更新日: 2020.04.06 その他年金

ねんきん定期便で分かること・分からないこと

執筆者 : 宮﨑真紀子

ねんきん定期便で分かること・分からないこと
今年は年金が話題に上ることが多く、報道されるたびに不安は募るばかり。将来はどうなってしまうの? 年金はあてにならないね~と諦める前に、「ねんきん定期便」で自分の年金を確認してみませんか?
 
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

「ねんきん定期便」で分かること

話題になっている年金ですが、その報道のほとんどは「老後不安」を連想させるものです。年金だけでは老後の生活を支えることは難しいので、自助努力が必要です。
 
今のシニアに比べて、将来の老後は生活費の不足額が増えるので、相当の備えが必要になります。なるべく早い時期から資産形成しましょう。リタイア時期を遅らせることにより、年金の受取時期を繰下げて受取額を増やすこともできます。
 
このように諸々のフレーズが氾濫していますが、スタートに立ち戻って考えることが大切です。
 
そもそも「老後の生活において、大抵の場合は“収入<支出”となり、この不足分を自助努力で準備してください」というのですが、どれくらいの貯蓄が必要なのか、目標額を設定するためには、収入と支出を知らなければなりません。
 
収入の大部分を占めるのは、公的年金です。自分が将来受け取る年金額を知る情報源となるのが「ねんきん定期便」です。
 
「ねんきん定期便」は1年に一度、誕生月に郵送で届きます。定期便の内容は50歳以上と50歳未満で違いますが、一番に確認すべき点は、いずれの場合も加入実績です。これまでに納付した実績が、正確に反映されているかをチェックしましょう。
 
転職したり、厚生年金から国民年金に変わったりした場合は特に要注意です。私ごとですが、年金番号がダブっていて名寄せの手続きをしてもらった経験があります。
 
50歳以上の場合は、将来受給できる年金の見込額(年額)が記載されています。何歳からいくらもらえるか、その内訳はどうなっているかが分かります。これは現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定して試算されたものです。「加入条件が60歳まで継続すると仮定して」とあることに注目です。
 
途中で年収が下がると受取額は減ってしまいますので、注意が必要です。早期退職や転職などで、働き方が変わると試算が変わってきます。
 

受取時期は自分で選べる

50歳未満の場合は、将来受給できる年金の見込額ではなく、「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されています。これまで支払った保険料に応じた金額ですので、今後支払う保険料によって増加します。
 
昨年と今年の定期便を比べると、増えていることが実感できます。このままの条件で支払い続けた場合は、いくらもらえるの? という見込額を知りたい場合は、「ねんきんネット」で試算できます。
 
「ねんきんネット」の利用には「ねんきん定期便」に記載されたアクセスキーを使うと便利ですが、到着後3ヶ月の有効期限があります。
 
老齢年金の受給額を増やす手段として、受給開始年齢を繰下げる方法があります。年金は65歳から受給するのが一般的ですが、受取時期をずらすことが可能です。65歳より前倒しで受け取る「繰上げ」、受取時期を後ろにずらす「繰下げ」があります。
 
受給額は、65歳で受給する時と比べ増減します。繰上げした場合は1ヶ月当たり0.5%減額、繰下げした場合は0.7%増額です。定期便には増額イメージの図表「(70歳まで遅らせた場合)老齢年金の見込額 最大42%増」が掲載されています。これは0.7%×12ヶ月×5年=42%で算出されています。
 
「受取金額が減っても早い時期からもらいたい」「受取時期を遅くして、金額を増やしたい」どちらがお得なのか気になりますが、これは「いつまで生きる?」と関わってきますので答えは困難です。
 
「お得」を考えるより、自分のライフプランを中心に考えるべきだと思います。自助努力で備える金額だけでなく、いつまで働くのか、等々。「ねんきん定期便」がきっかけで、考えることはたくさんありそうです。
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士


 

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