更新日: 2019.03.27 セカンドライフ
70歳の大先輩は悠々自適な生活!60歳の先輩は苦労・・お金の整理をしないといけない50歳
70歳の先輩は悠々自適の生活を送っているようですが、60歳の先輩は苦労しているように思えます。“こんなはずじゃなかった”とならないための準備を始めませんか。
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
退職金は減っている
定年が延び、65歳まで働ける会社が増えています。とはいえ55歳で役職定年、60歳で一旦定年を迎え、60歳以上は「定年延長」や「嘱託」という形をとっている企業が多いようです。
同じ会社に通勤していても、雇用形態は違ってきます。役員になった場合、嘱託になった場合、関連会社に出向になり転籍になった場合…それぞれ違う給与体系があるようです。
Aさん(56歳)は、大企業に勤める会社員です。少し前から関連会社に出向していて、55歳を機に転籍になりました。この時退職金を受け取り、給与体系も変わりました。60歳までは勿論、お給料は下がるものの65歳までは現在の会社で働けるという説明を受けたそうです。Aさんは「もう少し退職金は多いと思っていました。
お給料も減ったので、ローンの返済ができません」と、相談に来られました。
退職金は会社によって違いますので一概には言えませんが、10年ほど前から制度を変更した企業が多いようです。私の夫が勤務する会社も、確定拠出年金制度を導入する時期に制度変更があり、退職金の一部を「前払い退職金」としてボーナスに上乗せされるようになりました。
“上乗せされた分は別管理する”という家庭は別として、大抵は「ボーナス、少し増えたね」として消費されてしまいます。
貯められない夫と暮らす私は「今貰うと使っちゃうので受け取りたくない。会社に預けておきたい」というのが本音でした。Aさんの退職金が少なかったのも、こうした理由かもしれません。
収入が減っても大丈夫な準備
子どもが大学に入学する前後は教育費がかなりかかります。大学在学中は授業料以外の出費も多く収支のバランスが悪くなるのですが、受験期に比べ教育費以外でお財布の紐が緩みがちです。
塾の費用が掛からない、子どももアルバイトしている、と安心してしまうのです。Aさんも例外ではありませんでした。この年代はバブルを経験しています。息子の“おねだり”には甘く、親子そろって贅沢病にかかっていました。
個人的な意見ですが、年収の高い人ほどこの病気にかかりやすい傾向にあります。彼は55歳になって、お給料が下がりました。下がったお給料で毎月やり繰りする自信が持てなかったAさんは、退職金の中から800万円をローンの返済に充て、残りは手元に残すことにしました。繰り上げ返済とともに借入金利の見直しもしましたので、返済は随分楽になりました。
実は退職金を当てにして、既に“贅沢病”による借入がありました。カードローンを使って払った洋服代や食事代が膨れ上がっていたのです。これらを整理して“贅沢病”の治療に取り掛かりました。
60歳以降は現在のお給料より下がることが確定しています。
既に赤字家計なら、60歳以降は更に悪化してしまいます。先ず現状を知るためにキャッシュフロー表を作成します。お金の流れが可視化され、将来の危険度が分かります。どうしても譲れない支出(欲しいもの)は、予算化することで使いすぎの防止をします。メリハリをつけることが大切です。
「全部我慢する」は長続きしません。60歳までに貯金できる体質にし、住宅ローンの更なる繰り上げ返済をする予定です。
住宅ローンは35年という長期間で組み、完済年が70歳代に設定していることも多く見られます。55歳、60歳、65歳の時のキャッシュフロー表を見れば、Aさんのように、いつ、いくら繰り上げ返済をするのが自分にとって最適かが判断できます。慌てないように、50歳になったら「お金の整理」をお勧めします。
*キャッシュフロー表の作成方法は日本FP協会のホームページ等で検索することができます。
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士