更新日: 2019.06.19 介護

介護休業についての4つの勘違い 「介護休業を利用すると収入が途絶える」?

介護休業についての4つの勘違い 「介護休業を利用すると収入が途絶える」?
介護離職は年間10万人といわれています。働き盛りの40代、50代が介護離職すると会社としても大きなダメージです。
 
介護離職者は、収入が途絶え、人生設計が狂ってしまいます。介護はいつか終わりますが、再就職は困難で、再就職できたとしても、正社員として就職できる人は半数にも満たないという調査結果もあります。
 
また、4人に1人は無職状態です。親の資産もなく、再就職もできなければ、経済的に非常に厳しい状況になります。
 
介護と仕事の両立に国も力をいれていますが、公的な支援制度のひとつに介護休業制度があります。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

介護休業制度とは?

労働者(日々雇用を除く)は、「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」にある対象家族を介護するために、対象家族1人につき、通算93日(3回分割可能)まで介護休業を取ることができます。
 
介護休業を取るためには、労働者は、休業開始予定日の2週間前までに、書面のほか、事業主が適当と認める場合には、ファックス又は電子メール等により、事業主に申し出ることが必要です。
 

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勘違い1 「常時介護を必要とする状態」は要介護認定を受けないと利用できない

対象家族が要介護認定を受けていないと、介護休業制度は利用できないと勘違いしていないでしょうか。
 
「常時介護を必要とする状態」とは、以下の(1)または(2)のいずれかに該当する場合であること、されています。
 
(1)介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。
(2)状態(1)~(12)のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められ ること。
 

 
(2)の判断は会社が行います。厚生労働省のQ&Aによると、その際、「事業主は労働者に対し、介護休業申出書の記載事にかかる事実を証明できるものであって、労働者に過大な負担をかけることのないよう、その労働者が提出できる範囲のものとすべきで、介護休業や介護休暇の申出に診断書の添付を義務付けることは望ましくありません」とされています。
 
また、「なお、事業主が労働者に対して、証明書類を求め、その提出を当該労働者が拒んだ場合にも、介護休業や介護休暇申出自体の効力に影響がありません」ともされています。
このように、対象家族が要介護認定を受けていなくても介護休業制度は利用できます。
 

勘違い2 介護休業は介護に専念するための期間

介護休業が93日となっているのは、例えば、入院期間1か月、介護認定がおりるまで1か月、介護生活が軌道に乗るまで1か月と考えられたからです。
 
つまり、介護休業の期間は家族が介護に専念する期間ではなく、介護生活をスタートするまでの準備期間です。介護は5年・10年といった長期戦ですので、介護に専念するには足りません。介護休業は93日を限度に3回まで分割して取得ができますので、介護生活を軌道に乗せるために有効に使ってください。
 

勘違い3 介護休業を利用すると収入が途絶える

介護休業を利用するにあたって、心配なのは経済的なことではないでしょうか。確かに、介護休業を取ると会社からは、通常、給料は支払われません。
 
しかし、介護休業中、受給資格を満たす労働者は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」の介護休業給付金が雇用保険から支給されます。
 
手続きについては、事業主が、介護休業終了日の翌日から起算して2ヵ月を経過する日の属する月末までにハローワークへ雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書と介護休業給付金支給申請書、並びに添付書類を添えて提出します。
 

勘違い4 同居していない祖母の介護には介護休業は取れない

平成29年改正育児・介護休業法により、対象家族が拡大したのをご存知でしょうか。
 
改正前、対象家族は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母。祖父母、兄弟姉妹、孫に関しては、同居し扶養している場合に限っていました。改正後は、同居・扶養せずとも対象家族の範囲になりました。
 
例えば、今まで同居していなかったため、祖父母や兄弟姉妹のために介護休業を取れず、介護をすることができなかった方が、改正により介護休業が可能になりました。
 
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
 

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