更新日: 2024.10.30 定年・退職
夫の定年後、年金と貯金で暮らすのは「普通」ではないのでしょうか?これまで老後のために頑張ってきたのに周りから「余裕があるのね」とよく言われます…
今回は、定年後に必要な生活費を踏まえ、年金と貯金のみで老後を暮らすには、一人当たりどれくらいの貯金が必要かについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
年金の平均受給額と年金のみで生活している受給者の割合はどれくらい?
厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、年金だけで生活している人の割合は、受給しているうち41.7%です。また、公的年金・恩給の平均受給額は約191万9000円です。そのため、貯金を含めない場合、年金のみで生活している高齢者は月16万円程度で出費をおさえていると考えられます。
一方で、総務省統計局の「労働力調査 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、25.2%の65歳以上の方が働き続けています。特に、65~69歳は、全体で5割程度、男性は6割程度が就業しているようです。高齢者雇用の環境は年々整っているため、定年を迎えても働きやすくなっています。
老後の資金はどれくらい必要? 1ヶ月当たりの支出を貯金で補う場合に必要な貯金額を算出
総務省統計局の家計調査によると、無職世帯の1ヶ月当たりの実支出は23万円程度です。支出には生活費だけでなく、税金や保険なども含まれます。
前述の通り、1ヶ月当たりの平均的な年金受給額は約16万円であるため、7万円ほど不足しています。そのため、生活費は貯金から補う必要があるでしょう。仮に、平均寿命まで生きた場合に必要になる貯金は表1の通りです。
表1
平均寿命 | 必要な貯金額 | |
---|---|---|
男性 | 81.09歳 | 約1344万円 |
女性 | 87.14歳 | 約1848万円 |
※厚生労働省 「令和5年簡易生命表の概況」を基に筆者作成
人によって寿命も生活水準も異なるため、全ての年金受給者世代に当てはまるとは限りませんが、最低限男性であれば1400万円程度、女性は2000万円ほどの貯金が必要でしょう。
また、人によって、老後は施設に入ったり病院へ定期的に通ったりする可能性もあります。そのため、想定しているよりも老後の資金が必要になる可能性も考えられます。予備も含めて貯金は一人当たり2500万円程度あった方が安心できるでしょう。
実際に、総務省統計局の「家計調査報告[貯蓄・負債編]2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によると、70代以上の純貯蓄(全貯蓄から負債額を差し引いた貯金額)は2425万円です。60~69歳の純貯蓄も2231万円であるため、老後資金はしっかり貯金しておく必要があるでしょう。
特に近年は「人生100年時代」ともいわれ、仮に100歳まで暮らす場合、老後の資金は最低でも3000万円ほどなければ生活が困難であることが想定されます。
年金と貯金だけで老後を暮らしていくには現役時代にコツコツ貯めておかなければ難しいでしょう。
年金と貯金だけで暮らしていくなら、最低でも2500万円の貯金があった方がいい
2023年の調査時点で、収入源が年金のみで生活している高齢者世帯は全体の約4割です。そのため、年金と貯金だけで暮らしていくことは不可能ではないでしょう。
しかし、平均的な年金受給額では月7万円ほど不足するため、現役時代にしっかり貯金しておかなければなりません。例えば、平均寿命まで生きた場合は2000万円程度を貯金で補う必要があります。さらに、病院代などがかかる可能性も考えると、最低でも2500万円は準備をしておくと安心でしょう。
また、生活水準も支給される年金額も人によって異なるため、必ずしも年金と貯金だけで生活できる方に「余裕がある」とは限りません。老後に趣味をとことん楽しみたい方や旅行にたくさん行きたい方は、いくら貯金があっても足りない可能性もあります。
老後の過ごし方はさまざまですが、年金と貯金だけで暮らしていくのであれば、しっかり貯金しておきましょう。
出典
厚生労働省
2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況(11ページ)
令和5年簡易生命表の概況(2ページ)
総務省統計局
労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の概要(6ページ)
家計調査報告[貯蓄・負債編)2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)(10ページ)
政府統計の総合窓口(e-stat)家計調査(2023年) 家計収支編 総世帯 表番号1
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー