住宅ローンの基礎知識 「連帯保証」と「連帯債務」の違いって?

配信日: 2021.03.19

この記事は約 5 分で読めます。
住宅ローンの基礎知識 「連帯保証」と「連帯債務」の違いって?
住宅ローンを契約する場合、1人の方が債務者となるパターンと、夫婦や親子などでそれぞれが連帯して住宅ローンを契約するパターンがあります。
 
後者の連帯して住宅ローンを契約する場合には、契約内容の違いなどにより「連帯保証」、「連帯債務」の2つがあります。それぞれの違いやメリット、デメリットなどを見てみましょう。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

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連帯保証とは?

連帯保証とは、住宅ローンの主たる債務者と連帯して債務の保証をすることをいいます。この連帯して保証をする人を「連帯保証人」といいますが、連帯保証人となった方は主たる債務者と同等の責任を負うことになります。
 
そして、連帯保証の方法には主に以下の2つがあります。
 

(1)収入合算の場合

主に民間金融機関において、夫婦や親子など2人の収入を合算して住宅ローンを契約することをいいます。
 
例えば、お目当ての住宅を購入するためには、主たる債務者1人の収入の基準では希望の借入額に不足する場合などに、配偶者や親などで安定した収入のある方の収入を合算して、借入限度額を増額させる方法として利用されます。
 
収入合算の場合には、住宅ローンの契約は1件となるため、収入合算者は「連帯保証人」となります。また、この場合に団体信用生命保険に加入できるのは、主たる債務者のみとなり、連帯保証人である収入合算者に万が一のことがあっても保障されません。さらに、住宅ローン控除の適用は主たる債務者のみ可能で、連帯保証人には適用できません。
 

(2)ペアローンの場合

2人が同一の金融機関でそれぞれ住宅ローンを契約して、お互いに「連帯保証人」になる方法をペアローンなどと呼びます。
 
例えば、夫婦共働きの家計で、夫婦それぞれが自宅の持ち分を所有し、住宅ローンの負担を共有するような場合に利用されます。
 
ペアローンの場合には、住宅ローンの契約は夫婦それぞれが契約するので2件となります。そのため、団体信用生命保険はそれぞれが加入します。また、住宅ローン控除についてもそれぞれの借入残高に応じて適用することができます。つまり、住宅ローン控除による長期の税優遇メリットを2人分享受したい場合には、ペアローンが選択肢の1つとなると思われます。
 
ただし、住宅ローンを契約する際に発生する事務手数料などの費用は、2件分必要となりますので注意が必要です。
 

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連帯債務とは?

連帯債務とは、主たる債務者と従たる債務者が連名で1件の住宅ローンを契約し、2人が同じ債務を負って住宅ローンを一緒に返済していくことをいいます。そして、連帯債務を負う人を「連帯債務者」といいます。
 
連帯債務は、主にフラット35や財形住宅融資などで取り扱われており、一部の民間金融機関でも利用できる場合があります。住宅ローンの契約は1件となるため、団体信用生命保険には、原則主たる債務者のみ加入することができ、連帯債務者は加入できません。
 
ただし、フラット35の機構団体信用生命保険では「デュエット」という商品があり、通常より少し割増(約1.56倍)の団信特約料を負担することで夫婦のいずれかが死亡または所定の高度障害状態となった場合、住宅の持ち分や返済額にかかわらず、残りの住宅ローンが全額免除(弁済)となります。
 
また、住宅ローン控除については、主たる債務者とともに従たる債務者である連帯債務者も適用することができます。
 

まとめ

昨今は男女間の「ジェンダー平等」、「ダイバーシティ」などが盛んに叫ばれています。そのような状況と相まってか、夫婦共働きの家計がスタンダードな形態となりつつあります。
 
収入合算やペアローンなどで自宅を共有名義とする場合、原則は頭金や住宅ローンの借入額などそれぞれが負担したお金の割合に応じて、その持分割合を決定し、登記する必要があります。このお金の負担割合と持分割合に乖離(かいり)があると、贈与とみなされる場合がありますので注意しましょう。
 
最後に、万が一、離婚する場合に不動産の共有名義は少々面倒となる場合があります。くれぐれもご注意を。
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー
 

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