更新日: 2024.10.29 定年・退職
退職金の「MAX額」はいくら?平均額はどのくらい?
しかし、最大でどの程度受け取れるのか、平均はどれくらいかなど、具体的な金額を把握している方は少ないかもしれません。そこで今回は、退職金の上限額や平均額を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
退職金のMAX額
退職金の支給額は、勤続年数や役職、退職理由などで決まりますが、計算方法はさまざまです。そのため、最大支給額は企業によって異なります。ただし、計算方法の例を把握しておけば、支給額の目安を立てやすくなるでしょう。
この章では、退職金の全額を「一時金」として受け取る前提で、従業員と役員の退職金上限額を予測します。
従業員の退職金MAX額
厚生労働省労働基準局監督課の「モデル就業規則」では、従業員の退職金の計算方法は次のように設定されています。
・退職金の額は、退職又は解雇の時の基本給の額に、勤続年数に応じて定めた下表の支給率を乗じた金額とする。
同資料における支給率の最大は、「勤続年数41年~」の25です。この場合の退職金額は次の式で計算できます。
(退職または解雇時点の基本給)×25
「退職または解雇時点の基本給」に現在の額を入れ、勤続年数にあった支給率を乗じれば最大額の算出が可能です。
なお、この計算方法以外にも、「点数方式(職能等級、勤続年数等を点数(ポイント)に置き換えて算定する方式)」や「別テーブル方式(賃金と連動しない体系又はテーブルで算定する方式)」など複数の仕組みがあるようです。勤務先の就業規則から、どの計算方法が採用されているかを確かめるといいでしょう。
役員の退職金MAX額
役員の退職金(役員退職金)の計算には、次の式を用いることがあるようです。
(退任時点の月額報酬)×(勤続年数)×(一定の割合)
「一定の割合」は役職に応じて決まり、以下の値が目安とされます。
●専務取締役:2.4~2.7倍
●常務取締役:2~2.3倍
●取締役:1.6~2倍
●監査役:1.4~2倍
したがって、最終月額を3倍した値が、役員退職金の最大額の基準となるでしょう。ただし、従業員の退職金同様、複数の計算方法があるため、厳密な額は企業ごとに異なります。
【PR】日本財託グループセミナー
退職金の平均額
自分の退職金を予測するうえでは、平均金額を知ることも重要です。
総務省統計局が公表している人事院の「令和3年民間企業の勤務条件制度等調査(民間企業退職給付調査)」によれば、勤続年数38年(※)で定年退職した場合の企業規模別平均退職金額は、表1のようになります。
※大学新卒として22歳で入社し、60歳で定年を迎えた場合の勤続年数
表1
従業員数 | 平均退職給付額 (退職一時金+企業年金現価額) |
---|---|
50人以上100人未満 | 1692万3000円 |
100人以上500人未満 | 1735万2000円 |
500人以上1000人未満 | 1864万5000円 |
1000人以上 | 2663万5000円 |
出典:総務省統計局 人事院「民間企業の勤務条件制度等調査/令和3年民間企業の勤務条件制度等調査(民間企業退職給付調査)/統計表」を基に筆者作成
従業員数「1000人以上」の企業では、平均2663万5000円の退職金が給付される一方、「50人以上100人未満」では平均1692万3000円と、企業規模によって1000万円近くの差があることが分かります。
退職金のMAX額は企業ごとに設定される|平均受給額は企業規模などで異なり、約1700万~2600円
退職金の最大額は企業ごとに異なりますが、基本的には、退職時点の報酬額や就業年数、退職理由などで決まるようです。また、勤務年数が同じ場合の従業員数別の平均受給額は、最少が「50人以上100人未満」の1692万3000円、最大が「1000人以上」の2663万5000円となっています。
このように、退職金の額は受給者や企業の性質によって異なります。退職金が設けられている企業であれば、厳密な算出方法は就業規則に記載されているので、そちらを確認し、シミュレーションをするといいでしょう。
出典
厚生労働省労働基準局監督課 モデル就業規則 (74ページ)
総務省統計局 政府統計の総合窓口(e-Stat)人事院 民間企業の勤務条件制度等調査/令和3年民間企業の勤務条件制度等調査(民間企業退職給付調査)/統計表 第21表 2
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー