更新日: 2020.11.11 厚生年金

厚生年金基金が廃止になった? わたしたちの年金はどうなる?

執筆者 : 柘植輝

厚生年金基金が廃止になった? わたしたちの年金はどうなる?
豊かな老後保障を背景に導入された厚生年金基金も、時代の流れに伴い実質廃止の運びとなりました。
 
今回は、厚生年金基金が廃止といわれる理由や勤務先で厚生年金基金に加入している方の今後の流れについて、分かりやすく解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

厚生年金基金とは

厚生年金基金とは厚生年金法に基づいて設立された基金が、老齢厚生年金の一部を国に代わって支給(代行部分)するとともに、独自の加算分(独自給付部分)を給付する制度です。
 
設立形態によって、複数の企業が集まって設立しているもの、単独の企業だけで設立するもの、業界団体などを組織母体として多数の企業が集まって設立するものに分けられます。
 

厚生年金基金は消えゆく制度である

厚生年金基金は今後消えゆく制度になります。なぜなら、厚生年金基金は2014年4月1日以降、新規に設立することができなくなった上、既存の基金についても代行返上して確定給付企業年金に移行するか、解散するかを促されているからです。
 

勤務先の厚生年金基金が解散・廃止に。私の年金はどうなる?

勤務先の厚生年金基金が解散・廃止となった場合、国に代わって給付が行われる代行部分と独自給付部分のそれぞれで異なる取り扱いがなされます。
 

老齢厚生年金の代行部分

老齢厚生年金の代行部分についての取り扱いは、2014年3月31日以前に解散した基金の場合と、同年4月1日以降に解散した基金の場合とで異なります。
 
2014年3月31日以前に解散した基金の場合、代行部分は企業年金連合会で手続きをして支給されます(代行部分以外の厚生年金の老齢給付は、年金事務所で手続きをして支給)。一方、2014年4月1日以降に解散した基金の場合、代行部分を含めた厚生年金の老齢給付は国(年金事務所)で手続きをして支給されます。
 

独自給付部分

解散した厚生年金基金の独自給付部分については、資産が残っていれば加入者に分配されます。分配された資産は加入者の意思で一時金として受け取るか、企業年金連合会に移管して年金化、あるいは個人型の確定拠出年金への加入を選択することができます。
 

勤務先で加入している厚生年金基金が変更となった場合は?

勤務先で加入している厚生年金基金が別の年金制度に変更となった場合、年金資産が新しい制度に引き継がれるかどうかによって流れが異なります。
 

年金資産が引き継がれない場合

変更後の年金制度に変更前の年金資産が引き継がれない場合は、基本的にこれまで貯められた年金資産が分配されます。
 

年金資産が引き継がれる(移管される)場合

年金資産が新しい制度に引き継がれる(移管される)場合、移管の対象となるのは厚生年金基金のうち独自部分のみです。代行部分については移管されません。
 
そのため、将来年金を受給する際は代行部分について、2014年3月31日以前に変更された場合は企業年金連合会で、2014年4月以降であれば年金事務所で手続きをする必要があります。
 
なお、変更前の厚生年金基金において積み立て不足があれば、その不足額についての取り扱いは会社ごとに異なるため勤務先に確認するようにしてください。
 

厚生年金基金に加入している場合は勤務先へ要確認

厚生年金基金は消えゆく制度であり、その後の取り扱いについては会社によって異なる部分も多くあります。現在勤務している会社で厚生年金基金に加入している場合は、今後の取り扱いについて勤務先へ確認しておくようにしてください。
 
また、過去の勤務先で厚生年金基金に加入していたという方も、これを機に厚生年金基金について確認しておくべきです。その場合は企業年金連合会へ問い合わせるとよいでしょう。
 
出典 
日本年金機構 厚生年金基金加入期間がある方の年金
企業年金連合会 よくあるご質問
 
執筆者:柘植輝
行政書士


 

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