40歳独身、貯蓄は「300万円」です。このまま老後を迎えると「ヤバい」ですか? 老後資金はいくら必要でしょうか?
配信日: 2023.09.04
年齢や生活水準によっても異なりますが、本記事では一般的な計算方法と目安を紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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独身世帯の年齢別平均貯蓄額と月平均支出額
まず独身世帯の平均貯蓄額を見てみましょう。金融広報中央委員会の調査によると、独身世帯の金融資産の平均保有額は図表1のとおりです。
【図表1】
年齢 | 平均 | 中央値 |
---|---|---|
20代 | 176万円 | 20万円 |
30代 | 494万円 | 75万円 |
40代 | 657万円 | 53万円 |
50代 | 1048万円 | 53万円 |
60代 | 1388万円 | 300万円 |
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)より筆者作成
平均とは、全ての貯蓄額を合計して総人数で割った数値です。中央値は少ない数値(または大きい数値)から並べて真ん中になる数値を指し、よりリアルな数値といわれます。この金額は現金や預金、株式などを含む数字です。40代で貯蓄額が300万円なら、平均には満たないものの中央値は超えているので極端に少ないわけではありません。しかし、これもあくまで平均値であり、個人差は大きいです。
次に独身世帯の月平均支出額を見てみましょう。総務省統計局が毎年公表している家計調査年報(家計収支編)によると、年齢別の支出額は図表2のとおりです。
【図表2】
年齢 | 支出額(月平均) |
---|---|
34歳以下 | 15万8198円 |
35歳以上59歳以下 | 18万6503円 |
60歳以上 | 15万409円 |
65歳以上 | 14万9208円 |
単身者平均 | 16万1753円 |
総務省統計局 家計調査 家計収支編単身世帯(2022年)より筆者作成
図表2から分かるように、独身世帯の支出額は、35歳以上59歳以下が最も多く、60歳以上では減少する傾向にあります。しかし、これもあくまで平均値であり、個人差は大きいです。また、生活費だけでなく、医療費や介護費なども考慮しなければなりません。高齢になるほど、これらの費用は増える可能性が高いです。
老後資金の計算方法
では、老後に必要な資金はどのようにして計算すればよいのでしょうか。現在60歳として、平均寿命に近い90歳で亡くなると想定した場合、一般的な計算方法は次のようになります。
老後に必要な資金=老後の生活費総額(1)-年金受給額総額(2)-その他の収入や資産(3)
(1)老後の生活費総額=月々の生活費×30年+医療費や娯楽費など
(2)年金受給額総額は、日本年金機構から誕生月に郵送される「ねんきん定期便」や、インターネットを通じて自分の年金情報が分かる「ねんきんネット」で確認できます。
(3)その他の収入や資産とは、不動産や株式などから得られる収入や売却益のことです。
具体的に計算してみましょう。月々15万円の生活費で暮らすとしたら、30年分で5400万円になります。これに医療費や娯楽費などを加えて、6000万円とします。
年金受給額は、国民年金だけの場合は満額で年間79万5000円(令和5年度)です。65歳から90歳まで受給するとしたら、25年分で1987万5000円になります。その他の収入や資産は、300万円の貯蓄と仮定しましょう。したがって、老後に必要な資金は、以下のとおりとなり、国民年金だけではかなり不足することが分かります。
6000万円-1987万5000円-300万円=3712万5000円
しかし、厚生年金を受給する場合は、どうなるでしょうか。人によって受給額が異なるので、厚生年金から支給される老齢厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額・22万4482円)を半分にした、1人1ヶ月11万2241円として計算します。
65歳から90歳まで受給するとした場合、25年分で3367万2300円になります。その他の収入や資産は、300万円の貯蓄と仮定しましょう。したがって、老後に必要な資金は以下のとおりとなり、やはり厚生年金だけでもかなり不足するという結果になりました。
6000万円-3367万2300円-300万円=2332万7700円
このように、年金受給額によって老後に必要な資金は大きく変わります。自身が受け取る年金の種類や受給額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認することができますので、あらかじめ調べて把握しておくことが大切です。
老後資金の準備は40歳からでも間に合う!
40歳独身で貯蓄が300万円という場合、このまま老後を迎えるのはかなり不安です。老後に必要な資金を準備するためには、早めに貯蓄や収入源を増やす対策を始めることが大切です。それには次のような方法があります。
・先取り貯金や定期積立貯金など、自動的に貯蓄できる方法を利用する
・固定費や変動費の見直しや節約方法を実践する
・投資や副業など、収入源を増やす方法を検討する
先取り貯金とは、給料日にまず天引きなどにより貯金することです。また、定期積立貯金とは、毎月決まった額を自動的に銀行口座から投資信託などに振り込むものです。どちらも自動的に貯蓄できるので、自身で意識せず楽に資産形成ができるのでおすすめです。
これらの紹介した方法を少しでも早く実行することで、老後資金を増やすことができます。1人分の収入でも安心して過ごせる老後を目指しましょう。
出典
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)
総務省統計局 家計調査 家計収支編 単身世帯(2022年)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー