更新日: 2019.01.10 セカンドライフ
自分の最後は自宅?病院?「終活」の始め方
しかし、実際は、病院や診療所で亡くなる場合が約76.6%、自宅は12.7%程度にすぎません※2。在宅療養していて、容態が悪くなり救急車で運ばれるケースが多いことを考えれば、病院死が高いのもうなずけます。
Text:岩崎克哉(いわさき かつや)
独立系FP事務所 Office Iwasaki 代表
AFP(日本FP協会)
上級心理カウンセラー(NPO法人 総合福祉カウンセリングセンター)
1965年生まれ
大学の法学部を卒業後、経済の仕組みを学ぶため、銀行に入社。10年後、生命保険業界へ転身。生命保険業界には約20年携わり、金融畑約30年の知識と経験を「どこにも所属しない立場で多くの方々に伝えていきたい」と思い独立。
「あなたらしい人生を「ライフプラン」と「マネープラン」で応援するファイナンシャルプランナー」をモットーに家計相談は通算2,000世帯以上に上る。
また、生命保険業界で培った「ライフプランニング」の考え方や「マネジメント力」「対人コミュニケーション力」を活かし、企業研修・セミナー講師、業務改善コンサルタントとしても活動中。
http://www.officeiwasaki.jp/
病院で亡くなるとどうなるか?
病院で亡くなると、すぐに葬儀業者を呼んでご遺体を引き取ってもらい、病院から出なければなりません。
亡くなる前に葬儀業者が決まっていればいいですが、「突然だったので葬儀業者がわからない・・・」「知っている葬儀業者がない・・・」という場合は、十分に検討する時間がないまま、病院と提携している葬儀業者に依頼することになります。
その場合は、10数件の葬儀業者名と住所、電話番号の記載がある用紙を病院側から手渡され、その中から選択し、電話するように指示されます。
短い時間に決断し、電話連絡しなければならないため、料金や内容を比較することもできないまま葬儀業者を決めることになりかねません。
「丁寧な対応をしてくれるのか? 」「こちらの相談内容を理解して、気持ちを汲んでくれるのか? 」といった不安が生じますし、斎場・遺族控え室などの施設の規模や内容、交通の便などまではとっさに判断しにくいものです。
葬祭業は許認可事業ではないためサービスレベルの格差がある
実は、葬祭業は許認可事業ではありません。そのため、専門業者や互助会以外にもJA(農協)や生協、鉄道会社などが参入しており4000~5000社ほどあると言われています。
そのため、葬儀サービスのスタイルも多様化しており、「価格やサービス内容について十分な説明がない」「高額な料金を請求された」「低価格で葬儀が行える業者に依頼したが、必要な保全処理を案内してもらえず、後悔が残っている」などといったトラブルも多いようです。
国民生活センター PIO-NETに寄せられた相談件数は
2012年:704件
2013年:729件
2014年:724件
2015年:764件
2016年:716件
2017年:636件
と高い水準です。※3
これらのトラブルを回避するためにも、事前に備えることが最も有効な解決手段だと言えます。
万が一のときに家族が困らないためには、「終活」を通してお葬式についての自分の想いを家族に話したり、実際に葬儀業者を調べてみたりするといいでしょう。
「終活」は何から始めればいい?
「終活」という言葉は、ここ数年ですっかり定着しましたが、一方でいざ身辺整理、終活しようと思っても何をどうすればいいかわからない方も少なくありません。終活のヒントになる「おさえておきたいチェックリスト」の一例をご紹介します。
□写真を撮る(生前遺影撮影)
□金融機関の口座を整理する
□交友関係リストを整理する
□法定相続人が誰かを知っておく
□不動産名義を確認し、実情に合わせる
□終の棲家について考える
□お墓について考える
□お葬式について考える
□不要なものを捨てる(断捨離)
□ネット上、PC上のデータを整理する
など
これらを整理したリストや考えを「エンディングノート」に記録しておくと、自分自身を見つめる機会にもなり、想いを遺すこともできます。
※1平成29年高齢社会白書
※2 (厚生労働省平成28年(2016)人口動態統計)
※3 PIO-NETに寄せられた相談件数の推移
Text:岩崎 克哉(いわさき かつや)
独立系FP事務所 Office Iwasaki 代表