更新日: 2023.11.02 その他ローン
来年就職内定の大学4年生です。借りた奨学金「200万円」の返還は毎月いくらで何年かかるのでしょうか?
そこで今回は、200万円の奨学金を利用して、昼間・4年制大学へ通った場合の返還スケジュールについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
第一種奨学金の返還シミュレーション
第一種奨学金とは、卒業後の返還は必要ですが、無利子で借りられる奨学金です。高等学校における全履修科目の成績が5段階評価中3.5以上の方で、かつ家計基準も満たしている場合に利用できます。
「第一種奨学金」の返還方法には、返還完了まで返す月額が一定の「定額返還方式」と、返す月額を毎年見直しできる「所得連動返還方式」があります。
また定額返還方式は、さらに下記の2種類に分かれています。
<定額返還方式の返還方法>
●月賦返還:毎月一定額をコンスタントに返還
●月賦・半年賦併用返還:毎月の返還額を抑える代わりに、まとまった金額を半年に一度返還
2種類の定額返還方式を利用した場合の返還額と返還期間は、表1の通りです。第一種奨学金の場合は利息が付かないため、月賦返還でも月賦・半年賦併用返還でも、返還総額は200万円となります。
表1
月賦返還 | 月賦・半年賦併用返還 | |
---|---|---|
毎月の返還額 | 1万1904円 (最終回のみ1万2032円) |
5952円 (最終回のみ6016円) |
半年の返還額 | – | 3万5714円 (最終回のみ3万5722円) |
返還総額 | 200万円 | 200万円 |
返還期間 | 14年 | 14年 |
※独立行政法人日本学生支援機構「奨学金貸与・返還シミュレーション」をもとに筆者作成
第二種奨学金の返還シミュレーション
第二種奨学金は、有利子で借りる奨学金です。高等学校における学業成績が平均以上、かつ家計基準を満たしていれば利用できるため、検討されることが多い奨学金といえます。
第二種奨学金は第一種奨学金とは異なり、返還方法は「定額返還方式」のみです。貸与利率を0.905%で利用した場合、返還のスケジュールと返還総額は表2の通りになります。
※貸与利率は、2022年度の3月に貸与が終了した方の利率固定方式の利率としています。
表2
月賦返還 | 月賦・半年賦併用返還 | |
---|---|---|
毎月の返還額 | 1万2731円 (最終回のみ1万2846円) |
6365円 (最終回のみ6468円) |
半年の返還額 | – | 3万8209円 (最終回のみ3万8221円) |
返還総額 | 213万8923円 (13万8923円) |
213万9287円 (13万9287円) |
返還期間 | 14年 | 14年 |
※独立行政法人日本学生支援機構「奨学金貸与・返還シミュレーション」をもとに筆者作成
また第二種奨学金も、第一種奨学金と同様に、基本的には14年かけて返還します。毎月一定額の金額を返還するのか、あるいは賞与を利用して、月々の負担を減らしながら返還するのか、ライフスタイルや収入を考慮したうえで選択しましょう。
20代の平均収入で返還していくには
毎月約6000〜1万円の返還が難しいと感じる場合もあるでしょう。厚生労働省が公表した「令和4年賃金構造基本統計調査 雇用形態別」によると、20代で正社員として就職した場合の平均収入は、表3の通りです。
表3
20~24歳 | 25~29歳 | |
---|---|---|
男女計 | 22万1000円 | 25万5900円 |
男性のみ | 22万1900円 | 26万2200円 |
女性のみ | 22万円 | 24万7100円 |
※厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 雇用形態別」をもとに筆者作成
一人暮らしをする予定の方は、生活費だけで収入の多くを占めてしまう可能性もあるでしょう。そのような場合は月賦・半年賦併用返還を選ぶとよいかもしれません。また生活費に余裕があれば、繰り上げ返還をして早期の返還完了を目指す方法がおすすめです。
一方で実家暮らしの方の場合は、一人暮らしをするよりも金銭的な余裕が生まれやすいでしょう。
その場合は積極的に繰り上げ返還していくことで、返済に充てていたお金を他の用途に使うことができ、ライフプランも立てやすくなります。
生活にあった方法でコツコツ返還しよう
奨学金の返還にかかる期間は、利用した奨学金の種類、選んだ返還方法、収入や生活スタイルなどによって大きく変わります。
事前に返還スケジュールのシミュレーションをしておき、一人暮らし・実家暮らしの選択や、返還方法などを検討しておくとよいでしょう。奨学金破産に陥らないよう、計画的に返還を進めましょう。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 奨学金貸与・返還シミュレーション
独立行政法人日本学生支援機構 所得連動返還方式(所得に応じて月々の返還額が決まる返還方式)
独立行政法人日本学生支援機構 定額返還方式(月々の返還額が一定の返還方式)
独立行政法人日本学生支援機構 返還月額の算定<令和4年10月25日新規掲載>
独立行政法人日本学生支援機構 平成19年4月以降に奨学生に採用された方の利率 令和4年度 貸与利率一覧(年利%)
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 雇用形態別
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー