最終更新日: 2021.04.20 公開日: 2021.04.18
年金

障害年金ヒント集(9) 主治医が診断書の作成を渋るとき

執筆者 : 和田隆

年金の相談を受けていると、「障害年金をもらいたい。でも、ハードルが高くて…」と悩んでいらっしゃる人がたくさんいることが分かります。
 
確かに、障害年金を受給するには、いくつものハードルがあります。しかし、取り組み方をちょっと変えると、うまくハードルを越えられる場合もあります。
 
悩んでいる人たちへの受給のためのヒント集です。第9回は「主治医が診断書の作成を渋るとき」です。
 
和田隆

執筆者:

執筆者:和田隆(わだ たかし)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。

ホームページ
「すぐわかる! 障害年金のもらい方」
「ルールブックで快適職場」

和田隆

執筆者:

執筆者:和田隆(わだ たかし)

ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士

新聞社を定年退職後、社会保険労務士事務所「かもめ社労士事務所」を開業しました。障害年金の請求支援を中心に取り組んでいます。NPO法人障害年金支援ネットワーク会員です。

ホームページ
「すぐわかる! 障害年金のもらい方」
「ルールブックで快適職場」

第三者に間に入ってもらう

障害年金を請求しようと思い、主治医に診断書の作成をお願いしても、作成してもらえない場合があります。そういう事例を耳にすることは珍しくありません。困ってしまいますね。
 
診断書を作成してもらえない理由をたずねても、正面からは答えてもらえない場合は、なおさらです。そんなときには、信頼できる第三者に間に入ってもらうのが良策と思われます。
 

診断書の作成を渋っている理由を知る

主治医が診断書の作成を渋っている場合、まずしなければならないのは、その渋っている理由を聞き出すことです。それには、当事者である患者本人よりも第三者のほうが適任であることがよくあります。
 
第三者というのは、家族、親類、友人、介護士、社会保険労務士、医療ソーシャルワーカー(MSW)などです。医療ソーシャルワーカーは、患者やその家族を社会福祉の立場からサポートしてくれる人で、大きな病院には在職していることが多く、医師と患者の間に入ってもらうのに好都合です。
 
家族や親類はやや患者寄りですが、患者本人よりは、落ち着いて対応しやすいことでしょう。
 

「障害等級に届かないだろう」

主治医が診断書の作成を渋る理由はさまざまですが、よくあるのは次のようなものです。
 

(1)患者の障害の状態が軽く、障害等級に届かないと見ている

主治医はこれまでの経験から、障害年金を請求して受給できたケース、受給できなかったケースを知っています。したがって、その判断はおおむね正しいでしょう。
 
しかし、患者の日常生活の困難さや就労上の苦労などが、正確に主治医に伝わっていない可能性もあります。患者は、これまでの診療の際、詳細に伝えていたでしょうか。振り返ってみることが大切です。
 
そして、主治医が症状を実際より軽く見ていると思うなら、これからでも実際の症状を伝える必要があります。最も効果的なのは、日常生活の困難さや就労上の苦労などを書き出してみることです。そして家族など身近な人の意見や感想も書き加えます。これを主治医に渡すのです。
 

「障害年金に頼ってしまわないか」

(2)患者が障害年金に頼ってしまうことを心配している

障害年金を受給し始めると、今度はこれを手放すことに不安を感じるのも人情です。「障害年金に頼ってしまう」とは、そのことだと思います。患者の病気を何とか軽くしようとしている主治医としては、歯がゆい思いをするのかもしれません。
 
しかし、障害年金は、障害者の所得保障の1つです。十分な額とはいえませんが、障害年金を生活基盤の一部にできます。闘病中の人だと、治療にもプラスに働くのではないでしょうか。障害年金を前向きにとらえて、患者を支援してもらいたいと思います。
 
患者としては、「病気を治して、障害年金に頼らなくても良いようになりたい」という思いを主治医に伝えるほかありません。
 

「治療回数がまだ少ない」

(3)治療回数が少なく、自信を持って診断書を作成できない

通院期間がまだ短い場合や患者がきちんと定期的に通院しない場合です。主治医としては、病気の種類や症状を正しく診断し、今後の治療方針を立てたいところですので、その段階では、診断書を作成しにくいのでしょう。
 
患者としては、きちんと通院をして、日々の症状を正確に伝えるよう努めたいものです。
 

最後の手段として転院も

医師は医師法で、診断書の交付を求められた場合は、正当な理由がない限り、拒んではならないと定められています(医師法19条)。このため、この法律を盾に診断書の作成を求めることも可能です。
 
しかし、医師と患者との間の信頼関係を考えると、良策とは思えません。どうしても作成してもらえず、信頼関係がなくなったと思われるなら、最後の手段として転院するしかありません。
 
とはいうものの、私が対応した相談者の中にも「日ごろの診療の時はとてもよい先生なので、転院はしたくない」と言って、障害年金の請求をいったん取りやめた人もいました。この辺は難しいところです。
 
なお、転院をした場合、すぐには診断書を作成してもらえないことがあります。精神疾患の場合などは、少なくとも半年ほどは診療を受けた後でないと作成してもらえないことが多いようです。
 
執筆者:和田隆
ファイナンシャル・プランナー(AFP)、特定社会保険労務士、社会福祉士