更新日: 2019.06.28 その他年金
日本で働く外国人 短期在留外国人のための脱退一時金とは
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
日本に住んでいると国民年金に加入義務がある
現行制度上、日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の人は、国籍に関係なく、国民年金に加入義務があります。日本に住む20歳以上60歳未満の外国人留学生などは、国民年金第1号被保険者になり、国民年金保険料(平成31年度:月額16,410円)を納めることになります。
また、日本で会社員として勤める外国籍の人も、国民年金第2号被保険者・厚生年金被保険者になり、毎月の給与や賞与の額に応じ、厚生年金の保険料が給与や賞与から差し引かれることになります。
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短期の在住で帰国する場合の脱退一時金
しかし、それほど長く日本に住むことなく、短期間で帰国する人も多いことでしょう。日本の老齢年金を受給するためには、保険料の納付や免除の期間など受給資格期間が10年以上必要ですが、短期で帰国した場合は、日本で払った保険料は掛け捨てになってしまいます。
そこで、保険料の掛け捨て防止のため、帰国した外国籍の人に脱退一時金として支払いがされることになります。国民年金制度と厚生年金保険制度、それぞれに脱退一時金制度があります。
国民年金の脱退一時金は、国民年金第1号被保険者期間が6か月相当以上あれば受け取れる対象になります。一方、厚生年金の脱退一時金は、厚生年金加入期間が6か月以上ある人が対象です。
ただし、(1)国民年金被保険者である場合、(2)日本国内に住所がある場合、(3)老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしている場合、(4)障害年金(障害手当金を含む)を受給する権利があった場合、(5)日本に住所を有しなくなって2年経過している場合などは脱退一時金を受けることができません。
脱退一時金の額
脱退一時金の計算方法は、国民年金と厚生年金でそれぞれ金額が異なります。国民年金の脱退一時金の額は【図表1】のとおりとなります。保険料を納めた月数や免除を受けた月数に応じて、定額で決まっていることになります。
一方、厚生年金の脱退一時金の額は【図表2】のとおり、在職中の給与や賞与の平均である平均標準報酬額に、厚生年金加入月数に応じた支給率を掛けて計算することとなります。
いずれの脱退一時金も、受け取ることとなった場合、脱退一時金の計算の基礎になった加入期間は、被保険者ではなかったこととみなされることになります。
日本の老齢年金の受給に必要な資格期間は10年ですが、帰国しても再度来日する可能性がある場合や、日本との社会保障協定によって日本と自国の年金加入期間が通算できる国の人の場合は、合計で10年の期間を満たして、日本の年金を受けられるようになることもあるでしょう。この点をよく考えた上で、脱退一時金を請求する必要があります。
先述のとおり、日本に住所がなくなって2年を経過すると脱退一時金は受けられませんので、もし脱退一時金を受けたい場合については、日本に住所がなくなった後、早めに請求手続きを行いましょう(請求先は日本年金機構です。ただし、共済加入期間がある場合は請求先が共済組合等となる場合があります)。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー