更新日: 2019.01.07 セカンドライフ
60歳代に訪れる嬉しい出費・孫消費は予想外に大きい
Text:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
孫消費は祖父母の楽しみ
お盆の時期、「お盆玉」がテレビで話題になりました。お正月に渡す「お年玉」と同様に、お盆に渡す「お盆玉」が一般化しつつあります。これまではポチ袋を見かけることも少なかったのですが、最近は郵便局でも販売しています。渡す金額の平均は6000円弱だそうです。一緒にテレビを見ていた60歳代の親戚が、孫出費の大変さを話していました。出産祝いに始まり初節句、七五三、幼稚園入園・・・行事は続きます。祖父母といっても、昔と違い体力的にも元気ですから、お祝いを持って行事に参加する場合も多いようです。小学校の入学祝に祖父母が贈るランドセルは、夏休みの孫消費の定番になっているそうです。子どもの教育費から解放され少し余裕が出来た頃、このような嬉しい出費がやってきます。“頼りにされる”嬉しさもあります。親戚も「困ったものよ」と言いながら、まんざらでもない様子でした。
ソニー生命保険が行った「シニアの意識調査」~全国のシニア(59~75歳男女)1000人対象 2016年10月31日、11月1日実施~によると、孫のために1年間で使った金額は平均112,904円で、昨年より6,433円増加したそうです。
60歳代にとって、孫消費の注意点は、エスカレートし過ぎないことです。孫の陰には子どもの存在もあります。恒常的に「おじいちゃんにお願いする」になる危険もあります。教育資金贈与の非課税制度を利用して、後々自身の老後資金が不足してしまった例もあります。
こだわりの結婚式は親頼み
先日の日経新聞に、首都圏のホテルが相次いで婚礼施設を刷新している記事がありました。少子化や未婚率の上昇に加えて、挙式をしないカップルが増えたことで、結婚式場の市場規模は縮小しました。一方、こだわりのある結婚式を望むカップルも増えました。二極化した結果、挙式・披露宴の単価は上がっているようです。
Aさん(65歳)の長男(38歳)は今月結婚されます。途中で進路を変更のため大学に入り直したこともあって、社会人としての年数は短く、結婚資金の準備は出来ていません。彼女のたっての希望で、某有名ホテルで挙式・結婚式をすることが決まりました。ホテルからは夏の挙式・披露宴は割安だと説明されたそうです。パック料金で280万円。神前挙式をするので貸衣装代もその分加算され、諸々プラスされる料金が約100万円で、合計380万円はかかりそうです。「両家折半でも200万円近く。こんな大金を1日に費やすなんて」とAさんは驚きを隠せません。結局、毎月息子さんが返済することを条件に、費用はAさんが立替えることになりました。
ゼクシィ「結婚トレンド調査2016」によると、挙式・披露宴の総額平均は約360万円。昨年より7万円増加したそうです。調査によると、親・親族から援助があった人の割合は72.6%で、援助総額は166.9万円。昨年より4.5万円増加しています。挙式・披露宴にお金をかけるカップルの増加は、晩婚化が進んだことが理由とは言いきれない現実があるようです。彼らの今後を考えると、孫消費も大きな出費になりそうです。