更新日: 2020.04.03 厚生年金
厚生年金は<何歳から><いくら>受け取ることができる?
現役世代の間では、そんな年金に対する不安があるようです。
そもそも年金は何歳から支給され、いくら受け取ることができるのか、知っているようで、意外と知らない人も多いのではないでしょうか。
執筆者:三浦雅也(みうら まさや)
酒井FP綜合事務所/お金工房わなび所属
2級FP技能士、AFP(日本FP協会認定)
「お金のことをもっと身近に感じてほしい!」をモットーに、“手帳”を使った人生設計の方法や、知っててよかったお金の話セミナーをはじめ、年間50回以上の講演を行う。
専門用語を使わないわかりやすい説明を心がけている。
http://www.fp-sakai.com
厚生年金と国民年金の違いをおさらい
会社に勤めている人は給与から社会保険料の一部として厚生年金保険料を支払っています。そのためか、国民年金と厚生年金の違いを知っている人は多くありません。
会社に勤めているときは、違いを理解していなくても問題ありませんが、会社を辞めたときや自分で事業を起こすような場合は国民年金保険に加入することになりますから、年金の違いを知っていると選択肢が広がります。
※2019/12/24 内容に一部誤りがございましたので修正させていただきました。誠に申し訳ございません。
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国民年金とは?
「年金の一階部分」といういい方をすることもあります。65歳から受給できる老齢基礎年金の要件であり、遺族年金や障害年金を受け取る際にも国民年金保険へ加入していることが前提となります。
最近では「どうせ自分たちが65歳になっても年金をもらえないから払いたくない」と考えている人もいるようですが、年金保険料を支払うことは老後の生活資金を準備するという意味合いだけではなく、もしものときに備えるという意味合いもあります。自分が死亡したときには遺族年金が、自分が介護状態になったときには介護年金が、国民年金や厚生年金から家族や配偶者に支給されるので頼りになりますよね。
もし、収入が少なくて年金保険料を払えない場合は、年金事務所へ申請すれば自分の収入に応じて”納付猶予”や”納付免除”の特例を受けることができます。申請をせずに年金保険料を払わないという選択肢はおすすめしません。
厚生年金とは?
こちらは「年金の2階部分」といわれることもあります。国民年金から支給される老齢年金に加えて、支払った厚生年金保険料に応じた金額(報酬比例部分)が老齢厚生年金より65歳から支給されます。
実際にどのぐらいの金額がもらえるの?
国民年金保険料を納めている人と、厚生年金保険料を納めている人とでは、将来受け取る金額が異なります。厚生年金保険料には、国民年金保険料が含まれているからです。
老齢基礎年金の受給額の計算式は78万100円の満額に対して、480月を上限とした納付月数によって計算されます。20歳から40年間(480月)欠かさずに納めた場合は年間78万100円の支給を受けることができますが、480月に満たない場合には「78万100円×納付月数/480月」の計算式により老齢基礎年金の受給額を求めることができます。
老齢厚生年金の受給額は下記の計算式を用いて計算しますので、人それぞれの現役時代の収入によって異なります。
【老齢厚生年金の受給額を決める計算式】
(1.標準報酬月額×7.125/1000×月数)+(2.標準報酬額×5.481/1000×月数)=受給額
を使用することにより求めることができます。
老齢厚生年金受給者の平均標準報酬(賞与を含む月額換算)が42.8 万円で40年間就業したと仮定した老齢厚生年金の受給額は、厚生労働省の家計調査(2018年)によると月額9万1395円でした。年間支給額は110万円ほどです。
厚生年金保険は国民年金も同時に支給されますので合計188万円(基礎年金78万円+厚生年金110万円)ほどを現時点では受け取ることができます。
生年月日によって違う、厚生年金の受け取り
今まで「特別支給の老齢厚生年金」として60歳から支給されていた厚生年金部分について、現役世代の年金保険料の負担を減らす目的で年金の支給開始年齢を65歳に引き上げることにしました。
2019年については、昭和32年4月〜34年4月年生まれの男性と昭和37年4月〜39年4月年生まれの女性が、60歳より加算部分の厚生年金を、63歳より報酬比例部分の厚生年金を受け取ることができます。
まとめ
年金の制度は非常にややこしいです。20歳になると強制的に加入することになる年金制度ですが、勉強したいと思ってもどこから勉強すればいいか分からないという人が多いように感じます。
年金について知っていてほしいと思う最低限の知識は、
・老齢基礎年金も老齢厚生年金も原則65歳から受給することができます。
・年金保険料を払うのが大変なら年金事務所へ申請して“猶予”か“免除”を受けてください。
・年金保険には老後の資金としての機能以外にも、遺族補償や介護補償としての機能があります。
・老齢基礎年金を40年間しっかり納めると現時点で年間78万100円を自分が生きている限り受給することができます。
・老齢厚生年金については現役時代の収入によって受給できる金額が異なります。
・ある時期に生まれた人については老齢厚生年金を受給する時期が異なります。
この記事を読んだ人が、年金のことを少しでも身近に感じていただけたなら幸いです。
執筆者:中西雅也
酒井FP綜合事務所/お金工房わなび所属