更新日: 2024.09.13 定年・退職
大学生の息子への仕送り。定年を迎えたので「月収15万円」になるのですが、これからも息子の生活をサポートできますか?
今回のケースでは月収15万円ですが、平均的な数値で考えると、息子の生活をフルサポートすることは難しそうです。
本記事では、年金生活者が子どもの学費や生活をサポートできるか、統計の数字を用いて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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親子の生活費は月いくら?
最初に親子の平均的な生活費をご紹介します。今回のケースでは親世帯と子世帯が分かれていますが、親世帯(65歳以上)は「単身もしくは2人世帯」、子世帯を「単身世帯」と仮定します。
大学生の生活費
独立行政法人日本学生支援機構の「令和4年度 学生生活調査結果」によると、大学学部(昼間部)の平均学生生活費(学費+生活費)は年間182万4700円でした。月に換算すると約15万2000円です。
こちらの金額は国立・公立・私立を総合した平均値です。内訳の詳細は以下の通りです。
・公立:133万6400円(月約11万1400円)
・国立:146万500円(月約12万1700円)
・私立:193万9600円(月約16万1600円)
もっとも安い公立でも、平均的に月11万円以上の学生生活費が発生します。
高齢者世帯の生活費(夫婦2人を想定)
総務省統計局の「家計調査報告[家計収支編]2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上の無職世帯の家計状況は表1の通りです。
表1
項目 | 単身世帯 月平均額 |
夫婦世帯 月平均額 |
---|---|---|
消費支出 | 14万3139円 | 23万6696円 |
出典:総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2022年(令和4年)平均結果の概要」を基に筆者作成
仮に今回のケースで親世帯が夫婦2人の場合、年金額月15万円に対して消費支出は23万円を超える想定です。この場合、子どもの生活のサポートはおろか、自分の世帯も大赤字になってしまうでしょう。
実際には、この平均値よりもずっと消費支出は少ないかもしれませんが、息子の世帯をサポートする余裕があるとはいいがたいでしょう。
親世帯が夫婦ではなく単身の場合、年金額月15万円に対して消費支出は14万3139円であり、自身の世帯では赤字を回避できています。しかし息子の生活のサポートを、余裕で行える額とは考えにくいです。
年金のみの支援は困難。奨学金の検討が現実的
上記の金額を比較すると、年金15万円だけで自分たちと子どもの生活を支えるのは、困難であるといえます。
そのため、奨学金の利用を検討する方が現実的でしょう。前述の学生調査では、大学学部(昼間部)の学生のうち、55.0%が奨学金を受給しています。また2.4%の学生は受給できなかったものの申請しており、3.3%は申請しなかったものの受給を希望していました。
大学学部(昼間部)に通う学生たちの家庭年間平均収入は、853万円(月約71万円)ですが、半数以上が奨学金について考えています。
この点を踏まえると、やはり年金月15万円世帯で奨学金に一切頼らない選択肢は、現実的とはいえないでしょう。
アルバイトの活用も検討できる
「奨学金に頼りたくない」もしくは「多額を借用したくない」という場合は、息子がアルバイトをして学生生活費をカバーする選択肢もありそうです。
前述の学生調査では、大学学部生(昼間部)のうち83.8%がアルバイト従事者でした。そのうち「家庭からの給付のみでは就学不自由・困難及び給付無し」のカテゴリには、31.5%が該当していることが分かりました。
仮に時給1000円のバイトを週に20時間行った場合、毎週2万円、4週で8万円になります。アルバイトの収入により奨学金の金額をおさえることで、卒業後の返済負担をやわらげられるかもしれません。
月15万円の年金で2世帯カバーは困難。奨学金・アルバイトも考えよう
今回の算出結果より、月15万円の年金で親世帯と子世帯両方をカバーすることは、現実的に困難と考えられます。
子世帯の学費や生活費を賄うためには、奨学金やアルバイトも選択肢に入れるのが無難です。一度、月の支出や今後の出費を把握し、どれほどのお金がかかるのかを確認してみましょう。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 令和4年度学生生活調査結果(4,5,10,11,12ページ)
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2022年(令和4年)平均結果の概要(18,19ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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