更新日: 2021.02.17 子育て
私立中学への進学率、東京都のトップ10区は?子どもの学力と親の収入の関係とは
近年有名中学校の合格を目指し、教育熱心な公立小学校へ入学するために、引っ越す動きが加速しています。そこで今回は、私立中学への進学率の高い区を紹介します。
執筆者:黒須かおり(くろす かおり)
ファイナンシャルプランナー CFP(R)
女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてmoney&キャリアのコンサルティングを行う。幸せになるためのお金の知識など幅広い資金計画とライフプランのアドバイスを手がけている。
2007年にFP資格取得。独立系ファイナンシャルプランナー事務所にて個人相談、執筆、セミナー講師などを経験
その後「パートナーに頼らない経済的自立を目指す女性」をサポートするため2016年FPoffice Rapportを立ちあげる。
現在、年間80回以上の資産運用セミナーや金融機関にて資産形成のアドバイザーとして活動中。また金融サイトへの執筆も年間50本を越える
公立小学校を選ぶ時代に
私立中学の受験をするために、教育熱心な公立の小学校を探して転居する人が増えています。公立小学校はどこでも、授業内容に大きな差はありませんが、私立中学への進学率が高い地域の小学校であれば、学習に対する環境や、周りの友達の環境などは異なっています。同じように、私立中学受験を目指す友達からも刺激を受けやすくなります。
小学校から私立へ入学させようと思うと、2歳、3歳の幼児教室から始めるなどお受験対策も必要で、お金も時間もかかりますし、子どもへの負担もあります。そこで、お金がかからない公立小学校でも、教育熱心で名門中学への進学率が高い小学校に入学して、中学校からは国立や私立に進学させたいと思う人が増えているのです。
子どもの学力と親の収入の関係
では、どうやって教育熱心で中学合格率が高い公立小学校を探せば良いのでしょうか。そこで気になるのが、子どもの学力と親の収入との関係です。
国立大学法人お茶の水女子大学が発表した「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」では世帯年収が高くなるほど、問題の正答率が高く、学力が高い傾向にあることがわかります。
【世帯収入(税込み年収)と学力の関係】
(出典:国立大学法人お茶の水女子大学「保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究」より)
世帯年収が高い親は一般的には教育熱心であるほか、子どもの勉強も自分で見ることができ、授業参観に行けば、教師の教え方をチェックし意見を出すなど厳しい目を持っていることも少なくありません。また、塾などの教育費にもお金をかける余裕もあるでしょう。こうして、公立小学校であってもハイレベルな先生や子どもが生み出される環境が形成されていくのです。
港区、千代田区、渋谷区、中央区、目黒区、文京区などが平均年収の高い区になっています。
【23区の平均年収】
(出典:総務省「課税標準額段階別令和元年度分所得割額等に関する調」より「課税対象所得÷納税義務者数」にて算出)
中学進学率トップ3は世帯年収の高いあの3区
では、教育熱心な親が集まり、先生たちの教育指導も熱く、中学受験に強い公立小学校があるのはどの区なのでしょうか。私立中学の進学率の高いトップ3の区を紹介します。
■3位・中央区 37.2%
中央区には久松小学校や泰明小学校、常盤小学校といった歴史ある公立小学校があります。中学受験熱も特に高いといわれていて、3人に1人の割合で私立中学へ進学しています。
■2位・港区 40.2%
港区には麻布中学校や慶應義塾中等部、広尾学園中学校など子どもにも保護者にも人気の名門中学校があります。若い子育て世代にも人気の高級住宅街やタワーマンションも多く、港区にある白金小学校、高輪台小学校、本村小学校などは中学校受験に強い公立小学校として保護者の間で話題です。約4割の子どもが私立中学へ進学しています。
■1位・文京区 43.6%
文京区には東京大学があるほか、お茶の水女子大など名門の学校が多く、古くより文教地区として有名で、良い学校に進学するため引っ越す保護者が多いことでも知られてきた区です。特に誠之小学校や窪町小学校では中学受験をする生徒の割合が高く、中学受験に強い名門公立小学校として人気があります。文京区全体では4割以上が私立中学校へ進学しています。
【私立中学進学者数上位10区】
(出典:東京都教育教育委員会「令和2年度公立学校統計調査報告書【公立学校卒業者(令和元年度)の進路状況調査編】」より筆者作成)
私立中学校への進学率の高い区10区のうち、9区が平均年収の高い10区の中に入っています。やはり、世帯年収は学力にも影響しているようです。
まとめ
子ども1人の教育費を考えると、小学校から私立学校へ進学させるには負担が大きくなります。しかし、中学校からは環境の整った私立中学へ進学させたいという家庭は増えているように感じます。
教育熱心で名門中学への進学率の高い公立小学校を目指して、引っ越しをすることもうなずけます。公立小学校でも学校ごとの特色や雰囲気がありますので、子どもに合った学校を選ぶと良いですね。
執筆者:黒須かおり
ファイナンシャルプランナー CFP(R)