更新日: 2023.09.06 厚生年金
厚生年金保険の加入期間が40年に満たない…。そんな時に知っておきたい「経過的加算額」とは
年金の加入期間が40年ある場合には、どのようなメリットがあるのでしょうか? あわせて経過的加算額という制度について、また将来どのようなお金が給付されるのかも知っておきましょう。
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
国民年金および厚生年金保険は40年を目指す
22歳で大学を卒業してから60歳まで厚生年金に加入した場合、加入期間は38年です。しかし満額受給するためには、40年(480ヶ月)の加入期間が必要になっています。
ここで問題になってくるのが、国民年金の加入年齢は59歳11ヶ月までという年金のルールです。もし満額受給を目指すなら、60歳以降に任意で国民年金に加入するが必要となります。
国民年金の加入期間は最高で40年なのですが、厚生年金には別のルールがあり、40年以上加入できます。
いずれにしても年金加入期間が40年未満であれば、まずは40年を目指すことです。60歳以降も厚生年金に加入することで、受給額を増やすことができます。家計の状態を見ながら将来、支給される年金を上積みしていきましょう。
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経過的加算額とは?
ここでぜひ、知っておいてほしいのが、経過的加算額のことです。何やら難しい呼び名で混乱してしまいそうですが、簡単に言うと、65歳から支給される老齢厚生年金に加算されるお金のことです。
そもそも65歳より前に支給されていた厚生年金の報酬比例部分は、65歳になると老齢厚生年金の支給に変わります。このとき、何か特別なものに変わった印象を持つ人もいるのですが、単純に名称が変わっただけです。
その理由は、65歳より前に支給されていた報酬比例部分と、65歳から支給される老齢厚生年金は、計算式が同じだからです。したがって、60歳以後に厚生年金の加入期間がなければ、支給される金額は同額となる仕組みなのです。
65歳になると定額部分にかわって老齢基礎年金が支給されますが、定額部分と老齢基礎年金では計算式が違っていますので、差額が生じます。このとき、差額部分をそのままにしておくと年金額が減ってしまいます。支給額が減るのは困りますよね…。
そのような「困った」を解消するために、65歳以後の年金額が減らないよう、差額分を「経過的加算額」として老齢厚生年金に加算しています。
経過的加算額の計算式は次の通りになります。
(1)厚生年金の定額単価(1625円) × 全厚生年金加入月数(限度 480ヶ月)
(2)老齢基礎年金満額(78万100円) × 20歳~60歳厚生年金加入月数/480
経過的加算 =(1)-(2)
年金はいつからもらえる?
公的年金は、年齢によって支給される年齢が違っています。
自分はいつから、どのようなものが支給されるのかを確認しておくことが大切です。
年金を確認するために最も便利なのが「ねんきん定期便」です。ねんきん定期便は毎年郵送されてくるのですが、その他に節目の年にも送られてきます(節目の年は特に重要)。自分の年金加入歴を確認し、不備がないかをチェックしましょう。
「もう少し増やしたい」と思うなら、60歳以降も厚生年金に加入できるよう働き続ける、個人年金保険やiDeCo等で運用することも考える必要があります。
よりお得になる方法を探すのは大切ですが、無理をしては元も子もありません。まずは今の状況を客観的に見つめ直し、将来どれくらいの年金が受け取れるのか、どのように準備すると安心かを考えていきましょう。
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
出典
日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています