親に免許を返納してほしい…どう説得したらいいの?
配信日: 2022.06.07
親の理解を得て、運転免許を返納してもらうようにするにはどう説得したら良いのでしょうか。運転免許の返納について考えてみます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
運転免許証の自主返納制度
運転免許証の自主返納制度とは、高齢によって運転が不安になってきたという方が運転免許を自主的に返納できる制度です。
運転免許の有効期間内に返納すると運転免許証に変えて、「運転経歴証明書」の交付を受けることができます。運転経歴証明書は運転免許証と同様に公的な身分証明書類として使用できるほか、一定の施設や事業者からサービス料金の割引などの特典を受けられることもあります。
運転免許証の返納と運転経歴証明書の交付は同時に行うことができ、住所地を管轄する所定の警察署や運転免許試験場などで手続きすることになります。返納にかかる費用は東京都の場合、1100円になります。返納手続きの詳細については最寄りの警察署へご確認ください。
自主返納のメリット
自主返納に1100円の手数料というと少し高く感じるかもしれません。
しかし、運転経歴証明書は永年有効で更新期間がないこと、施設や事業者によって特典が受けられること、運転免許証は更新に3000円かかることを踏まえると、交通事故の防止という観点だけではなく、運転免許証の返納は費用面から見ても一定のメリットがあるといえます。
免許の自主返納を説得するには
免許の自主返納には抵抗感のある方も少なくないでしょう。自分はまだ元気であると親自身は考えていたり、地方では移動手段の問題上返納を拒んだりということもあります。そういった場合、次のような観点から説得するとうまくいくことがあります。
社会のために返納者が増加していることを説明
運転免許証の返納をしている方はここ10年でおよそ約7倍にまで上っています。令和2年度に返納した方の数は55万2381件となっています。
出典:警視庁 運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移
このように、自分だけではなく、多くの方が社会のために事故起こす前から自主的に返納していると説明することで上手に説得できる可能性があります。
車がなくとも生活していけることを説明
地方などでは車がなければ移動手段が乏しいという理由から返納に抵抗のある場合もあります。
そういった場合は、バスや電車といった公共交通機関の時間や本数を調べ、親の生活スタイルと照らし合わせ、車がなくとも生活していけることを説明することで納得して免許返納を行える場合があります。
車の維持費や燃料代を考えると、タクシー含む公共交通機関を使った方が月々の支出が少なくなるのであれば、計算してその旨を伝えるのもよいでしょう。
また、免許が不要なシニアカーを代わりに購入したり、買い物は宅配サービスを利用したりすれば地方でも車を運転せずに生活できる場合もあり、そういったことまで説明できると納得していただける場合があります。
特典を説明する
免許を自主返納した方に向けて、自治体ごとにさまざまな特典が用意されています。
例えば東京都の場合、タクシーの乗車料金の割引や、眼鏡や補聴器の購入時の割引、遺言の作成や不動産登記といった法律関係の作成や専門家への相談が割引や無料となるといった特典を受けられます。
これらの特典は地域によって異なるため、それを調べて説明すると、返納にメリットを感じ、納得してもらえることもあります。
免許返納には根気強い説得を
高齢者にとって車は便利な移動手段であると同時に運転することは、まだ自分は元気であるという気持ちの表われである場合もあります。とはいえ、社会の安全や万一のことを考えると、高齢者となったときに免許を返納した方が良い一面があるのも事実です。
地方在住で車がなければ生活ができない、一気に不便となるという場合もあるかもしれません。事情は個人によってさまざまですが親に免許を返納してほしいと考える場合、まずは根気強く親と向き合って今回紹介したメリットを参考に説得を続けてみてください。
出典
警視庁 運転免許証の自主返納に関するリーフレット
警視庁 運転免許証の自主返納と同時に運転経歴証明書の交付申請をする方
警視庁 更新手続一覧
警視庁 運転免許の申請取消(自主返納)件数と運転経歴証明書交付件数の推移
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執筆者:柘植輝
行政書士