更新日: 2023.04.18 介護
医療費と介護費で家計が破綻しそう! 「高額医療・高額介護合算療養費制度」を利用してみよう
このように、誰にでも起こりうる事態に利用できるのが、「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。医療費と介護費が限度額を超えた場合に超過分が戻ってくるというこの制度を利用して、2つの費用による家計の破綻を防ぎましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「高額医療・高額介護合算療養費制度」の仕組み
「高額医療・高額介護合算療養費制度」は、1年間の医療費と介護費が著しく高額になった場合に、自己負担額を軽減させられる制度です。
制度の基本的な仕組み
「高額医療・高額介護合算療養費制度」では、1年間(毎年8月1日~翌年7月31日まで)の医療保険と介護保険による医療費と介護費を合算した上で、その自己負担額が限度額を超えた場合に、超過分が払い戻されます。
具体的には、病院や調剤薬局などの窓口や、介護サービス事業者に限度額を超えて医療費や介護費を支払った場合に、その差額分が各保険者から返金されます。
対象要件
「高額医療・高額介護合算療養費制度」の対象となるのは、以下の2点の要件を満たしている世帯です。
(1)公的医療保険の各制度(被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度)に加入している世帯の中に介護保険の受給者がいる
(2)被保険者からの申請に基づく高額療養費制度の算定対象となる世帯単位で、1年間の医療保険と介護保険の自己負担額の合算が限度額を超えている
申請方法
「高額医療・高額介護合算療養費制度」を利用するためには、対象要件に該当する介護保険と医療保険の被保険者が、自分で申請する必要があります。
高額医療・高額介護合算療養費制度は、公的医療保険の窓口に申請します。勤務先の健康保険組合などに加入している場合は、勤務先を経由して申請します。個人事業主や定年退職後の場合は、市区町村から申請可能です。
申請の際には、印鑑や預貯金通帳、被保険者証などが必要になる場合があるので、用意しておくと安心です。
なお、国民健康保険や後期高齢者医療制度以外の医療保険加入者は、本人が住む自治体から、自己負担に関する証明書が交付される必要があります。この証明書とともに、勤務先に申請しましょう。
支給までの流れ
最初に介護保険被保険者が、介護保険者である市区町村に「支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書」と呼ばれる申請書を提出します。
申請が受理されると、介護保険者である市区町村は自己負担額証明書を交付するので、次にこれを、健康保険組合などの医療保険者へ、自己負担額証明書を添えて支給申請します。
申請した内容を基に医療保険者が支給額を計算し、市区町村へ連絡すると、医療保険者と市区町村から、医療保険と介護保険とで、自己負担額の比率に合わせた高額介護合算療養費が支給されます。
「高額医療・高額介護合算療養費制度」の限度額
「高額医療・高額介護合算療養費制度」の限度額(算定基準額)は、加入している医療保険制度や所得などによって異なります。各被保険者の限度額の概要は以下のとおりです。
後期高齢者医療制度と介護保険の被保険者の限度額
一般所得者は56万円、低所得者I (住民税非課税世帯かつ年金収入80万円以下など)は19万円、低所得者II (住民税非課税世帯)は31万円、現役並み所得者(上位所得者)は67万円となります。
被用者保険または国民健康保険と介護保険の被保険者(70~74歳の人がいる世帯)の限度額
一般所得者は62万円、低所得者I (住民税非課税世帯かつ年金収入80万円以下など)は19万円、低所得者II (住民税非課税世帯)は31万円、現役並み所得者(上位所得者)は67万円です。
被用者保険または国民健康保険と介護保険の被保険者(70歳未満がいる世帯)の限度額
一般所得者は67万円、低所得者(住民税非課税世帯)は34万円、現役並み所得者(上位所得者)は126万円となります。
要件に該当する場合は「高額医療・高額介護合算療養費制度」を申請して家計の破綻を回避しよう
医療費と介護費を同時期に支払うことになってしまった場合には、「高額医療・高額介護合算療養費制度」を利用することで家計破綻の回避が可能になります。
この制度では、医療費と介護費を合算して自己負担額を軽減できますが、利用するためには、要件を満たした上での自己申請が必要です。要件に該当する場合は、ためらうことなく制度を申請して、家計の破綻を防ぎましょう。
出典
厚生労働省 高額医療・高額介護合算療養費制度について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー