更新日: 2020.05.04 その他年金
ねんきん定期便って何?知っておきたい活用方法
60歳以降のライフプランを考えるうえで、公的年金の変化について知ることは大切なことです。
執筆者:三藤桂子(みふじけいこ)
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士
大学卒業後、公務員、専業主婦、自営業、会社員、シングルマザーとあらゆる立場を経験した後、FPと社会保険労務士の資格を取得し、個人事業主から社会保険労務士法人エニシアFP を設立。
社会保険労務士とFP(ファイナンシャルプランナー)という二刀流で活動することで、会社側と社員(個人)側、お互いの立場・主張を理解し、一方通行的なアドバイスにならないよう、会社の顧問、個別相談などを行う。
また年金・労務を強みに、セミナー講師、執筆・監修など首都圏を中心に活動中(本名は三角桂子)。
公的年金とは?
公的年金について確認しましょう。公的年金とは2階建て年金ともいわれています。1階部分は国民年金(老齢基礎年金)です。日本国内に住所のある、20歳以上60歳未満の人が加入する年金です。
国民年金(老齢基礎年金)は3つに分かれています。自営業やフリーランス、学生などが該当する第1号被保険者と、会社員、公務員が該当する第2号被保険者と、会社員、公務員に扶養される配偶者である、専業主婦(主夫)が該当する第3号被保険者です。
2階部分は国民年金の第2号被保険者である会社員、公務員の人が加入する年金、厚生年金保険(老齢厚生年金)です。国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金保険(老齢厚生年金)のことを公的年金といいます。
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50歳以上の「ねんきん定期便」
現役世代のねんきん定期便は、50歳以上と50歳未満と2種類あります。50歳以上のねんきん定期便は、次のA、B、C(図中は○つきのA、B、C)を確認しましょう。
Aの受給資格期間は120月(10年)以上なければ、原則65歳から老齢年金を受け取ることができません。さらに万が一の保障である、障害年金、遺族年金はAが原則300月(25年)以上なければ受ける取ることができないので注意が必要です。
【50歳以上のねんきん定期便】
次にBにはねんきん定期便が作成された時点の、現在加入している年金制度に60歳まで加入し続けた場合、65歳から受け取れる年金の見込額が記載されています。
仮に役職定年や独立開業など、働き方や収入の増減があると見込額は変わってきます。厚生年金基金に加入の人は基金の部分が含まれていないので、別に確認が必要です。
Cは「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることができる人の場合、年金を受け取る年齢(受給開始年齢)と、年金額が記載されています。特別支給の老齢厚生年金は、65歳までの有期年金と考えてみましょう。男性なら昭和36年4月1日生まれまでの人(公務員の女性を含む)、女性なら昭和41年4月1日生まれまでの人が厚生年金保険に加入していた場合、Cに記載があります。
50歳未満の「ねんきん定期便」
50歳未満の「ねんきん定期便」は、ねんきん定期便作成時点までの加入履歴と、年金額が記載されています。
Aは年金を受け取るために必要な加入期間が記載されています。老齢年金を受け取るには、受給資格期間が120月(10年)以上必要になりますが、年齢の若い人ほど加入期間が短いので、現時点で120月なくても心配することはありません。
Bには、ねんきん定期便の作成時点までの実績に基づいて年金額が記載されています。やはり年齢の若い人ほど加入期間が短いので、金額は少なくなっています。
50歳未満のねんきん定期便が送られてきた人は、前年のねんきん定期便より納めた保険料分がねんきん定期便に反映されているか確認しましょう。
60歳まで10年以上保険料を納める期間があるので、仮にまだ受給資格期間を満たしていない人もこれから納めることで、受給資格期間を満たすことも可能です。
さらに厚生年金保険の加入者であれば、スキルアップし収入を増やすことで、年金額を増やすこともできます。
【50歳未満のねんきん定期便】
計算し比べてみよう!
40歳Mさんの給与は40万円です。40歳の誕生日月に届いた「ねんきん定期便」は、次のとおりでした。仮に今の給与のまま60歳になると、表中「給与に変更なし」の金額です。しかし、スキルアップし給与が55万円に増えると、下表中の「給与に変更あり」の金額になります。
【Mさんの40歳に届いたねんきん定期便】
【表】
※表中の計算式について、老齢基礎年金は78万1700円(令和2年度)×保険料納付済月数÷480月にて計算。老齢厚生年金は平成15年4月からの計算式、平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数にて計算(円未満端数切捨)。平均標準報酬額を給与に置き換えて計算。
まとめ
ねんきん定期便はライフプランを考えるうえで、役立つアイテムです。50歳以上の人であれば、定年後の働き方を決める資料として、50歳未満の人はモチベーションアップにつなげるなど、1年に1回、誕生日月に将来の自分のライフプランを見直してみてはいかがでしょうか?
厚生年金保険は給与によって将来の年金額が増減します。スキルアップすることで、自分の将来の仕送り額を増やすことにつながることを理解し、ねんきん定期便の活用をおすすめします。
(参考)
日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
執筆者:三藤桂子
社会保険労務士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、三藤FP社会保険労務士事務所 代表、FP相談ねっと認定FP、公的保険アドバイザー、相続診断士