更新日: 2024.09.16 教育ローン
学費を賄うために「奨学金」が不可欠です…。実際に利用している家庭は多いのでしょうか?
今回は、奨学金を受給している学生の割合や、奨学金制度の現状、そして奨学金の申請方法などについて調べてみました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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奨学金制度の実態
日本における奨学金は、おもに独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が提供する奨学金と、地方公共団体が提供する奨学金、各大学や民間団体が提供する奨学金に分類されます。
日本学生支援機構の「奨学金事業に関するデータ集」によると、令和4年度に日本学生支援機構の奨学金を利用した高等教育機関(大学、短期大学、大学院、高等専門学校、専修学校)の学生の数は119万人でした。この数字は学生全体の32.6%に上り、多くの学生に利用されていることが分かります。
また、同じく日本学生支援機構が発表している「令和4年度 学生生活調査結果」によると、何らかの奨学金(運営元が日本学生支援機構以外も含む)を受給している大学学部・短期大学・大学院の学生の割合は、以下の通りです。
・大学学部(昼間部):55.0%(令和2年度調査より5.4ポイント増)
・短期大学(昼間部):61.5%(同4.6ポイント増)
・大学院(修士課程):51.0%(同1.5ポイント増)
・大学院(博士課程):58.9%(同6.7ポイント増)
・大学院(専門職学位課程):41.4%(同4.3ポイント増)
いずれも前回(令和2年度)の調査より増加していることが分かります。設置者別に見ると、大学学部(昼間部)の場合、国立大学で49.8%、公立大学で57.6%、私立大学では55.9%の学生が奨学金を受給しています。
また大学学部(昼間部)において、奨学金の種類別では日本学生支援機構の奨学金を利用している割合が85.1%と8割以上を占め、そのほかの奨学金が7.1%、両方を利用しているのは7.8%でした。
この結果から、多くの学生が学費などの負担を軽減するために、奨学金を利用しているといえるでしょう。
奨学金の種類と申請方法
日本学生支援機構の奨学金は、貸与型と返済の必要がない給付型に分かれ、一般的に利用が多いのは貸与型です。日本学生支援機構によれば、貸与型には無利子で借りる第一種奨学金、有利子で借りる第二種奨学金があり、利用するにはそれぞれ世帯収入などにおいてさまざまな条件があります。
各大学が独自に設けている奨学金においては、学業成績や家計状況などによって選考されるケースが多いでしょう。また、財団法人や企業が提供する民間の奨学金では、特定の分野や地域に特化していることが多いという特徴があります。
奨学金を申請するためには、各奨学金の募集要項を確認し、必要な書類をそろえ、条件を満たしているか確認しましょう。
申請手続きは各奨学金によって異なりますが、オンライン上での申請もできるようになっています。申請書類を提出した後、面接や試験を経て選考が行われ、選考結果は交付される「採用候補者決定通知」や「選考結果通知」、またはオンライン上で確認可能です。
また、奨学金を受け取るためには、一定以上の学業成績を維持することが必要なケースもあります。各奨学金によって基準が異なるため、申し込む前によく確認する必要があるでしょう。
提出書類を確実にそろえ、申請期限を厳守することも大切です。締め切りを過ぎると申請自体が無効となる可能性があるため、必要書類については早めに準備しましょう。
奨学金の利用は増加傾向にあり、大学学部(昼間部)では55%の学生が利用している
何らかの形で奨学金を利用する学生の割合は増加傾向にあり、例えば大学学部(昼間部)では55%の学生が奨学金を受給しているなど、高い水準にあります。この数字は、多くの家庭にとって学費が負担になっていることを示しているといえるでしょう。
奨学金は、経済的な理由で進学を諦めざるを得ない学生を支援するという点で重要な制度です。近年では、返済の必要がない給付型奨学金の拡充により、より多くの学生が経済的な不安を抱えることなく、学業に専念できる環境も整いつつあるといえます。
一方で、貸与型奨学金の返済問題など、課題も存在します。課題に対処しつつ、より多くの学生が教育を平等に受けられる環境を整備していくことが、今後の日本の教育システムにとって重要な課題となるでしょう。
出典
独立行政法人日本学生支援機構
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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