更新日: 2021.02.25 その他暮らし
2021年1月施行された〈子の看護休暇・介護休暇〉の見直しとは?
この改正により、令和3年1月1日からは、育児や介護を行う労働者が、子の看護休暇や介護休暇を時間単位で取得することができるようになります。」とあります。
具体的にはどのようになったのでしょうか。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
改正のポイント
改正後のポイントは、以下のとおりです。
(1)時間単位で取得が可能となった
(2)全ての労働者が取得できるようになった
これまで、半日単位でしか取得ができなかったものが、時間単位で取得できるようになりました。また、これまで「1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない」とされていましたが、今回の改正で全ての労働者に取得が認められるようになりました。
ただし、ここでの注意点としては、改正があっただけで自動的に適用されるわけではないということです。厚生労働省の説明の中には「法を上回る制度として」という言葉がたびたび出てきます。
これは、「法が基本にはなるものの、具体的な内容については就業規則や労使協定によって各企業で労働者の不利にならないように柔軟に対応してください」ということを意味します。
以下では、(1)(2)について、順番に解説します。
時間単位の考え方
「時間単位」の取得とは、最小単位が1時間ということです。これを、例えば労使協定により「2時間単位」とすることはできません。逆に「分単位」にすることはできるとされています。
時間単位で看護・介護休暇を取得できるとした場合、「分」の取り扱いは原則として1時間に切り上げて処理をしますので、注意が必要です。
例えば、1日の所定労働時間が7時間30分だったとします。この場合、「1日分」の休暇を取得するのであれば、「8時間」で取り扱います。「7時間分」の休暇を取得するのであれば、残りの30分については「1時間」という扱いになります。
つまり、「1日分」の休暇を取得すれば30分余計に休暇を消化し、「7時間分」の休暇を取得する場合は30分余計に休暇時間が残るということです。
1日の所定労働時間についても、労働者ごとに異なります。例えば、1日の所定労働時間が7時間の方は、7時間=1日の取り扱いですし、1日の所定労働時間が8時間の方は、8時間=1日の取り扱いとなります。
対象労働者について
労使協定上、取得が困難とされている労働者の場合
労使協定上「業務の性質や実施体制に照らし1日未満の単位で休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者」とされている方については、時間単位での看護・介護休暇の取得を申し出たとしても、事業主は拒むことができるとされています。
1日未満の単位で休暇を取得することが認められる業務であったとしても、「半日単位」や「時間単位」で取得可能(あるいは取得が困難)とされる業務の範囲が異なる場合は、改めて労使協定を締結することにより、対応していくことが求められます。
フレックスタイム制、変形労働時間制が適用される労働者の場合
フレックスタイム制とは、労働時間を「1日単位」で調整するものであり、出社時間(退社時間)については労働者の裁量に任せられるという制度のことです。
変形労働時間制とは、労働時間を「月単位」「年単位」で調整するものであり、1日の労働時間はその平均値をとるという制度です。いずれの制度も、労働時間が柔軟である点がポイントです。
これらの制度を適用している場合であっても、原則として、時間単位で看護休暇・介護休暇を取得することが可能とされています。
まとめ
今回は「子の看護休暇・介護休暇の見直し」について解説しました。ポイントは、以下の2点でした。
(1)時間単位で取得が可能となった
(2)全ての労働者が取得できるようになった
今回の改正は、より多くの労働者が看護・介護に参加できるような仕組みづくりといえます。
働き方も多様化する現在、このような制度を活用することで、より充実した人生を送ることができるのではないでしょうか。
出典
厚生労働省 「子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!」
厚生労働省 「子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得に関するQ&A(令和2年9月11日改定)」
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー