更新日: 2021.03.02 住宅ローン

住宅ローンの審査、銀行はどんな点を見ている?

住宅ローンの審査、銀行はどんな点を見ている?
住宅を購入する際、ほとんどの方が住宅ローンの利用を考えると思います。住宅ローンは申し込めば誰でも利用できるわけではなく、申し込んだ金融機関独自の審査を通過する必要があります。
 
したがって、審査次第では住宅ローンを利用できなかったり、希望した借入金額全額を借り入れることができなかったりするケースもあります。
 
今回は、住宅ローンを利用する際、銀行ではどのようなことを審査するのかについて解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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住宅ローンの審査の流れ

一般的な住宅ローンの審査の流れは以下のとおりです。
 
1.事前審査
金融機関は事前審査で、申込者本人に返済能力があるかどうかを確認します。そして、購入を希望している物件を評価し、どのくらいまでなら融資することができるのかについて事前審査を行います。事前審査にかかる期間については、最近では即日回答してくれる金融機関もありますが、3日程度と考えておけば良いでしょう。
 
2.本審査
事前審査に通過した後に本審査に進みます。本審査では、事前審査よりもさらに多くの項目について詳しく審査を行います。本審査で特に重視する点として、以下のものが挙げられます。
 

・住宅ローンの返済完了時の年齢
・契約者の勤務形態や勤続年数
・返済負担率
・勤務先の事業内容
・借り入れ申込金額と頭金の金額
・契約者の健康状態

 
上記の項目以外にも、本人の信用情報や担保となる物件についての詳細調査が行われます。これらの審査を経て、無事に融資可能となれば住宅ローンの契約手続きに進みます。
 

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住宅ローンで銀行が審査するポイント

通常、金融機関は審査基準について公表していません。また、もし審査に落ちた場合、問い合わせてもその理由を教えてくれることはありません。したがって、どの金融機関がどんな審査基準に基づいて審査を行っているのかを正確に把握できません。
 
ただ、国土交通省が発表している資料を見ると、大体のチェック項目を知ることができます。
 
こちらの資料では、審査項目として「完済時年齢」(99.0%)、「健康状態」(98.5%)、「担保評価」(98.2%)、「借入時年齢」(96.8%)、「年収」(95.7%)、「勤続年数」(95.6%)、「連帯保証」(94.2%)となっており、これらの項目についてはどの金融機関においてもチェックされる項目と考えて良いでしょう。
 
(参考:国土交通省住宅局「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」(※))
 

事前審査で落とされる原因と対策

事前審査では、本人の返済能力を重視することから、審査で落とされる原因としては以下のようなケースが考えられます。それらのケースについて、対応策も合わせて解説します。
 

1.年収が少ない場合

<対応策>収入のある親族や配偶者がいる場合は、収入合算もしくはペアローンを考えましょう。それが難しい場合は頭金を増やすか、住宅の購入時期をもう少し後にずらすなどの対策が必要です。
 

2.他社からの借入がある場合

<対応策>マイカーローンなど住宅ローン以外の他の借入があるのであれば、できるだけ完済しておきましょう。完済が難しければ、少しでもまとめて返済を行い、借入額を少なくしておくようにしてください。
 

3.信用情報に問題がある

<対応策>信用情報に問題があって審査に落ちた場合は、その情報が消えるまで住宅ローンの申し込みを控える必要があります。
 

本審査で落とされる原因と対策

では、本審査で落とされる原因とその対策についてはどうでしょうか。
 

1.希望する借入金額が高すぎる

<対応策>頭金を増やして借入金額を少なくするなどの対処が必要です。また、自身の年収だけでは難しいというのであれば、収入合算やペアローンも視野に入れてみましょう。
 

2.必要書類がそろっていない

<対応策>審査において必要書類をそろえる必要があるのは当たり前ですが、その書類が間違っていたり不足していたりするケースがあります。
 
すぐに追加で提出できれば良いのですが、あまりにも書類をそろえるのに時間がかかりすぎると、審査に通らないケースもありますので、必要書類については事前に何が必要なのかを確認しておき、そろえておくようにしましょう。
 

3.申告内容との相違が見つかった

<対応策>年収や勤続年数などは、正しく申告しましょう。他社からの借入についても同様です。これくらいは申告しなくても大丈夫だろうと思ったとしても、審査の過程で発覚した場合、金融機関の心証が悪くなります。
 
また、故意に虚偽の申告をしたことが分かると、その時点で審査落ちするばかりか、場合によっては刑事罰の対象となる可能性もあります。
 

4.事前審査の時よりも信用情報が悪化した

<対応策>事前審査の時の照会では問題がなくても、本審査に移った過程で信用情報に事故情報が載るケースもあります。自身の信用情報には常に気を遣い、滞納などの事故を起こさないように気を付けましょう。
 
また、事故情報が載るのは2~3ヶ月以上の滞納があった場合ですので、住宅ローンの申し込み前に自身の信用情報の開示請求を行い、確認しておくことも大切です。
 

5.健康状態に問題がある

<対応策>通常、住宅ローンを申し込む際には団体信用生命保険への加入が義務付けられています。したがって、自身の健康状態に不安がある場合は、告知基準の緩いワイド団信などの加入を検討すると良いでしょう。
 
また、フラット35では、団体信用生命保険への加入を義務付けていませんので、持病などで通常の団体信用生命保険への加入が難しい場合は、フラット35の利用を考えてみましょう。
 

住宅ローンの審査に通りやすい銀行は存在する?

住宅ローンの審査の基準は各金融機関によって異なることから一概にはいえませんが、以下に挙げる金融機関は比較的審査に通りやすいといわれています。
 
1.地方銀行:都市銀行や大手の地方銀行と比べると、地方銀行は経営規模が小さいなどということから審査に通りやすいといわれています。
 
2.フラット35:フラット35は利用条件に勤務先や勤続年数の制限を設けていないことから、転職したばかりで勤続年数が少なく不安という方でも申し込みやすいといえるでしょう。
 
ただし、フラット35を利用する際には、住宅の基準をクリアする等のいくつかの要件を満たす必要がありますので注意が必要です。
 
4.ネット銀行:最近増えてきているネット銀行は、利用者を増やすという目的からも審査基準が都市銀行よりも低い傾向にあるといわれています。ただし、かなりの利用者数があるネット銀行では審査基準もそれなりに高い可能性もありますので、慎重に選ぶようにしてください。
 

銀行の住宅ローンの審査 Q&A

事前審査はどの段階で申し込むべき?

A.住宅ローンの申し込みおよび事前審査の申し込みは、購入する住宅が決まったタイミングで行うことが一般的です。ただ、利用する金融機関をどこにするかについて、申し込む段階で慌てて探すことのないように、事前に複数の金融機関を比較し、ある程度決めておくようにしましょう。
 

事前審査は複数の金融機関に申し込んでも問題ありませんか?

A.事前審査を通過したからといって、必ずその金融機関の本審査に進まなければならないということはありません。したがって、複数の金融機関に事前審査を申し込んでも問題はありません。本審査は1つの金融機関にしか申し込めませんので、事前審査の間に最終的にどの金融機関を利用するかも考えておきましょう。
 

まとめ

住宅ローンは他のローンと比べ融資金額も大きく、返済期間も長いことから、審査基準も厳しい傾向にあります。特に勤続年数や信用情報などの状況で問題ありとされた場合、現時点ではどうしようもできないという場面に陥ることも考えられます。
 
したがって、転職を考えているのであれば、転職前に住宅を購入して住宅ローンを申し込むなど、タイミングも考慮するようにしましょう。
 
(※)国土交通省住宅局「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
 

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