更新日: 2023.03.08 セカンドライフ

60歳からの働き方 ~セカンドライフについて考えよう~

執筆者 : 柴沼直美

60歳からの働き方 ~セカンドライフについて考えよう~
社員や職員として特定の企業や団体で就労された方は、60歳になると今後の働き方をどうするか、考える時期になります。そこで高齢者世帯の実態を見ながら働き方について考えてみたいと思います。
柴沼直美

執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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65歳世帯の平均所得金額中央値は255万円、貯蓄残高中央値は1555万円

内閣府が発行している「高齢白書」の令和4年版によると、65歳以上の暮らし向きについて「心配がない」(「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と「家計にあまりゆとりはないがそれほど心配なく暮らしている」の計)と感じている人の割合は、68.5%と報告されています。
 
もう少し具体的に見てみると、高齢者世帯の平均所得金額は、同報告書では平均値が312.6万円、中央値が255万円となっています。貯蓄残高の中央値は1555万円です。
 
家計は千差万別なので、この数値が絶対に正しいというわけではありませんが、1つの目安として、65歳からの高齢時代に備えて働き方を考えてみるのもよいでしょう。
 

65歳以上の労働力比率は全体の13.4%

老齢年金の支給開始年齢である65歳になるまでの「つなぎ」として就労をとらえるのではなく、60歳からの再雇用で給与水準や働き方が変わったとしても体力やまわりの環境が許す限り就労を継続することは、不安のない暮らしにとって大切です。
 
総務省の「労働力調査」によれば、2021年では全労働力人口の13.4%が65歳以上となっています。全労働人口が6907万人ですから、実に925万人が高齢者という計算です。
 
【図表1】
 

 
60歳を境に再雇用制度を利用したり、これまでとはまったく別の就労先で仕事を再スタートしたりするケースが大半ですが、子育てや住宅ローンの支払いなど全力投球で仕事をする必要性がなくなってくれば、スローダウンして自分のプライベートも楽しみながら、社会とのかかわりを持ち続けるという理想的な働き方を追求することができるかもしれません。
 

老齢年金の加入記録を確認し、年金を増やす工夫を

60歳以降の働き方を考える1つの目安が、65歳世帯の家計状況であるとするなら、もう1つの目安が自分の受給年金予定額です。必ず年金加入記録を加入しておきましょう。
 
今は「ねんきんネット」にオンライン登録しておけば、いつでも加入記録を閲覧できます。「思っていたより少ない」場合、60歳以降の国民年金任意加入制度を活用して将来の受給予定金額アップを目指すも一案です。
 

5年間の任意加入での納付額総額99万5400円VS. 65歳から80歳まで受取総額約145万8000円

日本年金機構によると、60歳以降5年間の任意加入での保険料納付総額は99万5400円(令和4年度)ですが、65歳以降80歳までの15年間の受取総額は約145万8000円となります。この金額も参考にしましょう。
 

ゆるく働き安心を積み上げる

先の高齢社会白書(令和4年)によれば、65歳以上の人の30.2%が収入の伴う仕事をしていると回答しています。同時に収入の伴う仕事をしている人のほうが、収入の伴う仕事をしていない人よりも、生きがいを「十分感じている」と回答した人の割合が高いと報告されています。
 
自分の健康状態や年金収入、貯蓄を比べて無理のない範囲でゆるく長く働くことを検討・実行している人はますます増えそうです。
 

出典

内閣府 令和4年版高齢社会白書 第2節 高齢期の暮らしの動向

内閣府 令和4年版高齢社会白書 3 社会活動等への参加について

総務省 労働力調査(基本集計) 2022年(令和4年)12月分結果

日本年金機構 あなたも国民年金を増やしませんか

 
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者

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