最終更新日:2019.01.07 公開日:2017.06.29
年金

国民年金<保険料>、障害があると免除、学生で無収入だと猶予

国民年金は、自分で保険料を納付する必要があります。厚生年金にように、会社や役所が給与から天引きして納付する仕組みにはなっていません。そのためさまざまな事情で保険料を納めることが困難な場合に対応した制度があります。それが、「保険料免除」と「保険料猶予」の制度で、申請し認可を受ける必要があります。

免除制度の仕組みと範囲

保険料免除の適用を受けるのは、国民年金の第1号被保険者(本人が納付する必要がある人)に該当する人です。具体的には、自営業者、農林漁業従事者、フリーターなど自由業の人、無職の人が対象です。ただし学生については対象になりません。免除申請書を、住んでいる地域に役所・年金事務所へ提出することにより認定されます。免除が認められると、免除期間は加入期間として算定され、保険料の一部を支払ったものとしてカウントされます。
保険料の免除には、法定免除と申請免除の2種類があります。
<法定免除>
法定免除は、届け出をすることで、保険料が全額免除されます。対象となるのは、障害年金(1級・2級)の受給者、生活保護法で「生活扶助」を受けている人です。1度届け出を行い、これ認められると、免除の理由が解消するまで有効です。全額免除を受けている人の老齢基礎年金の受取額は、満額の2分の1の金額になります。
<申請免除>
申請免除は、本人が免除を申請し認定されなければなりません。保険料の全額もしくは一部(4分の1から4分の3)が免除されます。対象者は、障害者または寡婦で年収125万円以下の人、生活保護法で生活扶助以外の援助を受けている人、失業などで経済的に支払いが困難な人です。4分の1免除を受けている人の老齢基礎年金の受取額は、満額の8分の7、半額免除の人は満額の8分の6、4分の3免除の人は満額の8分の5にあたる金額を受け取れます。

図表7

保険料の「追納」もできる

毎年申請が不要のケースもありますが、失業など経済的な理由で納付できないときは、毎年申請し直す必要があります。またその場合は、本人の収入だけでなく配偶者や世帯主など世帯全体の収入を見て判断されます。
免除された期間の保険料を、その後追納しなかったとしても、その保険料に対して国からの補填があります。老齢基礎年金が受け取れる年齢になると、全額ではありませんが、一定額は年金を受け取ることができます。
また、免除期間が過ぎてから保険料を追納することにより、受け取る年金額を増額できます。この制度を「追納制度」といいます。 免除された保険料は10年以内に支払う必要があります。この場合、免除期間の保険料に加算額が上乗せされます。

保険料「猶予」制度 保険料の後払い

国民年金保険料を納めるのは20歳からです。そのため、20歳過ぎの学生は、自営業者などと同様、国民年金に加入する必要があります。しかし、若い世代は経済力も乏しく、年金保険料の支払いも大きな負担になります。就学中は収入もあまりないため、自分で支払うことができない人が多いはずです。親が代わって支払うケースもありますが、学校を卒業し経済力をもつまで、保険料の納付が猶予される制度があります。
学生や50歳未満のフリーター・無職の人は、支払い能力が乏しいため、年金の支払いが猶予される制度があります。これは、学生であれば卒業し自立するまで、フリーターであれば就職等により収入が安定するまでの期間、保険料の支払いが猶予される制度です。ただし保険料の「納付猶予」は、先に説明した「免除」とは異なります。あくまで保険料を後で払う「追納制度」を前提としています。

大学生と50歳未満対象の制度

納付猶予が認められる制度は、学生納付特例制度と、納付猶予制度の二つです。
<学生納付特例制度>
学生納付特例制度では、20歳以上の学生が対象で、学生本人の所得が一定額以下の場合に、保険料の支払いが猶予されます。猶予期間は原則10年ですので、この間に追納しないと、後に受け取る年金額はゼロになります。
こで対象の学生とは、大学、大学院、短大、高校、高専、専門学校(就業年数1年以上)に通っている人で、昼間だけでなく、夜間、定時制、通信制の学校も含まれます。
<納付猶予制度>
納付猶予制度は、50歳未満の学生以外で、本人及び配偶者の所得が一定以下の場合、申請することにより、保険料の納付が猶予されます。フリーターなどで収入が安定していない人や、一時的に失業した人が対象になります。これまでこの制度は、30歳未満の若年層が納付猶予の対象でしたが、50歳未満に対象年齢が拡大されました。

猶予と免除とは異なる

ここでいう納付猶予は、将来の受取年金額に反映される免除とは異なります。あくまで保険料の後払いを前提としており、保険料を追納しない限り、将来の年金額は増えることはありません。また追納の場合は、本来支払うべき保険料に利子が付きますので注意が必要です。ただし猶予期間は、保険料の加入期間としては算定されますので、加入期間が短く、老齢厚生年金の受給に影響しそうな人には恩恵にあります。
なお、フリーターや無職で収入の少ない人の中で、障害年金の受給者や生活扶助の対象者であれば、保険料の猶予ではなく、保険料の免除を受けることができます。

黒木達也

執筆者:黒木達也(くろき たつや)

経済ジャーナリスト

大手新聞社出版局勤務を経て現職。



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