた1年間の費用は平均で約250万円でした。ここには受験費用や入学金などは含まれていないので、費用の工面に頭を悩ませるご両親も多いでしょう。
住宅ローン返済中や大学生が2人、3人いるご家庭はもちろんのこと、コロナ禍で収入が減っている場合などは特に大変だと思います。公的な支援も行われているので、常に新しい情報を確認し、学生本人とも相談しながら対策を検討しましょう。
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者