更新日: 2019.10.01 その他老後
家で暮らしたいけれど、どうせ入るなら快適な老人ホームがいい。いざという時、施設はどう選ぶ?
ここでは、自立型高齢者住宅・施設の概要と、要介護状態に至ったときの対応について考えてみましょう。
ファイナンシャルプランナー CFP
家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。
目次
自立高齢者向けの住まいと施設
自立して生活ができている高齢者が入居する住まい・施設としては、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」「住宅型有料老人ホーム」「介護付き有料老人ホーム(自立型)」があります。この3つの比較を見てみましょう。
筆者作成
比較項目は、上記以外にもありますが、利用者に直接関わる大事な項目を挙げました。これらは各事業者が設置届け出をする際の最低基準であり、実際には独自の特徴を出すためにさまざまな設備があり、ケアサービスが提供されています。
それでは、この3つの施設がどのようなものなのか、施設ごとに見てみましょう。
自立型高齢者住宅(施設)の概要
・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サ高住の設置要件は次の4項目です。
・各専用部分の床面積は、原則25平方メートル以上であること
・各専用部分に、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を備えたものであること
・バリアフリー構造であること
・ケアの専門家が少なくとも日中建物に常駐し、状況把握サービスと生活相談サービスを提供すること
近年、国の高齢者施設整備の柱として施設件数も多く、簡素な施設からリゾートを思わせる高級な施設まで、多様な施設があります。サ高住は自立者が入居できる住宅ですが、要介護状態になると、他の施設への移動を求められるケースもあるといわれています。
しかし実際に開設されている施設では、同一事業者が介護部門を敷地内に設置して、対応するケースがあります。また、隣接して設置はできないが、事業者がグループ内の別施設への移動を引き受ける対応を行っているケースもあります。
従って、サ高住の類型だけで判断せずに、サービス内容や設備をよく確認することが大切です。
・住宅型有料老人ホーム
「住宅型有料老人ホーム」は、名称から想定すると自立高齢者向けの施設と解釈しがちですが、内容は必ずしもそうではありません。上表の通り、基準専有面積も13平方メートル以上とサ高住より狭く、また外部事業者が介護を請け負う点などは、行き届いた設備、ケア体制とはいえないケースもあります。
住宅型有料老人ホームは、入居一時金や毎月の費用を低く抑える方針の施設がある一方で、ケアサービスは外部に委託し、広い専有スペースと充実した設備で居住環境の良さを訴求する施設もあります。もちろん、自前のケアサービス体制・整った設備の双方を備えた高級施設も見受けられます。
・介護付き有料老人ホーム(自立型)
各所で富裕層向けの介護付き有料老人ホームが新設されていますが、これらの中には将来は要介護になるにしても、自立している間は普段通りの生活環境を提供する施設が多くあり、人気を呼んでいるようです。
そのため、自立棟と介護棟を分けるケースや、同じ部屋に住みながら介護が必要になるといった変化に応じてケアサービス内容を変えるなどの運用がされています。
自立型高齢者住宅(施設)から介護付き施設への移動は可能なのか?
有料老人ホームの場合は、自立状態から要介護状態になったとしても、基本的に問題はないと考えられます。要介護状態になった際に、専有中の部屋を変わることや、介護棟への移動が起きる可能性はありますが、他の事業者の施設に移動しなければならないケースは少ないといえます。
サ高住の場合は、入所前によく確認が必要です。そのサ高住の事業者が同一経営の有料老人ホームを運営しているケースは、その施設への移動は円滑に進められるでしょう。
また既述のように、他施設への移動についても責任をもって対応する施設もあります。その際に、他施設への移動に際して費用が発生するか否かは、サ高住の入居時に必ず確認が必要です。
自立型高齢者住宅・自立型有料老人ホームへの入居の際の要確認事項
施設訪問し、説明を受けたのち、契約までには最低限、以下の確認が必要です。
・自立から要介護に移行したときにどのような対応が求められるか
専有個室の継続か移動か
介護棟への移動、系列施設への移動
退去を求められるのか
介護サービスに移行した際の費用
・入居契約の内容 賃貸契約か入居一時金支払い契約か
・入居一時金の償却年数
・介護サービス体制のホームスタッフ(自前)が外部スタッフの利用かどうか
・専有個室での調理の可否
まとめ
3つの類型について説明をしましたが、設置開設時に届け出をした基準を超えてサービス提供が行われるケースも多く、費用もさまざまです。施設名称や呼称によって先入観をもつことなく、よく調べ確認して選び、決めることが大切でしょう。
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP