公開日: 2020.12.24 年金

海外で暮らすとなった場合、年金はどうなるの?

執筆者 : 馬場愛梨

留学、仕事、リタイア後の楽しみ……さまざまな理由で海外生活を始める人がいますが、その場合「年金」はどうなるのでしょうか。支払う必要があるのか、受け取ることはできるのか、海外暮らしと年金の疑問について解説します。
 
馬場愛梨

執筆者:

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

https://babaeri.com/

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自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

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海外居住の日本人は、年金を支払う?

日本国籍を持つ人が海外で暮らすことになった場合、国民年金を支払う義務はなくなります。
 
ただ、「任意加入」として支払いを継続することもできます。任意加入して保険料を支払っておくと、そのぶん将来受け取る老齢年金に反映されますし、海外でもしものことが起きた場合でも、障害年金や遺族年金の対象になります(※1)。
 
会社の指示で海外赴任することになった方や海外で自営業者として働く方は、日本の年金制度と海外の年金制度、両方への加入が必要となる場合もあります(※2)。
 
「保険料の2重払い」や「どちらの年金制度でも、必要な加入期間を満たせず受け取れない」といったケースもあるので要注意です。居住先となる海外がアメリカやインドなど国が「社会保障協定」を結んでいるところなら、こうした不都合がないよう調整できる仕組みになっています。
 
この仕組みの対象となっているのは現在20カ国程度です。国ごとに協定内容や必要な手続きに差があるため、自分が住む先がどうなのか年金事務所のホームページなどで確認しておきましょう(※3)。
 

海外居住の日本人は、年金を受け取れる?

海外に住んでいる日本人でも、年金保険料を10年以上支払うなどの条件を満たせば、日本の公的年金を受け取ることができます。
 
年金の支給開始は原則65歳からですが、受け取り開始時期を早めたり(繰上げ)、遅くしたり(繰下げ)できます。ただし、65歳より前に受給権が発生する「特別支給の老齢厚生年金」には繰下げ制度がないため、該当したら速やかに手続きが必要になります。
 
海外から受け取りの請求する場合は、年金事務所のホームページで「年金請求書」をダウンロードして記入し、在留国の日本領事館が発行する在留証明書など必要書類を添付して、日本に住んでいたとき最後に住んでいたところを管轄する年金事務所に送付します(※4)。
 

「ねんきん定期便」やiDeCoはどうなる?

今までの年金加入記録や、今後受給できる年金額の見込みなどを確認できる書面が「ねんきん定期便」です(※5)。
 
毎年届くものですが、日本国内に残る家族が受け取ることもできますし、申し込めば海外への送付も可能です(※6)。自分の年金の内容は、基礎年金番号がわかっていれば「ねんきんネット」で確認できます(※7)。
 
確定拠出年金についても確認しておきましょう。これは通常の年金の上乗せができる制度で、企業型と個人型(iDeCo)があります。企業型の場合、赴任先が社会保障協定を結んでいる国で、赴任期間が5年以内なら継続できることが多いです(※8)。
 
国民年金の第1号被保険者(自営業の方など)は、海外居住になるとiDeCoの加入対象者(※9)ではなくなるため、新しく加入したり掛金を拠出したりできなくなります。会社員など厚生年金に加入したまま海外に行く方は、掛金の拠出を続けることができます。

※iDeCoに関しては法改正があり、2022年5月からは海外居住者でも国民年金に任意加入していればiDeCoに加入できるようになります。それと同時に、一定の条件を満たす場合は、iDeCoを脱退して脱退一時金を受け取ることも可能になります(※10)。

まとめ:年金は海外でも支払える&受け取れる

年金は、基本的に海外に行ってからも支払ったり受け取ったりできます。ただ、それには手続きが必要だったり、行き先の国によって制度が違ったりするため、細かい確認が欠かせません。
 
海外暮らしを始めるとなると、荷物の準備だけでなく、ビザや社会保険などさまざまな手続きで忙しくバタバタしてしまいがちですが、手続き漏れや思い違いがあると将来困ってしまうかもしれません。
 
必要な作業をリストアップする、不安なところは職場や公的機関などに問い合わせるなどして、安心して海外生活を送れるように手配しましょう。
 

(※1)日本年金機構「国民年金の任意加入の手続き(日本の年金制度への継続加入)
(※2)国民年金機構「海外への転出 海外からの転入」
(※3)
日本年金機構「社会保障協定」
日本年金機構「日本から協定を結んでいる国で働く場合の手続き」
(※4)
日本年金機構「海外居住者の年金請求」
「日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き」
(※5)日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
(※6)
日本年金機構「海外に居住中の方への「ねんきん定期便」に関するお知らせ」
日本年金機構「海外に居住中の方へ(ねんきん定期便の受け取り方法)」
(※7)日本年金機構「「ねんきんネット」に登録するには?」
(※8)企業年金相談センター「確定拠出年金制度」
(※9)iDeCo公式サイト「よくあるご質問/誰が加入できますか」
(※10)厚生労働省「2020年の主な法改正」
 

執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表
 

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