更新日: 2020.08.11 国民年金

「家計が苦しくて国民年金保険料が払えない!」どうすればいいの?新型コロナでの特例はある?

執筆者 : 伊達寿和

「家計が苦しくて国民年金保険料が払えない!」どうすればいいの?新型コロナでの特例はある?
新型コロナウイルス感染症の影響によって収入が減り、家計が苦しくなっている家庭も多いと思います。自営業やフリーランスなど国民年金に加入しているケース(第1号被保険者)で、年金保険料の支払いが難しくなっている人もいるでしょう。
 
そこで今回は、国民年金保険料の免除・納付猶予制度について紹介します。

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伊達寿和

執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)

CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。

親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp

国民年金保険料の免除制度

国民年金に加入している人は、毎月保険料を納める必要があります。しかし、収入が減少したり、失業によって年金保険料を納めることが難しくなるケースがあります。その場合は未納のままにせず、免除・納付猶予制度の手続きをしましょう。
 
国民年金保険料の免除制度とは、本人・配偶者・世帯主の前年の所得(1月から6月に申請する場合は前々年の所得)が一定額以下や失業した場合などに、保険料の納付が免除になる制度です。免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があります。
 
免除を受けられる所得の基準は、次の金額の範囲内です。
・全額免除:(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
・4分の3免除:78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
・半額免除:118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
・4分の1免除:158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
 
なお、「扶養親族等控除額」と「社会保険料控除額等」は年末調整・確定申告で申告した金額なので、源泉徴収票や確定申告書で確認しましょう。
 
所得の審査対象となるのは、本人と配偶者と世帯主です。審査対象の全員の所得が基準以下である必要があり、例えば本人が基準を満たしていても、配偶者の所得が多い場合は免除が受けられません。
 
また、その他にも「失業等による特例免除」という制度があります。こちらは失業した場合に必要な書類を準備して手続きをすることにより、保険料の納付が免除・猶予される制度です。本人の所得を審査から除外する点が通常の免除制度とは異なりますが、世帯主と配偶者については同じく審査対象となっています。
 

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国民年金保険料の納付猶予制度

国民年金保険料の納付猶予制度とは、本人・配偶者の前年の所得(1月から6月に申請する場合は前々年の所得)が一定額以下の場合に、保険料の納付が猶予される制度です。免除制度と異なる点としては、対象が20歳から50歳までであること、所得の審査対象に世帯主は含まれないことです。
 
納付猶予を受けられる所得の基準は、次の金額の範囲内です。
・(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
 

免除・納付猶予制度を受けるメリットとデメリット

国民年金保険料の免除・納付猶予制度を利用することで、大きく3つのメリットがあります。ただし、免除・納付猶予の手続きをしないで未納となった場合、いずれも対象外となるので注意しましょう。
 

メリット
  • 万が一の際に障害基礎年金、遺族基礎年金の対象となる(一定の受給要件あり)。
  • 免除・猶予期間が老齢基礎年金の受給資格期間にカウントされる。
  • 免除期間が老齢基礎年金の年金額へ反映される(免除の種類によって反映される金額が異なり、猶予の場合は反映されない)。

 
デメリットとしては、将来受け取る老齢年金の受給額が減少することです。特に納付猶予の期間は受給資格期間にカウントされるものの、受給額は増えないので注意が必要です。
 
ただし、免除・納付猶予を受けた期間の分については、10年以内であれば、後から保険料を納めて老齢基礎年金の受給額を満額に近づけることが可能です。今後、収入が回復して納付できる状況になった場合には追納を検討するとよいでしょう。
 
また、国民年金保険料の納付が前提となっている制度については、免除・納付猶予を受けることで加入資格を失います。国民年金の付加保険、国民年金基金、個人型確定拠出年金(iDeCo)が該当し、これらの掛け金を納付することができなくなります。こうした制度を引き続き利用したい場合は、免除・納付猶予を受けないという選択肢もあります。
 

新型コロナウイルス感染症の影響による臨時特例

新型コロナウイルス感染症の影響により、国民年金保険料の納付が難しくなった場合の臨時特例としての免除申請の受け付けも令和2年5月1日から始まっています。
 
対象となるのは、令和2年2月以降に新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少し、所得などの状況から見て、当年中の所得見込額が年金保険料の免除などに該当する水準になると見込まれるケースです。対象期間は、令和元年度分(令和2年2月~令和2年6月)、令和2年度分(令和2年7月~令和3年6月)の2つの期間です。
 
通常の免除・納付猶予制度では前年の所得が審査の対象となりますが、この特例では新型コロナウイルス感染症による影響で減少した所得を基準に審査が行われます。学生納付特例制度についても同様の臨時特例がありますので、アルバイトなどの収入が減少した場合にも手続きをするとよいでしょう。
 
出典
日本年金機構 「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
日本年金機構 「新型コロナウイルス感染症の影響による減収を事由とする国民年金保険料免除について」
日本年金機構 「国民年金保険料の納付が困難な方へ 国民年金保険料の免除・納付猶予申請が可能です!」
 
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員