更新日: 2021.04.24 その他老後
30~40代のひとり世帯の人たちは老後の生活費をいくらと予想? 年金だけでは全然足りない?
現在、バリバリ働いている30代・40代のみなさんは、老後の生活費はいくらぐらいかかると思っているのでしょうか?
執筆者:藤木俊明(ふじき としあき)
副業評論家
明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。
30・40代単身世帯の人たちは33万から35万円が必要と考える
「家計の金融行動に関する世論調査」(2020年:金融広報中央委員会)の「老後のひと月当たり最低生活費・年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」(単身世帯)を見てみます。
ここでは「単身世帯」のデータを見てみましょう。「老後のひと月当たり最低予想生活費」については平均32万円となっています。では30代・40代の単身世帯の人たちはどれぐらい老後に必要と考えているかというと……。
【図表1】
30代 | 33万円 |
40代 | 35万円 |
平均より、少し厳しめに見ているようです。ちなみに50代の人では23万円、60代では26万円と少し下がります。しかし、どちらにしても、厚生年金をベースにして支払われる年金では足りないと考えているのがわかります。
生活資金源は公的年金プラス就業つまり老後も働かざるを得ない
それでは、その収入源(生活資金源)について、30代・40代の単身世帯の人たちはどう考えているのでしょうか?
【図表2】■老後における生活資金源(3つまでの複数回答)(単身世帯)
就業による収入 | 公的年金 | 企業年金、個人年金、保険金 | 金融資産の取り崩し | 利子配当所得 | 不動産収入(家賃、地代等) | こどもなどからの援助 | 国や市町村などからの公的援助 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
30代 | 60.3 | 48.2 | 29.5 | 22.8 | 8.7 | 4.3 | 0.7 | 12.6 |
40代 | 60.2 | 50.9 | 23.4 | 24.5 | 8.0 | 3.4 | 0.0 | 13.4 |
・単位:%
複数回答であることを踏まえて見てみると、老後の資金源としては「就業による収入」つまり「働かざるを得ないだろう」という答えの割合が一番高くなります。6割の人は老後も働こう(or働くしかない)と考えているようです。もちろん、「公的年金」もそれに次ぐ大事な柱としています。
アンケート結果では、「公的援助」という答えも、30代で12.6%、40代で13.4%と他の世代より高めの数字が出ています。これは「自分たちの努力だけでは厳しい。国や自治体に何とかしてほしい」という気持ちが出ているのかもしれません。
ひとり世帯の数字を見てきましたが、総務省の調べでは、2040年には単独世帯(世帯主が一人の世帯)の割合は約40%に達すると予測されています。老後をひとりで暮らす世界が多くなると考えて今回はそうしました。
プラス13万~15万円は副業で?
話を戻しますと、30代・40代の人たちは、老後のひと月当たり生活費は33万円から35万円程度必要だと考えているわけです。
現在の年金の支給水準がそのまま保たれるとして(保たれる保証は何もありませんが)、さらに物価水準や賃金水準が現在に近いとして、年金で20万円受け取り、あと13万円から15万円は、「自力で稼ぐ」「企業年金や個人年金をあてる」「貯金を崩す」「不動産や株式などの配当」で稼いでいくという見通しになります。
筆者は副業評論家として「副業」または「複業」をおすすめしている立場ですが、老後から始めるのではなくて、30代・40代から、月々13万円から15万円を「自力で稼ぐ」習慣を身につけたらいいのではないかと考えます。
とはいえ、月々13万円から15万円の副収入を得るのはかんたんなことではありません。いくつかの副業を組み合わせる必要もありますし、投資などでカバーすることも検討しなくてはならないでしょう。
「あまり先のことばかり心配しても……」という声があがるかもしれません。いろいろ準備したところで、今回のコロナ禍のように想像できない災厄が起きて、予定が狂うこともあるでしょう。どちらにしても、自分の身は自分で守るしかないので、いろんな収入源を開発しておくに越したことはないでしょう。まずは、ローリスクな副業から初めてはどうでしょうか。
まとめ
現在、30代・40代の人たちは、老後には月々33万円から35万円程度の収入がないと厳しいと考えているようです。おそらく年金プラス月々13万円から15万円の手当てが必要になります。
もちろんたくさん貯金できればいうことはありません。しかし、現在の手取り収入を考えれば、山のようにお金が貯まることも考えにくいでしょう。やはり、自分の手で稼ぐ方法、あるいは投資などでカバーすることを検討しておいたほうがいいですね。
[出典]
※ 知るぽると(金融広報中央委員会)「家計の金融行動に関する世論調査」
本記事の図表などは「家計の金融行動に関する世論調査」(金融広報中央委員会)2020年版より筆者が独自に作成
※総務省「平成30年版 情報通信白書」
執筆者:藤木俊明
副業評論家